日産スカイライン2000GT-R(KPGC10)の特徴
・1800万円からスタート
・2900万円で落札
・予想落札額は2800~3500万円だった
・大変希少な“KPGC10”のレースカー
・日産プリンス・スポーツコーナーが販売
・希少なオリジナルのレースパーツを多数装着
・“GT-Rの神様”と呼ばれた渡辺茂のコレクションカー
・渡辺の手によって各部をアップデート&モディファイ
・Ready to Race コンディション
【画像】日産スカイライン2000GT-R(KPGC10)【ディテール】 全16枚
日産スカイライン2000GT-R(KPGC10)の詳細
日産自動車は1968年8月、プリンス自動車と合併後初めての新型車となる3代目スカイライン(C10型)を発表する。そしてその年の10月に開催された東京モーターショーで、レーシング・マシンR380用のGR8型エンジンをディチューンした2L直6DOHC“S20”ユニットを搭載した“スカイラインGTレーシング仕様”を参考出品として公開。1969年2月にその市販版となるスカイライン GT-R(PGC10型)をリリースした。
5月に開催されたJAFグランプリTSレースでは、日産村山工場で製作された4台のワークスマシンがデビュー。結果は、トップでゴールしたトヨタ1600GTの失格裁定による繰り上げ優勝という形ではあったが、それ以降のレースでは圧倒的なパワーでライバルを圧倒し、連戦連勝を飾っていく。
1970年にスカイラインに2ドア・ハードトップが追加されると、GT-Rも2ドアのKPGC10型へ発展。4ドアに比べ70mm短いホイールベースと20kg軽くなった車体の効果で運動性能が向上した。
同時にレース仕様もさらなる進化を遂げ、ルーカス製機械式インジェクションを装着しドライサンプ化された1989cc直6DOHC S20ユニットは、最終的に264ps/8400rpm、21.0kg-m/6800rpmを発生したといわれている。
そして1972年1月の富士300キロスピードレース・スーパーツーリングレースで、高橋国光がGT-Rの国内レース通算50勝を達成。最終的には国内レースで57勝を飾り、現代にまで続くGT-R神話を作り上げた。
しかしながらマツダが小型軽量でハイパワーを誇るマツダ・サバンナRX-3を投入すると、大柄で前面投影面積の大きなボディ、エンジン単体で200kg、車両全体で1020kgという重量が足かせとなり、GT-Rは次第に苦戦を強いられるようになる。
それでも1972年後半にブレーキをフロント・ソリッドディスク&リア・ドラムから、フロント・ベンチレーテッド・ディスク&リア・ソリッドディスクへと変更するなど細かな改良が加えられたが、10月の富士マスターズ250キロレース・スーパーツーリング・チャンピオン・レースをもってワークス活動を終了。その後を引き継いだプライベーターたちも1973年シーズンをもってビッグレースから姿を消していった。
出品車は、東京・大森にあったメーカー直系のレーシングサービス&チューナーというべき日産プリンス・スポーツコーナーで1972年に製作されたKPGC10のレーシングモデルである。
オーナーは後に佐賀県伊万里市でGTRサービスワタナベを開き“GT-Rの神様”と慕われた渡辺茂。スカイラインGT-Rに心酔するがあまり、会社勤めを辞め、一時はスポーツコーナーでメカニック修行をしていたという経歴の持ち主だ。
渡辺はホワイトボディから、当時のレーシング・スペックに準じて仕立てられたKPGC10で、いくつかのレースに参戦。確認できる範囲ではビッグレースの出走歴はないものの、1975年5月の中国九州地区選手権厚保グランド200レースで12位、8月のマスタリーシルバーカップレースNo1で10位、1976年11月の’76西日本500キロレースで南部誠司とコンビを組んで7位といった成績を残している。
特筆すべきはこのKPGC10が新車時からずっと渡辺の手元に保管されてきたワンオーナーカーであることだ。
もちろんレーシングカーゆえ、レースを重ねていく中で渡辺自身の手で改良を施された部分もあるが、そもそも当時レーシング・スペックでデリバリーされたKPGC10の現存車がほとんど存在しない中で、これだけのオリジナリティを残し、しかもレディtoレース状態で保存されているのは驚異的ですらある。
そうした意味でもこのKPGC10は、日本のレース史、そしてスカイライン史を語る上で貴重な存在と言えるだろう。
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