11月19日、スペインのカタロニア・サーキットにて2025年のMotoGPシーズンに向けたバルセロナ公式テストが行われた。MotoGPルーキーとなる小椋藍(トラックハウス・レーシング)は、7時間のセッションで86周を周回し、21番手タイムで初テストを終えた。
小椋はMotoGPマシン初ライドを「楽しいが2、難しいが8。楽しかったし、大変だったし、いろいろですね」と振り返る。
「走行前は緊張しましたよ。バイクについては特に何も予想はしていなかったし、スタートしてみないとわからないので目標を立てていたわけでもありません。なので、走ってみて『あ、こんな感じなんだ』と。今日はその場のフィーリングを見て、やってみるだけでした」
「チームとも終日問題なく進められました。スタッフやメカニックもみんな良い人たちです。徐々にみんなとフィーリングが合ってきたし、クラッシュはありましたが、全体的には良かったです」
当然だが、MotoGPマシンはMoto2やMoto3のマシンよりはるかに複雑だ。海外の記者に一番驚いたことを聞かれた小椋はこう答えた。
「一番驚いたのはスロットルです。バイクを落ち着かせることと、上手いやり方でアクセルを開けること。スピードの違いにはもっと驚くと思っていましたが、Moto3からMoto2に切り替えた時の方が違いが大きかったです。2~3周したら大丈夫でした。カーボンブレーキとスチールブレーキの違いはあまり感じていません」
「(コーナーの)進入は、まだまだタイヤやバイクなど理解しきれてないことがたくさんあって、『最後の本当にもうちょっと』ってところにまで踏み込めていません。立ち上がりもバイクをあまり暴れさせない、スピンさせないようにすることなど、やることはいっぱいあります。もう全部、早く学んで全て良くしていくしかないですね」
「その中でも、今の最優先事項はどちらかというと進入だと思います。 ブレーキングを始めたところからアクセル触るまでですね。もっと握っていいらしいんです。自分もそこが早くわかりたい部分ですし、それが決まってこないと他が色々うまく回らないと思います」
7時間のセッションで86周の走行をこなした小椋。この周回数は全体で最多であった。トレーニングでもひたすらバイクに乗り続ける小椋らしく思えたが、できるだけ多く走るというのは元々決めていたのだろうか。
「そんなことはないんですけど、なんか終わってみたらこんなに走ったんだ、と。でも、そんなにいっぱい走った気がしません。Moto2とかMoto3とかで80周した方が『うわ走ったなあ』って気がすると思います。今回はバイクに慣れる時間が大半で、そういう時の方が時間は早く過ぎていくので、そんなにたくさん周回したなという感じがないんだと思います」
「でも、今日は一番長くても1スティントで10周くらいしかしていないんです。なので、別にそこで体力的に何か問題があったわけではないですね。ダビデ・ブリビオさんにも『どうだ、疲れたか』と聞かれましたが、86周して今どうかというと、別に普通です。もちろん、バイクを降りた時は『ふう』とはなりますが。20周走った訳ではないのでまだわかりません」
「でもMoto2の方が疲れますね。(バイクの操り方が)自分自身が頑張れるので。MotoGPマシンではまだ自分が頑張って乗るとかそういう感じではなく、正しく走る感じです。このトラックでは特にそうですね。なので今のところはMoto2の方が疲れるように感じますが、もちろんそれは変わっていくと思います」
「なので、身体のトレーニングは、いつもよりはもうちょっとハードにやるつもりですが、ガラッと違うものが必要って感じはしないです」
身体は痛くないか尋ねたところ、「首の後ろだけ痛いです。コーナリングの姿勢の違いだと思います」とのこと。現段階ではそれ以外の部分は大丈夫だそうだ。
次に小椋がMotoGPマシンに乗るのは、1月末にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われるシェイクダウンテストだ。それまでの2カ月強は日本でトレーニングを積むことになる。
「1000ccのバイクを持っているので、それで練習できる日を見つけて、できるだけ走りたいなと思っています。けど、バイクトレーニングもいつもと大きくは変わらないと思います」
2025年シーズン、小椋はどうMotoGPマシンを学習し、どこまで成長していけるだろうか。念願だったチャンピオンを獲得し、ついに最高峰の舞台へと上がってきた小椋の戦いに注目だ。
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