世界を変えた「アメ車」メーカー
フォード・モーター・カンパニーは、今から120年前の1903年6月16日にヘンリー・フォード(1863-1947)によって米ミシガン州デトロイトで設立された。
【画像】「マスタング」や「エクスプローラー」がEVに?【名車のネーミングを受け継ぐ次世代EVを写真でじっくり見る】 全40枚
自動車の大量生産に挑み、革新的な技術とアイデアをもって大衆に新たな移動手段を提案した、偉大なメーカーである。今でも世界屈指の規模を誇る巨大企業であり、どこにでもあるような乗用車からスポーツカー、商用車、レーシングカーまで幅広く生産している。フォードが世界に与えたインパクトは計り知れない。
そんなフォードの成功を支えたのは、数十万人(あるいは数百万人)の従業員はもちろん、数多の優れたクルマたちだ。今回はその中から、忘れられない名車を8台厳選した。
フォード・モデルA(1903年)
どんなメーカーでも、記念すべき第1作で失敗は許されない。成功すれば次のクルマを作るのに十分な売上を得ることができるが、ダメだったらそれまで。1903年に登場したモデルA(A型)は短命に終わり、わずか1年で少数しか生産されなかったが、それでも次代へのバトンを繋いでいる。
フォード・モデルAの設計は、キャデラックのモデルAとも非常によく似ている。キャデラックはヘンリー・フォードが設立した2番目の会社であり、同氏が去った後に社名を変更したのだ。両車の主な違いは、キャデラックが1.6Lの単気筒エンジンを搭載しているのに対し、フォードは1.7Lの2気筒エンジンを搭載している点である。
フォード・モデルT(1908年)
技術の進歩と米国自動車業界の成長が著しい中で、初期のフォード車が長く販売されることはなかった。対照的に、モデルT(T型)は1908年から1927年までずっと販売され、価格も発売当時より安くなっていった。
動く組立ラインで互換性のある部品を使用した世界初の自動車であり、膨大な数が生産された。正確な数字については文献により差があるが、少なくとも1500万台は作られたというのが一般的な見方だ。この記録は、生産終了から45年後の1972年にフォルクスワーゲン・ビートルに破られるまで、世界一を誇っていた。
フォードFシリーズ(1948年)
フォードは早い段階からトラック市場の可能性に気づいていた。第二次世界大戦までのトラックは基本的に乗用車から派生したものだったが、「ボーナスビルト」としても知られる初代Fシリーズは異なる。最初からトラックとして設計され、ボディタイプや性能も非常に多様だった。
Fシリーズはその後、どんな不況でも確実に売れるロングランシリーズとなった。現在でも、F-150に代表されるFシリーズはフォードの大人気車種であり、2022年には46年連続で米国ベストセラー・トラックとなり、また自動車としても41年連続でベストセラーに輝いた。米国の物流とフォードの経営を支える大黒柱と言える。
フォード・マスタング(1964年)
この記事を読まれる方であれば、「ポニーカー」という言葉は聞き馴染みがあるかもしれない。ポニーカーの定義はいくつか考えられるが、1つは北米で設計・生産された小型の高性能クーペまたはコンバーチブルである。その先駆けは、1964年にデビューし、瞬く間に社会現象となった初代マスタングである、というのが一般的な見解だ。
初代マスタングは直6エンジンを選択することもできたが、消費者に好まれたのはV8だった。V8にはウィンザーやクリーブランド、FEなどと呼ばれる複数のユニットが存在する。1969年と1970年に短期間使用されたボス302は、ウィンザーにクリーブランド(当時はまだ本格生産されていなかった)のシリンダーヘッドを載せたものだ。
最新の第7世代に至るまで、マスタングは米国を代表するスポーツカーの1つとして広く親しまれている。なお、2019年に電動クロスオーバーのマスタング・マッハEが登場したが、系列も中身もまったく異なる。無関係のクルマに「マスタング」の名を与えることについては、ファンや評論家の間からさまざまな意見が聞かれた。しかし、フォードの歴史を振り返ってみても、知名度の高い車名を別のクルマに流用することは決して珍しくないので、今後も1つの戦略として続けられるだろう。
フォードGT40(1964年)
ロードカーとして発売されたGT40だが、耐久スポーツカーレースで勝利を収めること、つまりフェラーリを打ち負かすことを目的に開発されたレーシングカーだ。7.0L FE V8エンジンをミドマウントし、全高が約40インチ(1016mm)であることにちなんでGT40と名付けられた。
有言実行、GT40は1966年と1967年のル・マン24時間レースに出場すると、見事に優勝を果たした。その後、排気量5.0L以上のエンジンを禁止する新レギュレーションが導入された。フォードはこれを受けて4.9LのウィンザーV8に変更し、1968年と1969年にもル・マンで優勝した。
フォード・トランジット(1965年)
商用バンの代名詞的存在。トランジットの名は、1950年代半ばにドイツ・フォードが開発した商用車に初めて用いられたが、現在のモデルラインは1965年10月デビューの英国仕様にさかのぼるというのが一般的な見解だ。
搭載されるV型4気筒エンジンは非常に短く、トランジットの窮屈なボンネットにすっぽり収まっている(直4やV6では、ノーズエクステンションを必要とした)。1977年のフェイスリフトではノーズが長くなり、新しいエンジンを搭載できるようになった。これはトランジット・マークIIと呼ばれることもあるが、完全な新型車が登場するのは、初代の発売から20年以上経った1986年であった。
現在も人や物を運ぶクルマとして、世界中を駆け回っている。ピックアップトラックのFシリーズと並ぶ、フォードの商用車の双璧と言えるだろう。
フォード・フィエスタ(1976年)
フィアット127やルノー5など強豪がひしめく欧州Bセグメント市場に、フォードは後発で参入した。同社として初めて横置きエンジンの前輪駆動方式を採用しており、サイズの割に室内が広く、スタイリングも高く評価された。
エンジンは有名な「ケント」を改造した「バレンシア」と呼ばれるもので、当初は957ccと1117cc、その後1.3L、最終的にはXR2(写真)で1.6Lも導入された。フィエスタの功績の1つは、何世代もの若者が人生初のマイカーとして運転を覚え、ブルーオーバルのエンブレムに馴染むきっかけとなったことである。
フォード・エクスプローラー(1990年)
初代エクスプローラーは、ピックアップトラックのレンジャー(初代)をベースとするSUVだが、ボディサイズはかなり大柄で、3ドアだけでなく5ドアも用意されていた。プッシュロッド式の4.0LケルンV6エンジンのみを搭載し、後輪駆動と四輪駆動を選べた。1995年にモデルチェンジするまで、ほぼ毎年20万台以上が売れた。
米国の道路でよく見かけるSUVであり、最新の第6世代は2019年にデビューした。また近年、米国の警察車両ではセダン(代表例:クラウン・ビクトリア)からSUVへの移行が進んでおり、その中で数多く採用されているものの1つがエクスプローラーだ。機材の積載能力、室内の広さなどが人気の理由のようである。
なお、欧州では2024年から同名の電動SUVが発売予定だ。先述のマスタングと同様、サイズやデザインがまったく異なるモデルへの車名の流用だが、現地に根付くことはできるのだろうか。フォードのマーケティング戦略からも目が離せない。
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