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【トヨタが街をつくる】なぜ富士山麓に未来の街「WovenCity」2021年着工を決断した?

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【トヨタが街をつくる】なぜ富士山麓に未来の街「WovenCity」2021年着工を決断した?

リアルなスマートシティを独自建設

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】未来型都市「WovenCity(ウーブン・シティ)」/自動運転「eパレット」 全50枚

トヨタはアメリカ現地時間の1月6日、世界最大級のIT・家電見本市CES(ネバダ州ラスベガス)で未来型都市「WovenCity(ウーブン・シティ)」を2021年に着工すると発表した。

場所は、トヨタの先進開発拠点である東富士研究所(静岡県裾野市)に隣接する広大な土地。設計はデンマークの著名建築家であるビャルケ・インゲルスが担う。

総工費については未公開だが、ラスベガスでの発表内容を見ると、数千億円規模の巨大プロジェクトという印象だ。

住居用の大型マンション、ショッピングセンター、公園施設があり、その中を自動運転車「eパレット」が通行。また、街の地下は物流用の自動運転システムが稼働する仕組みだ。

こうした先進的な街づくりについては「スマートシティ」と呼ばれることがある。自動運転、EV、そしてデータ通信によるコネクテッドによって豊かな生活を実現するという考え方だ。

トヨタ本社が配布した日本語資料にも「コネクティッド(コネクテッド)・シティ」プロジェクトとある。

自動車産業界ではこれまで、通信というとクルマとクルマ、またはクルマとインフラがつながることを示してきた。

今回、トヨタの「WovenCity」では、人とクルマ、そして人と社会(コミュニティ)が通信でつながる。

それにしても、トヨタはなぜこのタイミングで未来の街づくりを決断したのだろうか?

CASEは社会実装ステージへ

ラスベガスの会見に登壇した、トヨタの豊田章男社長は「WovenCityによって、CASEを見える化する」という説明をした。

CASEとは、コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス、そして電動化を指す。

ドイツのダイムラーが次世代技術戦略向けのマーケティング用語として使い、それがメディアを通じて一般名詞化した。

トヨタはこれまで、CASEに対する技術開発を積極的に行ってきた。

本社のカンパニー制の中で、先進技術カンパニーやコネクテッドカンパニーなどが個別の技術開発を行うと同時に、先進的なソフトウエア開発についてはTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスド・デベロップメント:東京日本橋)が担当する。

2019年12月には、TRI-AD社内がメディアに公開され、トヨタの次世代技術開発の方向性について関係者から詳しい説明があった。

こうしたトヨタ社内組織や関連企業で開発された、量産を目指す技術や商品を実際の生活の中で使うために考案されたのが「WovenCity」なのだ。

トヨタでは、アイディアや技術をプロトタイプなどによって具体的に表現することを「見える化」と呼ぶが、「WovenCity」はまさに、トヨタが目指す「すべての人にモビリティを」という理想像の見える化だ。

いま、トヨタとして大きな転換期

ラスベガスの会見で豊田社長は「どうして自動車メーカーのわれわれが街づくりをするのか?」という点にも触れた。

そのなかで、古典的な機織り機の写真を紹介しながら、トヨタ自動車の前身である豊田織機に触れて、トヨタが人の生活を基盤に考える企業だと強調した。

筆者は先日、久しぶりにトヨタ産業技術記念館(愛知県名古屋市西区)を訪問。同館内には、豊田佐吉が考案した機織り機を起点として、大型で複雑になる機織り技術の進化が見える化されている。

さらに、「トヨタ自動車のはじめて物語」として、トヨタのクルマ作りの原点を知ることができる展示が多い。

こうして、これまでのトヨタの歩みを振り返ってみると、トヨタがいま、次世代に向けて大きな転換期にあることが肌感覚としてわかる気がする。

その転換とは、機織り機からクルマへという変化とは比べものにならない、巨大な変革である。

豊田社長はこれまで、「自動車産業は100年に一度の大きな転換期」と呼んできたが、トヨタ自身が大転換するために、「WovenCity」は必要不可避なのだと思う。

トヨタは「総合生活サポーター」になる?

では、具体的に、トヨタはこれからどのような企業へと変わっていくのだろうか?

キーワードは、「総合生活サポーター」だ。2020年5月に本格実施される全国トヨタ系ディーラーの全店舗全車種併売に対して、トヨタ国内営業部がディーラー各社に対して使う言葉である。

トヨタはクルマを作り、そしてディーラーがクルマを売る。こうした製販分離の現状から、ビジネスモデルを大きく転換する中で、トヨタもディーラーも、人の生活に寄り添う企業体制になるという意味だ。

人の生活を集約するのが、コミュニティであり、そして町である。

富士山麓に出現する「WovenCity」には、約2000人が実際に生活しながら、トヨタがいかにして総合生活サポーターになるのかを考えていく。

ここまで大規模に自社として未来の街づくりに具体的な投資を行う自動車メーカーは、現在のところ、トヨタのみである。

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みんなのコメント

1件
  • 超巨大なクローズドコースを造るってだけだからなあ。
    自動運転なんて一般道では無理と宣言したようなもの。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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