4年間、強い競争力を保ってきたEクラス
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
登場から4年が経過した、5代目メルセデス・ベンツEクラス。英国編集部の評価も高く、エグゼクティブ・サルーンとして強い競争力を保ってきた。
より鋭い走りを楽しめたり、ルックスで惹かれるライバルも存在する。しかしEクラスならではといえる、優れた快適性と洗練製のバランスは、4年間の競争に十分耐えるだけの力があった。英国では、高速道路での移動が多い社用車としてのシェアも高い。
一方で先端技術の分野では、4年はかなり長い時間となる。すでにBMW 5シリーズやアウディA6は、モデルライフ中期のマイナーチェンジを受けている。
そこでメルセデス・ベンツも、Eクラスの技術面を刷新させた。今年初めのAUTOCARの取材に対し、技術者は一部の領域ではSクラスより先進的だとすら話していた。
その筆頭といえる運転支援システムは、大幅に拡張。例えば、追加されたアクティブ・スピードリミット・アシスト機能は、カーブや交通標識を認識し、クルーズコントロールの速度を自動的に調整してくれる。
また電圧48Vによるマイルド・ハイブリッドが、すべての内燃エンジンに組み合わされた。マイナーチェンジ前と比較して、エネルギー効率を高めている。
もちろんフェイスリフトとして、ボディやインテリアではデザイン変更も受けている。装備類は向上し、新しいホイールのデザインや、ボディカラーが選べるようにもなった。
クルマの内外で刷新されたデザイン
まずは、見た目の変化から確認してみよう。マイナーチェンジ前との違いは明らか。フロント周りでは、最新CLS風のLEDヘッドライトが標準装備となり、グリルやバンパーのデザインも一新されている。
リアでは、テールライトの造形が新しくなっている。だがEクラスとして、スタイリング全体から受ける印象に大きな違いはないだろう。
近年、ドイツ御三家の中の2ブランドは、これまで以上に大胆でアグレッシブなデザイン・アプローチを取ってきている。Eクラスの落ち着きと上品さは、新鮮ですらある。
インテリアでの変更点は、さらに顕著。基本的な造形は見慣れたものだが、細部では全面的に手が入っている。
一番わかりやすいのはステアリングホイール。シンプルな3スポーク・デザインが与えられている。2本に分かれた各スポークには、それぞれ別の機能のスイッチ類が配置されている。
このステアリングホイールのスイッチは、タッチセンサー式。やや盛り過ぎにも感じられるが、慣れてくると自然で扱いやすい。
センサー式となったことで、操作性も高められている。例えば英国仕様の場合、クルーズコントロールで8km/h(5mph)ごとに速度を加減した場合は、ボタンを強めに押せばいい。優しく触れれば、1.6km/h(1mph)づつ加減することができる。
運転支援システムなどもアップデート
インフォテインメント・システムとコネクティビティ・ソフトウェアは、メルセデス・ベンツ最新のMBUXへとアップデート。デュアルモニターが標準装備で、上級トリムグレードを選ぶとサイズが大きくなる。
車両中央側のモニターはタッチ式。インターフェイスとしては、ロータリー・コントローラーではなく、四角いタッチパッドが採用されている。
音声認識システムも、高度になった。正直、筆者としては古いロータリー・コントローラーの方が走行中でも操作しやすいと感じたが、使っているうちに慣れるだろう。
タッチセンサーをステアリングホイールに採用したことで、レーンアシスト機能の利便性も向上。わずかにステアリングホイールを動かし、ドライバーがステアリングホイールを握っていることをクルマへ伝える必要がなくなった。
ドライバーは、タッチセンサーに触れていれば良い。車両間のコネクティビティ機能によって、先行車両の動きから、渋滞時などで自動的に速度を落とすことも可能としている。
エナジャイジング・プラス・パッケージというオプションも注目。Sクラスのように、シートだけでなく、ドアやアームレストにもヒーターが内蔵される。
とても快適なことには間違いない。だが、試乗車にはこれらを含む無数のオプションが搭載され、ドイツでの価格は9万6877ユーロ(1210万円)。少し引いてしまう金額になっていた。
快適な乗り心地でゆったりと走りたい
それ以外のメカニズムでは、電圧48Vのマイルド・ハイブリッドと小さな改良程度。サスペンションも調整を受けている。燃費優先のタイヤに、焦点が向けられたという。
今回試乗したのは、プラグイン・ハイブリッドのE300e。基本的に中身は昨年導入されたものと変わりはない。13.5kWhのバッテリーを搭載し、48km程度のEVモードでの走行を可能としている。
エンジンとモーターとのバトンタッチは、シームレス。とても滑らかで力強い走りを、優れた燃費で実現できる。自宅や目的地で、定期的な充電を繰り返せば。
発進加速も力強く、かなり速い。AMGではないから、圧倒的というほどではない。
PHEV化で増えた車重はプラットフォームで分散され、不快さを感じることはないものの、ゆったりと走る方が向いている。スポーティな走りは目指していないし、クルマとの対話といった感覚も薄い。
姿勢制御は適度に引き締められているものの、ペースを速めていくと洗練度で陰りが見えてくる。最優先されているのは、快適な乗り心地だ。
試乗車にはオプションのエア・ボディ・コントロールと呼ばれる、エアサスペンションが備わっていた。管理の悪い郊外の道でさえ、滑らかにいなしてくれる余裕がある。
PHEVとしてマイナス面もある。車両価格は通常の内燃エンジンと比べれば高い。また荷室容量も、システムが約20%を削っている。
ディーゼル版のPHEVを推したい
マイナーチェンジによって、テクノロジー面を大幅にアップデートさせてきたEクラス。一方でわれわれが知っている、優れた品質や性格は保たれている。リラックスしたまま、長距離を走りきり、混雑した都市部をすり抜けられだろう。
PHEV版も含めて、このクラスで特に秀でた優等生は、BMW 5シリーズだと思う。快適性でいえば、Eクラスの90%ほどは得られる。カーブの続く道に差し掛かれば、全長5m近いサルーンを、思い切り振り回せる動的性能も備えている。
このメルセデス・ベンツ E300eにも、強い訴求力はある。だがEクラスなら、ディーゼルエンジンを積んだ、先進的なE300deを推したい。
ディーゼルとPHEVとの組み合わせは、珍しい。スムーズなEVモードでの走りと、ディーゼルによる長距離性能を持ち合わせる強みは、見逃せない。バッテリーの充電が空になっても、17.7km/L程度の燃費で走ることだって、できるのだ。
メルセデス・ベンツEクラス E300e(欧州仕様)のスペック
価格:4万6330ポンド(625万円)
全長:4935mm
全幅:1852mm
全高:1460mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:17.8-18.2km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:1990kg
パワートレイン:直列4気筒1991cc+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:320ps/4500-5500rpm(システム総合)
最大トルク:71.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック
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