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売れ筋Q5がバッテリーEVへ アウディQ6 eトロン 試作車へ試乗 ポルシェと共同開発

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売れ筋Q5がバッテリーEVへ アウディQ6 eトロン 試作車へ試乗 ポルシェと共同開発

ポルシェと共同開発されたアーキテクチャ

高性能モデルに長けたポルシェと、人間工学や実用性に長けたアウディがコラボすると、大抵は素晴らしい結果が生まれる。1995年に発売されたアウディRS2 アバントは、ファミリーワゴンとドライバーズカーが両立することを、見事に体現していた。

【画像】売れ筋Q5がバッテリーEVへ アウディQ6 eトロン・プロトタイプ 競合クラスの電動SUVも 全146枚

ポルシェ・タイカンと技術を共有するアウディeトロンGTも、現在の市場では最も魅力的な電動サルーンとして、ライバルをリードする内容にある。恐らく、同じプラットフォームで成り立つタイカンの次に。

これらの事実は、両社が4年を費やして開発を進めてきた電気自動車用の新プラットフォーム、PPEアーキテクチャに対する期待を高める。主にプレミアム・ブランドでの展開となり、フォルクスワーゲンのモデルには利用が想定されていないという。

PPEアーキテクチャの設計は、フォルクスワーゲン・グループが活用しているMEBアーキテクチャから影響を受けている。だが、より大型で高速で、ダイナミックな走りのバッテリーEVへ対応するよう仕上げられた。

現在以上に、アウディとポルシェのアイデンティティを差別化することが目指されている。その口火を切るのが、2024年初頭に欧州での販売がスタートする、アウディQ6 eトロンだ。

今後控えている、ポルシェ・マカンのバッテリーEV版と兄弟関係に当たるSUVで、現行のQ4 eトロンとQ8 eトロンのギャップを埋める役割を果たす。内燃エンジンで走るQ5の、バッテリーEV版ともいえる。

最高出力は401ps 航続距離は600km以上

ここまでの道のりは、平坦なものではなかった。本来、Q6 eトロンとポルシェe-マカンは、2023年にはディーラーへ並ぶ予定だった。しかしソフトウェアの不具合など、いくつかの要因でスケジュールが遅れ現在に至る。

それでも、今回試乗したプロトタイプのQ6 eトロンは、開発の90%が完了しているという。シャシーやドライブトレインなどは、ほぼ量産仕様に近いらしい。ボディには、カラフルなカモフラージュが施されていたけれど。

Q6 eトロンは、アウディが電動SUV市場で最も重要だと考えるセグメントに属する。好調に売れているQ5から、もたつかずにバトンを受け継ぐことはできるだろうか。

試乗車のグレードは「55」で、フロントに非同期モーター、リアに永久磁石同期モーターが搭載された四輪駆動。どちらも自社開発され、2基合計の最高出力は401psがうたわれる。

フロア部分に敷き詰められる駆動用バッテリーの容量は、約100kWh。パワートレインは電圧800Vで制御し、急速充電能力は270kWまで対応する。

航続距離は600km以上と主張されるが、その実現のために、技術者はシステムの設計を徹底的に煮詰めたという。例えば、エネルギー効率に優れたシリコンカーバイド半導体が、広範囲に採用されている。

駆動用モーター内部のコイルのワイヤーも、円形ではなく正方形の断面とすることで、隙間を減らし高効率化。駆動用バッテリーは、ニッケル、マンガン、コバルトを正極材に用いた三元系(NMC)で、直方体のセルにし高密度化させている。

Q5と同様の魅力があり親しみやすい

担当の技術者へ、Q6 eトロンの直接的なライバルを尋ねたところ、簡単には挙げられないと話していた。BMW iX3がサイズ的には近いものの、こちらは内燃エンジンにも対応したアーキテクチャを採用し、中国市場が強く意識されている。

BMW iXはクラスが異なる。キアEV6やヒョンデ・アイオニック5はサイズが小さく、ブランドイメージという点でも、クロスすることはないだろう。

アウディが目指したのは、過去10年間のベストセラー、Q5の内容を可能な限り維持しつつ、電動化すること。Q6 eトロンはまったく新しいモデルだが、実際、高級感や実用性では現行の内燃エンジン版に近い。同等の魅力があり、親しみやすいと思う。

車内から観察していくと、荷室は充分に広い。前後の乗員空間もライバル以上。高密度化された駆動用バッテリーはフロア高を抑えており、内燃エンジンのSUVとキャビンの高さは近づけられている。

インテリアデザインには開放的な雰囲気があり、質感はソリッド。プロトタイプということで、インフォテインメント・システム用モニターには分厚い布がかけられていたが、日常的に視界へ入るパネル類などは、上質な素材で綺麗に仕立てられていた。

望ましい位置に並べられたスイッチ類のタッチにも、高級感がある。触れることが許されたのは、一部だったが。

Q6 eトロンのアドバンテージは小さくない

乗り心地は、凹凸の目立つアスファルトをしなやかに均し快適。舗装の剥がれた穴や、速度抑止用のスピードバンプなども、エアスプリングが見事に処理していた。

走行中の車内は、非常に静か。アウディは、開発では車内の音環境にも注力したと説明しており、ロードノイズなどは見事に抑え込まれている。駆動用モーターのハミングも、小さく耳に届くだけだった。

ドライブモードに関わらず加速はたくましく、パワーデリバリーを予想しやすく感じた。アクセルペダルの操作へ、細かく反応してくれる。

ダイナミック・モードを選択すると余裕が増し、回生ブレーキの効きが強くなる。一層滑らかなドライビング体験を得られ、Q6 eトロンのベストモードかもしれない。

一方で、航続距離を最大限に伸ばすモードを選んでも、充分に活発。加速が鈍いとまでは感じないだろう。

eトロンGTより新しいモデルとして、体感できる技術的な進歩度合いは期待より小さいかもしれない。しかし、エネルギー効率を大幅に高めたアーキテクチャを採用しており、Q6 eトロンのアドバンテージは決して小さくない。

カモフラージュが解かれたスタイリングや、インフォテインメント・システムなどのインターフェイス、実際の航続距離や動力性能、販売価格など、具体的な評価のために確認すべき点はまだ多くある。2024年の始めまで、期待して待つことにしよう。

アウディQ6 eトロン55 プロトタイプのスペック

英国価格:6万7000 (約1212万円/予想)
全長:−mm
全幅:−mm
全高:−mm
最高速度:−km/h
0-100km/h加速:6.0秒(予想)
航続距離:600km(予想)
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:−kg
パワートレイン:非同期モーター(フロント)+永久磁石同期モーター(リア)
駆動用バッテリー:100kWh
急速充電能力:270kW
最高出力:401ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:シングルスピード(四輪駆動)

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