2種類あるエンジンが生む価格差
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
過大なリアスポイラーなどが流行していた2005年。当時のAUTOCARは、7代目セリカのスタイリングをやりすぎだと見ていた。「注目を受けたいのなら、1台手に入れるのも悪くない」 と記してある。
一方で、感触の良い操縦性、充分な乗り心地、滑らかに変速できるトランスミッション、6000rpm以上回る素晴らしいエンジンを評価もしている。英国では控えめなTスポーツと、GTという2つのグレードが存在した。
エンジンは同じ1.8LのVVTL-iと呼ばれるユニットで、最高出力は190psを誇った。このVVTL-iという名前は、バリアブル・バルブ・タイミング&リフト・コントロール・インテリジェンスの略。
VVT-iシステムの進化版。給排気のバルフリフト量を6200rpmからレッドラインの8000rpmまでの間で増やし、最高出力を高めていた。6250rpm以下では145psを発揮したVVT-i版ユニットより活気なく感じられるが、効果的なシステムだ。
最高出力で劣るVVT-i版エンジンのセリカを良い値段で見つけたら、倍の走行距離を走った190ps版のVVTL-iとどちらが良いか、しっかり考えたい。英国の場合、9万km程度の走行距離で、整備も行き届いた2004年式の1.8L VVT-i版が1950ポンド(26万円)程度で手に入る。
同じ値段で、同年式のVVTL-i版も購入できるが、その値段なら走行距離は2倍程度に伸びるだろう。さらにVVTL-iを積んだGTグレードなら、1000ポンド(13万円)程度は上乗せとなる。
VVTL-iの価格は高くなるが、それは希少性も高いから。高回転域まで回るエンジンも手に入る。確かに見た目の好みを左右するデザインではある。だが、将来的にはクラシックとして再評価を受けるだろう。
信頼性は高いものの注意したい点も
7代目セリカ、開発コードT230型は、英国では2000年に発売が始まった。当初はVVT-iエンジンのみだったが、2+2のコンパクトなクーペに、低いドライビング・ポジションと軽快な操縦性を兼ね備えていた。
変速も素早く決まり、ハンドリングもシャープ。当時のFFモデルとしては、ベストといえる操縦性を得ていた。セリカとして最後のモデルとなったが、一部の人の間では評価は高かった。
装備も充実しており、エアコンにABS、アルミホイールにパワーウインドウは標準。オプションでレザーシートやオートエアコンも選べた。そして2000年の末になると、さらにスポーティで装備も豪華なVVTL-i版が追加される。
2003年にはマイナーチェンジを受け、ブレーキと空力性能が改められた。GTグレードが英国に登場したのは2005年。セリカの販売が終了するわずか1年前だった。
英国の場合は走行距離が伸びる傾向にあるが、VVT-iエンジンなら19万km前後の走行距離で500ポンド(6万7000円)くらいから見つかる。フェイスリフトの前後というより、クルマの状態を優先したい。
執筆時に英国の中古車市場に出ていた、最も高いセリカは5000ポンド(67万円)。12万8000kmのVVTL-iエンジンを積んだ最終型のGTだ。
セリカもトヨタ製のクルマということで、信頼性は高いが、注意したい点もある。VVTL-iの場合は、バルブリフターの調子。VVT-iの場合は、エンジンオイルの消費量。さらに、ぶつけやすいフロントスポイラーの状態や、ボディ下面やサブフレームのサビ。
1990年代のGTフォー ST205に続く、優秀な血統を持つT230型セリカ。今はまだ、その価値に気付かれていないだけだ。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
すべてのエンジンで、タイミングチェーンの磨耗に注意。VVTL-iエンジンの場合、回し過ぎやオイル不足でオイルポンプが不調になることがある。
60度の水温で6200rpmを過ぎてから、カムリフターが機能することを確認する。2003年以前はリフターのボルトが弱く、正常に動作していないことがある。リフターのフィルターの詰まりで不具合になることも。
オイルサンプの腐食や漏れにも注意。オイルの量をチェックする。VVT-iエンジンの場合、1000kmで1Lほど消費することがある。
ホイールとブレーキ
リアタイヤからのハミングは、ハブベアリング劣化の可能性があるが、ハブ全体を交換することになる。
ブレーキ・マスターシリンダーからのフルード漏れ、ディスク内面のサビなどに注意。ホイールキャップのロゴは色あせしやすい。
ボディ
フロントリップ・スポイラーは位置が下がりやすい。取り付け直し、補強も必要となる場合がある。ボディ下側のサビは一般的だが治せる。リアサブフレームも錆びやすく、状態が悪いと車検に通らない。
荷室側のストラットが傷んでいないかも確認する。スペアタイヤ部分のフロアに水が溜まっていないかも確かめたい。
インテリア
シート表皮の磨耗は一般的。修復もできる。ステアリングホイール右側にあるボタンで、トラクション・コントロールがオフにできるか調べる。
キーが2本あり、プラスティック・ケースが割れていないかも確認する。
専門家の意見を聞いてみる
イシュラト・レイ・リーマン セリカのコレクター
「セリカGTが大好きです。品質も信頼性も高く、スポーティ。ヤマハが設計したVVTL-iエンジンは、しっかり温めてから高回転域まで回すようにしましょう。不具合といえば、フロントスポイラー。不注意なドライバーがスピードバンプ(速度抑制用のコブ)にぶつけることが多いです」
「低走行距離のクルマは、価格は少し高い状態で留まっています。昨年、4万8000kmのクルマを5000ポンド(67万円)で売っていますが、最近は7000ポンド(94万円)くらいになっています。クルマの人気の表れでしょう」
「逆に走行距離の長いクルマは、価格も安くまちまちです。2006年式で13万3000kmのVVTL-iセリカを年末から売りに出していますが、買手は付いていません。夏前までに売りたいところです」
知っておくべきこと
英国の正規モデルはMT車のみ。AT車は並行輸入となる。高回転域まで吹け上がるエンジンを積んでいるだけあって、AT車は少ない。
防錆性は高いとはいえないようだが、全般的に日本から英国へ並行輸入される中古車は、サビが少ないクルマが多いようだ。
いくら払うべき?
500ポンド(6万円)~999ポンド(13万9000円)
走行距離が多い初期のセリカ。エンジンはVVT-i。整備記録も完全ではないことが多い。
1000ポンド(14万円)~1999ポンド(26万9000円)
VVT-iで走行距離は16万km前後。英国では、トヨタでの整備記録が揃った2003年式で、走行距離が14万6000km程度のセリカが、1945ポンド(26万円)ほど。
2000ポンド(27万円)~2999ポンド(40万4000円)
調子の悪くないVVT-iのセリカ。走行距離は16万km以下を狙いたい。
3000ポンド(40万5000円)~5500ポンド(74万円)
VVTL-iエンジンを積んだセリカが出てくる。走行距離は16万km以下がほとんど。しっかり整備され、状態が悪くないクルマも少なくない。英国では、5000ポンド(67万円)で12万3000kmの2006年式が売られたいた。
英国で掘り出し物を発見
トヨタ・セリカ1.8 VVT-i 登録:2004年 走行:10万6200km 価格:3850ポンド(51万9000円)
レアでパワフルなVVTL-iのセリカではないが、VVT-iも実際の交通環境では充分に速い。ワンオーナー車で、トヨタでの整備記録もしっかり残っている。サンダー・グレイではなく、クリスタル・シルバーという点も良い。
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