アストンマーチンのランス・ストロールは、手首の怪我を押してF1開幕戦バーレーンGPに出場。テストを走れず、ぶっつけ本番のグランプリ挑戦だったにも関わらず素晴らしいレースを披露し、6位でフィニッシュした。ストロールは痛みはあるものの、楽しいレースだったと語った。
ストロールはプレシーズンテスト直前に自転車でのトレーニング中に落車。複数箇所に怪我を負った。中でも右手首は骨折しており、手術を受けねばならなかった。
■アロンソ41歳、開幕戦3位も慢心せず……しかし激しいレースを大いに楽しむ「レース後、あと1時間くらい走れそうだった!」
そのためテストではまったく走れず、開幕戦バーレーンGPへの出場も危ぶまれた。しかしストロールは金曜日のFP1から走行し、周回を重ねていった。しかしテストを走れていないということは、このFP1が今季のニューマシンAMR23で初めての本格走行。懸念は残っていたが、力強いペースを発揮し、決勝でもメルセデス勢とのバトルをしながら、6位入賞を果たした。チームメイトのフェルナンド・アロンソは3位表彰台を手にしており、チームとしては絶好のスタートを切った。
「痛みはさておき、楽しかったよ」
ストロールはレース後にそう語った。
「最後の20周は最悪だった。でも僕はただ、最後までそれを考えないようにしたんだ」
「今日の結果は、チームにとって本当に喜ばしいことだ。今シーズンをスタートするのに、ベストな形だと思う。フェルナンドの表彰台は素晴らしい結果だ」
「過去2週間に僕に起きた全てのことを考えると、6位になれて嬉しい。10日前は動けず、歩くこともできなかった。両手も動かなかった。僕はほとんど野菜みたいな状態だったよ。今ここにいることなんて、考えることもできなかった」
「だから今回ポイントを獲得できたこと、このマシンをドライブできるのは、素晴らしいことだと思う。新シーズンの素晴らしいスタートになった」
前述の通りストロールは、メルセデスとバトルを繰り広げて6位を手にした。アロンソは、メルセデスだけでなく、フェラーリをも抜いた。昨年までのアストンマーチンならば、とても考えられなかった状況だ。
メルセデスと戦ったことについてどう思うかと尋ねられたストロールは、次のように語った。
「良い感じだ。(ジョージ)ラッセルを抑えられたのは、素晴らしいことだ。VSC(バーチャル・セーフティカー)がなければ、(ルイス)ハミルトンも抜けたかもしれない。僕はそこでタイムを失ってしまったんだ。でも、最後まで彼を追いかけることができた」
「でも最後の20周で一番厳しいのは痛みだった。ターン10のヘアピンでは、痛みを感じず、自信を持ってターンインするのに苦しんでいたんだ。僕はただ、最後までマシンを運ぼうとしていただだけだ」
「アドレナリンが出ていても、骨折は痛いよ。ただ、両手が骨折しているわけじゃなかった。つま先も痛かったしね」
「でも今日のマシンをドライブするのは、とても楽しかった」
ストロールはこの後もリハビリを続ける予定だという。医師の診断では、第3戦オーストラリアGPの頃までには完治するようだ。
今年のマシンが昨年のAMR22と比べてどの点で良くなったのか? そう尋ねられたストロールは「全部だ」と説明した。
「全てだよ。つまりダウンフォースやバランスは、はるかに優れたマシンになった。ファクトリーの全員が、このマシンを作り上げるために信じられないほどの仕事をしてくれた。ドライブするのは楽しいよ」
なおアストンマーチンのチームオーナーは、ストロールの父親であるローレンス・ストロールである。その父親はこの結果に満足しているかと尋ねられると、ストロールは短く次のように返した。
「まだ父には会ってないけど、間違いなくとても満足していると思うよ」
今年のアストンマーチンのマシンは、明らかに速い。その速さは、フェラーリやメルセデスを含めたライバルも認めるところ。ストロールが、怪我を押してでもマシンに乗り込み、他のドライバーに譲らなかったのも頷ける。
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