F1が後半戦に入った第13戦ベルギーGP以降、フェラーリは5戦の予選全てでポールポジションを獲得すると共に3勝を挙げた。その原動力となっているのは、特に予選時におけるパワー面でのアドバンテージだ。
motorsport.comの調べによると、フェラーリと同様のコンセプトを追求しても問題はないのか、アイデアがレギュレーションに違反するかどうかについて、いくつかのライバルチームが明確化を求めているようだ。
■終盤戦になっても、F1の開発は止まらない……3チームが鈴鹿に持ち込んだ空力アップデート
今季前半戦は苦しんでいたフェラーリだが、パワーの面でアドバンテージを得たことで状況が変わった。その効果は、一部のトラックでは最大0.8秒ものタイムアップに相当し、あるチームの関係者が”馬鹿げている”と悪態をつくほどだった。
またフェラーリは、シンガポールGPでマシンの空力を大幅アップデート。これにより、それまで苦しんでいたコーナリングでのパフォーマンスが向上。その結果予選でパワーをさらに活かせるようになり、レッドブルやメルセデスの前に一気に躍り出ることとなった。
一説には、フェラーリが持つアドバンテージはインタークーラーの設計に関連しているという。インタークーラーからのリークをコントロールすることで、少量のエンジンオイルをエンジン内で燃焼させ、短期間ブーストを得ているというのだ。
インタークーラーでオイルを使用することはレギュレーションによって許可されており、フェラーリだけがこれを活用していると考えられる。
フェラーリのライバルのうち、少なくともひとつのチームは、それが予選でのパワーアップに影響している可能性があると考えており、そのような行為が許可されるかどうかについて、FIAに明確化を求めている。
また、別のチームはフェラーリのエネルギー回生システム(ERS)に注目しており、こちらもFIAに問い合わせを行ったようだ。しかしながら、FIAから明確化に対する返答はなかったという。
FIAは、チームが正式に抗議を申し立てることを望んでいるようだ。昨年、フェラーリのERSとツインバッテリーがFIAによる調査を受けた際、FIAのジャン・トッド会長はそう示唆していた。
フェラーリに対する懸念について、motorsport.comがFIAに訊くと「パワーユニットがFIA フォーミュラ1世界選手権の技術規則に適合しているかどうか、全てのパラメーターを監視し続けている」との返答があった。
また、「現在、(パワーユニット関連の)設計に関して、いずれの競技者からも抗議は出ていない」とも述べた。
FIAからの明確な返答がないため、フェラーリのライバルたちは今後どのように進んでいくべきか決めかねているようだ。こうした状況となったのは、長年F1レースディレクターを務めてきたチャーリー・ホワイティングが開幕戦前に亡くなったことも影響しているかもしれない。
ホワイティングは、グレーゾーンに関する公式および非公式な質問に答え、FIAの立場を明確にしてきた。これにより懸念が公然と議論され、抗議が行われることなく事態を解決することができていた。そしてこのプロセスは、FIAに対する信頼を育み、チーム同士が互いをターゲットとする対立関係が生じるのを回避してきた。
ただ復活したフェラーリであっても、メルセデスの支配的な強さを止めることはできなかった。メルセデスは日本GPで、6シーズン連続となるコンストラクターズタイトル獲得を決めている。それでも、フェラーリのパワーユニットはメルセデスを追い抜き、今や完全にベンチマークとなった。
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