F1オーストリアGP決勝でマクラーレンのランド・ノリスと接触したことから、レッドブルのマックス・フェルスタッペンのアグレッシブなドライビングスタイルが再び話題となっている。
しかしフェルスタッペンとノリス双方とコンビを組んだ経験を持ち、現在はRBに所属するダニエル・リカルドは、フェルスタッペンのドライビングに問題はなかったと語った。そして接触による論争が誇張されているとの考えを示した。
■フェルスタッペン、自身への批判は意に介さず。ノリスとの友情を最優先「これからも全力で戦うと話し合った」
オーストリアGPでフェルスタッペンは優勝争いの最中にノリスと接触し、10秒のタイムペナルティを科された。
フェルスタッペンのドライビングに対しては、接触だけでなく、それ以前のブレーキング中のディフェンスに関しても問題だという声もある。しかしリカルドはそう見ていない。
リカルドはレッドブル時代の2018年アゼルバイジャンGPに、フェルスタッペンと同士打ちを喫するするなど激しい攻防を繰り広げたこともあったが、先日のオーストリアGPで見られたのは勝利のためのハードかつフェアなレースだったと評価した。
「見ての通り彼らは首位争いをしていて『かつては友人、今は敵』という状況だったから、一気に火が付いたんだろうね。そんなことが続いていれば、想像できるのはおそらくひとつだけだ」とリカルドは言う。
「ハードだったけど、勝利のために戦っているんだ。誰かを素通りさせるわけにはいかない。接触は、結果的に10回中9回は起こり得ると思う」
「ふたりは一進一退の攻防を繰り広げ、進入時の角度が少し悪かったかもしれないけど、見ての通りランドのレースが終わってしまった」
「しかし、結果としてコース上で実際に起ったことよりも大ごとになっていると思う。僕が見た限りでは、少なくとも過剰だとは思えなかった」
「限界を越えていたかと言われると、おそらくそうだ。でも危険なことや無謀なことはあったかと言われると、少なくとも僕が見た限りでは、そうじゃなかった」
リカルドは2018年アゼルバイジャンGPで、たとえクラッシュのリスクがあったとしても、フェルスタッペンとのアグレッシブなホイール・トゥ・ホイールのバトルで引くことはないと証明した。
そしてリカルドは、全力で戦うフェルスタッペンを相手にするためには、強気のドライビングが求められると主張した。
「このスポーツの中で、ヤラレ役になりたい人なんていない」とリカルドは言う。
「誰に対しても堂々としていたいし、それが自分の評判に繋がるのは明らかだ」
「サーキットで相手が近づいてきた時に『こいつは楽勝だな』なんて思われたくはない。だから常に、ある程度は強気で走りたいと思うんだ」
「僕らはマックスのことを最初から知っているけど、彼は常にアグレッシブに仕掛けていた。それが彼のDNAだ。ただ彼はタフなレーサーなんだ。深く掘り下げる必要はないし、これが彼のレースのやり方だ」
「彼としては、無条件でタフな戦いになる。しかし彼のレースのやり方が変わるわけじゃない。本当に良い動きをして、確実に(オーバーテイクを)成功させる必要がある」
「ランドは土曜日(オーストリアGPスプリント)にそれを学んだと思う。彼は抜ききったと思っただろうけど、マックスは『今日はダメだ』と言ったんだと思う。生きて学ぶという感じだね」
2021年シーズンとの比較はできない?
マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、オーストリアGPでのフェルスタッペンのアグレッシブなドライビングが、2021年にフェルスタッペンがメルセデスのルイス・ハミルトンとタイトルを争った際に、ペナルティで「きちんと対処してこなかった」結果だと批判した。
しかしリカルドは、当時と今を単純比較することはできないと考えている。
「みんなマックスを少し叩いているように聞こえるし、少し大げさに吹聴されているようにも聞こえる」とリカルドは言う。
「彼は変わらない。でもそれが彼のレースのやり方なんだと思う。明らかに、彼はサーキット上で死力を尽くしていて、それが多くのファンが彼を称賛している理由でもある」
「キャリアをスタートさせてから彼は成長したと思うか? それはもちろんだ。だから、彼がいつもこのような立場にいるわけじゃない」
そしてリカルドは次のように続けた。
「現時点で、本格的な対策は必要ないと思う。明日のドライバーズブリーフィングで話すかもしれない。でも、彼らが起こした事故が危険だとは思わない」
「かなり低速だったし、2021年(イギリスGP)のターン9、コプスのような状況ではなかった。あれは明らかに、少し大きな結果をもたらした」
「しかしこれが次の数レースでも続くとしたら『うわぁ』って感じだね。1回のレースだけで、『何も変わっていない』というストーリーが作られるかどうか分からないけどね」
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