11月30日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1戦の決勝レースが行われ、このレースをポール・トゥ・ウインで制した小出峻(HFDP WITH B-MAX RACING)が、2024年のチャンピオンを決めた。今シーズンのスーパーフォーミュラ・ライツは小出と野中誠太(PONOS Racing TOM'S 320 TGR-DC)のふたりによるタイトル争いだったが、かたやポール・トゥ・ウイン、そしてかたやトラブルという思わぬ決着劇となった。
若手ドライバーにとって、国内トップカテゴリー、さらには世界で戦うためには是が非でも手に入れたいのがスーパーフォーミュラ・ライツのチャンピオン。もちろん、タイトルを得ずにトップカテゴリーで花開くドライバーも多いが、やはりチャンピオンの称号は欲しいものだ。
スーパーフォーミュラ・ライツ第1戦をポール・トゥ・ウインで制した小出峻がチャンピオンを決める
今シーズンのスーパーフォーミュラ・ライツは、ホンダ・フォーミュラドリーム・プロジェクト(HFDP)から成長を遂げた2年目の小出、そしてTGRドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)で育ってきた野中がタイトルを争ってきた。ランキング3位の小林利徠斗(モビリティ中京 TOM'S 320 TGR-DC)、4位の中村仁(モビリティ中京 TOM'S 320 TGR-DC)も可能性は残し最終大会のもてぎを迎えていたが、点差が大きく小出と野中の一騎打ちの様相を呈していた。
チャンピオンはもちろんひとりだけ。勝者がいれば敗者がいる。しかし、ふたりの若者の戦いは、あまりに明と暗がくっきりと分かれる決着となった。
■木曜までの悪い流れをチームと払拭。思わず出た初めての嬉し涙──小出峻
最終大会は11月28日(木)の専有走行でスタートしたが、小出にとっては思わぬ週末の始まりとなった。開始から45分というところで、ヘアピンを立ち上がった小出車から異音が起き、力なくストップしてしまったのだ。ドライブシャフトのトラブルだったが、チームは車両が戻ってくるなり、早急に修復作業に取りかかった。
修復を終え、セッション終盤に2周だけ再度コースインすることができたが、小出はこの2周が週末に向けて大きなキーポイントになったという。「一致団結して勝つという目標にフォーカスして取り組んだ結果、すべてがうまくはまった。金曜からのクルマのパフォーマンスの向上の度合いは、本当に集大成と呼べるようなステップで進めることができたと思います」とこの2周で金曜の方向性を定めて取り組んだ結果、第1戦、第2戦ともポールポジションを決めることができた。
こうして臨んだ第1戦だが、ポールポジションからスタートを決めると、終始2番手の小林のプレッシャーにさらされるレースとなり、「正直、かなり大変なレースだったと思います。勝てるかどうか、ファイナルラップの最終コーナーまで安心することができませんでした」という苦しい戦いをしのぎ優勝。後述の野中の状況もあり、今シーズンのチャンピオンを決めた。
ふだんは笑顔が印象的な小出だが、パルクフェルメでは涙をみせた。「ホッとしたという気持ちがいちばんです。今まで、実は“嬉し泣き”ということはしたことがなくて、『嬉しくて泣くってどんな気持ちなんだろう』と思っていたのですが、チェッカー後、無線でいろんな声をかけていただくなかで、気持ちがこみ上げてきて涙が出てしまいました」と小出は語った。
「本当にもうシンプルに嬉しいです。やっぱりプレッシャーもかかっていましたし、いろんなものを背負って走っていたので、そのプレッシャーから解放された気持ち、達成しなければいけない目標を達成できた安堵の気持ちですね。泣けるくらいやり切ってきたということだと思います」
今シーズンは野中とタイトルを争っていた小出だが、第6大会の鈴鹿では思わぬ不振に苦しみ、野中に9ポイント差まで詰め寄られていた。「鈴鹿大会はあまり歯車が噛み合っていなかったですし、勢いという面では、野中選手に分があるなかでのもてぎ大会になると思っていました。その勢いのままこられてしまうと、チャンピオンも難しくなってきてしまうと思っていました」と小出は苦しかった11月を振り返った。
「でも、最終大会で自分がやれることをやるだけだと思いましたし、他人と比べても意味がないと思っていました。今までももちろんやってきたつもりですが、今まで以上に力を入れてやってきました」
小出は、いつもの明るい笑顔で安堵の気持ちを語った。
■「戦えていない」まま終わってしまった4年目の王座争い──野中誠太
一方、言葉に表せない悔しさを味わったのは野中だ。鈴鹿大会では2勝を挙げ、小出に詰め寄り迎えた最終大会。2021年にFIA-F4でチャンピオンを獲得したが(2022年の王者が小出)、この年はコロナ禍ということもあり、スーパーフォーミュラ・ライツへの参戦の機会も得ていた。今シーズンはその参戦も含めると4年目。タイトル獲得が義務づけられた年だった。
専有走行ではいずれも上位につけ、小出のタイムがわずかに図抜けてはいたものの、感触は十分。鈴鹿でも抜群の切れ味をみせていたスタートを決めれば、見ごたえあるタイトル争いの勝負が展開されるはずだった。しかし、迎えた11月30日の公式予選では、まさかの事態が起きた。
電気系のトラブルが起き、ステアリングが一瞬シャットダウンしてしまう。ステアリングが機能しなければギアチェンジもできない。なんとかタイムは記録したが、第1戦、第2戦とも11番手に沈んでしまった。さらに、電気系トラブルは今季のスーパーフォーミュラで阪口晴南に起きたように、まわりを巻き込んでしまう恐れもある。チームは修復を試みたが、第1戦のスタートには間に合わなかった。
ようやく野中がコースインできたのは15周目。ただ、コースイン直後にまた同じ症状が出てしまい、野中は再度ピットイン。チェッカーをピットで迎えることになった。タイトル争いは無情の結末で終わってしまった。
「戦えていないですからね……」と野中は第1戦の後、複雑な表情をみせた。
「起きたことは仕方ないですが、これまで人生をかけて準備してきたところもありますし、応援してくださるファンの皆さん、関係者の皆さんがあってこそこの場にいられたと思うので……。僕自身の悔しい気持ちはもちろん、まわりの人の思いも考えたら、なんとも言葉にできない気持ちです」
「4年間やってきたスーパーフォーミュラ・ライツでの集大成がこんな形で終わってしまいましたし、これが1年目だったら『また来年頑張ろう』と言えますけど、本当に僕にとっては最後で、レース人生の大きな分岐点だったので」
チームは全力を尽くし野中とともに準備をし、最終大会に乗り込んでいた。もちろんそれは野中も分かっている。だからこそやり場のない悔しさが募る。
「もちろん誰が悪いわけでもありませんし、仕方がない部分もあります。原因が分かっていなくて、明日も本当にレースができるかどうかもまだ見えていません。あの状態で走ってしまったら、まわりも危険な状況に巻き込んでしまいますし、大きな部分を直してピットアウトしたのですが、また同じ症状が出てしまって」
「なんとか明日は走れるだけ走りたいです。このまま終わってしまったら悲しすぎるので」と野中は、12月1日の第2戦、第3戦に向けて声を絞った。走ることさえできれば、将来に繋がるレースにできるはずだ。トラブルが解消することを願わずにはいられない。
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