現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > スポーツカー不人気と草食系男子、意外な関係 性能や価格アップも不振の原因?

ここから本文です

スポーツカー不人気と草食系男子、意外な関係 性能や価格アップも不振の原因?

掲載 更新
スポーツカー不人気と草食系男子、意外な関係 性能や価格アップも不振の原因?

もくじ

ー 走行性能が実用的な上限に達してスポーツカーの役目は終わった!?
ー クルマの価格が上昇 セカンドカーでの所有、困難
ー 大人しい男の子が増えたからスポーツカーが売れない!?

まったくもって復活を期待しないクルマ7選 あなたは何台知っている?

走行性能が実用的な上限に達してスポーツカーの役目は終わった!?

乗用車の動力性能が進化していた時代は、先端を走るカテゴリーとしてスポーツカーが注目された。ツインカムエンジンやターボも、スポーツカーに採用されて普及した。だからスポーツカーは「走る実験室」であった。

ところが1990年頃になると、平凡なセダンやハッチバックでも、不満のない性能を得られるようになった。スポーティなグレードであれば、峠道を楽しく走ることも可能だ。本格的なサーキット走行でもしない限り、スポーツカーを購入する機能的なニーズは薄れた。

またスポーツカーも、数値で表現できる実用性能は上限に達していた。進化の焦点が、乗り心地を含めた感覚とか味わいに移っている。クルマ好きにしてみれば、数値で示される性能よりも感覚や味わいが大切だが、一般的な興味は引きにくい。最近はスポーツカーの華やかなイメージが薄れてきた。

そして1990年代に入ると、日本ではミニバンや背の高いコンパクトカー、1993年登場の初代ワゴンRで始まった空間効率の優れた軽自動車が人気を集めていく。1994年には初代RAV4が発売され、前輪駆動ベースの都市型SUVも注目され始めた。

これらの新しいカテゴリーが登場すると、第二次世界大戦前から存在するスポーツカーは、旧態依然とした印象になって若い人達から敬遠され始めた。

クルマの価格が上昇 セカンドカーでの所有、困難

スポーツカーには2人乗りも多いから、ファミリーカーとしては使えない。そのためにスポーツカーは、セダンやミニバンを所有するユーザーが、セカンドカーとして購入することが多い。

まさに趣味のツールだが、最近は安全装備の充実や環境性能の向上により、クルマの価格が上昇した。

1990年頃は、初代ロードスターの標準車が170万円で、併用するファーストカーがレガシィツーリングワゴンと仮定して、2.0VZは205万5000円だった。このファースト/セカンドカーの合計価格は約375万円だ。

しかし今は、ロードスターSが255万4200円、レガシィアウトバックは329万4000円だから、合計額は約585万円に達する。

世帯当たりの平均所得は、今も1990年頃と同程度だが、クルマの価格は1.2~1.5倍になった。そうなるとユーザーは、愛車を乗り替える時に、クルマのサイズを小さくするしかない。そこで「ダウンサイジング」が進んだ。

よくいわれる環境意識の向上も嘘ではないが、小さな車種が売れ筋になった一番の理由は、クルマの価格高騰だ。この状況でスポーツカーを買うのは難しいだろう。

そこでコンパクトで割安なスポーツカーが求められるが、メーカーにとっては難しい。スポーツカーの売れ行きが下がった今、大量な販売を必要とする低価格車の開発にはリスクが伴うからだ。

その結果、スポーツカーが売れず、求めやすい価格の車種も減り、さらに売れ行きが下がる悪循環に陥った。

大人しい男の子が増えたからスポーツカーが売れない!?

スポーツカーの販売が低調になった背景には、グローバリゼーションもある。1990年頃のスポーツカーは国内市場に合わせていたが、今は海外に重点を置く。その結果、サイズが拡大して性能も向上したが、価格も高まった。フェアレディZ、GT-R、NSXはこの典型だ。

またレビン&トレノ、シルビア、プレリュードといったコンパクトなクーペは販売を終えた。ロードスター、86&BRZ、S660、コペンは健在だが、以前に比べると日本向けの車種が減っている。

スポーツカーが売れ行きを伸ばしにくい背景には、ユーザーの変化もあると思う。かつては一生懸命に働いてお金を稼ぎ、カッコイイスポーツカーを乗りまわすライフスタイルが注目された。価値観がバブル経済に沿って、消費にも積極的だった。背景には競争に勝ち、バリバリと台頭していく人生観があった。

ところが今は「クリスマスイブを彼女と夜景の美しいホテルで過ごす」みたいなのは流行らない。少し前には「家呑み」という宣伝も受けて、お酒を扱う飲食店の売れ行きがますます下がった。クルマのトレンドも、スポーツカーから子育てに適した軽自動車へ移っている。「草食男子」という表現の是非はともかく、消費を抑え、アットホームな方向に向かっている。

見方を変えると、これらはいずれもエコロジーに結び付く。最近のトレンドを「エコか、エコではないか」に分類すると、大半が前者に入るのだ。

例えば「eスポーツ」は、少ない電力消費でスポーツ(といえるのか疑問だが)を楽しめる。わざわざクルマなどで移動して、体力を使うのに比べると、エネルギー消費は大幅に少ない。

これはもはや、人間が変革しているのかも知れない。バブル経済期やそれ以前の生産、消費、移動に積極的なライフスタイルを持ち続ければ、化石燃料の消費量と二酸化炭素の排出量は増えるばかりだ。そこでいよいよ、自然の力が人間の消費行動にブレーキを掛け始めた。スポーツカーもそこに含まれるのではないか。

今から10年以上前だが、小学生の愚息を見ていて妙なことに気付いた。わたしが子どもの頃に比べると、自転車の稼働率が明らかに低い。愚息の友達も自転車にあまり乗っていない。土曜日や休日に街中を歩いても、子どもが友達同士で自転車に乗っている姿をほとんど見かけない(わたしが子どもの頃は、友達と自転車で出かける週末が待ち遠しくて仕方なかった)。

そこで愚息に「目的地を決めず、自転車で遠くまで遊びに行ったりしないのか」と尋ねると「自転車には乗っている。でも移動の道具だから、目的地を決めずに出かけることはない。友達も同じ」と返答されビックリした。自転車が移動の道具だったら、将来、バイクやスポーツカーを好きになる可能性はきわめて低いのではないか。

スポーツカーの売れ行きが下がった背景には、いろいろな理由や事柄が潜んでいるように思う。

個人的には、電動化、運転支援、自動運転が話題になるほど、単純に運転の楽しさを追い求めるスポーツカーが愛しくなる。そんなわたしは、変革に乗り遅れた古い人間なのかも知れない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

10年の休眠を経てシングルナンバーで路上復帰! 激レアいすゞ「ベレットGT」のファストバックに34年…2年がかりでリフレッシュ!!
10年の休眠を経てシングルナンバーで路上復帰! 激レアいすゞ「ベレットGT」のファストバックに34年…2年がかりでリフレッシュ!!
Auto Messe Web
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
レスポンス
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
くるまのニュース
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
日刊自動車新聞
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
くるまのニュース
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
バイクのニュース
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
レスポンス
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
日刊自動車新聞
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
レスポンス
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
motorsport.com 日本版
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
レスポンス
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
motorsport.com 日本版
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
くるくら
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
くるまのニュース
これはクセスゴ!!  オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
これはクセスゴ!! オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
バイクのニュース
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
レスポンス
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
カー・アンド・ドライバー
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
WRCラリージャパン2024が開幕、4日間の熱い戦い トヨタ逆転優勝なるか
日刊自動車新聞

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村