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タイトル争うアキュラとキャデラックが接触。大荒れの最終戦でAXRがGTP初代王者に。優勝はMSR/IMSA

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タイトル争うアキュラとキャデラックが接触。大荒れの最終戦でAXRがGTP初代王者に。優勝はMSR/IMSA

 10月14日、アメリカ・ジョージア州のロード・アトランタで2023年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最終第11戦となる『モチュール・プチ・ル・マン』10時間レースが行われ、序盤からアクシデントが頻発する荒れた展開のなか、メイヤー・シャンク・レーシングの60号車アキュラARX-06(トム・ブロンクビスト/コリン・ブラウン/エリオ・カストロネベス)が勝利を飾った。

 僅差で迎えていたGTPドライバーズタイトル争いは、アクション・エクスプレス・レーシング(ウェーレン・エンジニアリング・レーシング)31号車キャデラックVシリーズ.Rのピポ・デラーニ/アレクサンダー・シムズ組が獲得。新時代最初のチャンピオンに輝くこととなった。

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■タイトル候補に次々とアクシデント

 2023年、ウェザーテック選手権の最高峰クラスは『GTP』へと生まれ変わり、WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスにも参戦可能な『LMDh』規定のマシンによる戦いとなった。混戦模様のシーズンを経て、キャデラックVシリーズ.R、アキュラARX-06、ポルシェ963、そしてBMW MハイブリッドV8と参戦する4マニュファクチャラーすべての車両がタイトルの可能性を残して最終戦に挑むという状況となっていた。

 またプチ・ル・マンはデイトナ24時間、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間とともに構成される『IMSAミシュラン・エンデュランス・カップ』の最終ラウンドにも位置付けられており、各陣営はサードドライバーを追加して戦うことになる。

 13日に行われた予選では、首位31号車キャデラックから3ポイントのビハインドで最終戦を迎えたウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポートの10号車アキュラが、今戦にサードドライバーとして加わるルイ・デレトラズのアタックによりポールポジションを奪った。これにより、10号車レギュラードライバーのフィリペ・アルバカーキ/リッキー・テイラー組はこの時点で予選8番手に沈んだ31号車を逆転、タイトル獲得に向け強力なサポートを受ける。

 10時間で争われる最終戦の決勝は14日の11時40分にスタートすると、まずはチップ・ガナッシ・レーシング(キャデラック・レーシング)01号車キャデラックを駆るセバスチャン・ブルデーがリードする展開に。その後、10号車デレトラズが首位を奪い返す。

 しかし序盤から多くのアクシデントが巻き起こり、まずはランキング3位で最終戦を迎えていたポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車ポルシェ963がマルチクラッシュに巻き込まれる形となり、早くもタイトル戦線から離脱してしまう。

 その後、赤信号時のピットロード出口では、先にピットボックスから出た31号車キャデラックのシムズが停止線を超えたところで赤信号に気づき急ブレーキ。そこに後続のBMW MチームRLL25号車のシェルドン・ファン・デル・リンデが追突してしまう。両車ともにボディワークにダメージを負うとともに、2台に赤信号無視60秒ストップペナルティ、さらに25号車には接触の非があるとしてドライブスルーペナルティが科せられるなど、タイトルコンテンダーにアクシデントが続く。

 中盤に向けては7号車ポルシェ963がトップに浮上するなど躍動し、数字上は7号車にもタイトルの可能性が残る状況に。日没後の残り2時間時点では、01号車キャデラックがリード。これに10号車アキュラ、31号車キャデラック、7号車ポルシェ、25号車BMWと続く展開で終盤を迎えた。

 残り1時間となる直前、ターン1アウト側から並びかけようとした10号車アルバカーキと、2番手走行中の31号車デラーニがサイド・バイ・サイドの状態から接触。アウト側の縁石上にいたアルバカーキはコースアウトしバリアへと高速でクラッシュしてしまい、10号車は最終盤を迎える前にレースを終える形となってしまう。

 タイトル争いを左右する一件となったが、レースコントロールは『ペナルティなし』の判定。残り40分でピットオープンとなると、2番手31号車はピットへ向かい、ポジションを下げる。

 レースは残り30分、01号車キャデラックが先頭でリスタートを迎えるが、ここで背後にいた60号車アキュラのブラウンが抜群のダッシュを決め、キャデラックをかわしてトップに躍り出た。

 31号車もBMW MハイブリッドV8をパスするなどして6番手にまでポジションを回復。残り14分(LMP2車両のストップ)、残り5分(GTD車両の火災)と終盤は立て続けにイエローが導入される展開となり、レースはアンダーイエローでチェッカーを迎えた。

 優勝は終盤のリスタートでブラウンが一閃を見せた60号車アキュラ。彼らはレースの序盤にポールミラー・レーシングのBMW M4 GT3と接触したことでトーリンクにダメージを負い、2周おくれとなっていたが、そこから挽回しての優勝となった。既報のとおりメイヤー・シャンクは今季限りでアキュラARX-06での参戦を休止することになっており、その最後のレースで勝利を手にしたことになる。

 そしてGTPの年間ドライバータイトルは、6位でフィニッシュした31号車のデラーニ/シムズ組が手にすることとなった。デラーニは過去3年間で2度目のウェザーテック選手権のタイトルを獲得したことになり、シムズは来季からGTDプロのコルベット・レーシングに移籍する前に、自身初のIMSAタイトル獲得となった。

 また、01号車(ブルデー/レンガー・ファン・デル・ザンデ/スコット・ディクソン)が2番手でフィニッシュし、キャデラックはマニュファクチャラータイトルを獲得している。

 このレースの3位は、プロトン・コンペティションの59号車ポルシェ963(ハリー・ティンクネル/ジャンマリア・ブルーニ/ニール・ジャニ)。4位、5位にもポルシェ963勢が続き、ジェンソン・バトンがサードドライバーとして加わったJDCミラー・モータースポーツの5号車が5位となった。


 LMP2クラスはクラウドストライキ・バイ・APRの04号車がこのレースを制し、タイトルは3位でフィニッシュしたPR1・マティアセン・レーシング52号車オレカのベン・キーティング/ポール・ループ・シャタン組が手にした。

 LMP3クラスはJr III レーシングの30号車リジェJS P320が制し、タイトルはライリー74号車リジェのフェリペ・フラガが獲得している。


 GTDプロクラスでは、ウェザーテック・レーシング79号車メルセデスAMG GT3のダニエル・ジュンカデラ/ジュール・グーノン/マーロ・エンゲル組が制した。79号車は今季4勝目を挙げたが、プロクラスの選手権はバッサー・サリバン14号車レクサスRC F GT3を駆るジャック・ホークスワースとベン・バーニコートが手にした。

 GTDクラスでは、ロリス・スピネッリ/ミーシャ/ゴイクバーグ/パトリック・リディがドライブするフォルテ・レーシング・パワード・バイ・USレーストロニクスの78号車ランボルギーニ・ウラカンGT3がトップチェッカーを受けた。彼らはレース中に受けた3つのペナルティを跳ね返してのクラス優勝となった。なお、GTDクラスのタイトルはこのレースをリタイアで終えた、ポール・ミラー・レーシング1号車BMW M4 GT3のブライアン・セラーズ/マディソン・スノーが手にしている。


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