アルファロメオF1のフレデリック・バスール代表は、高速区間と低速区間が混在するアゼルバイジャンGPにおいて、フレキシブルウイングは”ゲームチェンジャー”にはならないと考えている。
今年のF1を騒がせている論争のひとつが、フレキシブルウイングである。スペインGPの際、メルセデスのルイス・ハミルトンが、レッドブルのリヤウイングについて「動いている」と発言したことに端を発したこの問題に、シリーズを統括するFIAもすぐさま反応。フランスGPから、フレキシブルウイングを検出するための対荷重検査の基準を強化する旨を明らかにした。
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ただ次戦アゼルバイジャンGPは検査基準が強化されない、いわゆる”猶予期間”に行なわれることになっている。
このアゼルバイジャンは、公道コースながら狭い低速区間と、道幅が広い超高速区間が混在するサーキット。つまり、直線ではドラッグを減らし、コーナリング区間では大きなダウンフォースを発揮することを目指すフレキシブルウイングの効果が最も発揮されやすいコースと言うこともできる。
アルファロメオも、フレキシブルウイングを使っているのではないかと考えられているチームのひとつ。同チームのバスール代表は、いかにアゼルバイジャンとはいえ、フレキシブルウイングが勢力図を変える要因になるとは考えていないと語る。
「我々は、ウイングについて真剣に考えなければいけない。つまり、(フレキシブルウイングの存在が)勢力図を変えることにはならないということだ」
バスール代表はそう語った。
「フェラーリを見れば、我々はこういう(モナコのような)レイアウトで、高いパフォーマンスを発揮できるということを示したと思う。それは、アゼルバイジャンでも同じだろう」
「アゼルバイジャンには、コースにふたつの特性がある。まずはマカオのような市街地区間だ。コースのこの部分は、モナコの特性に非常に近い。そして約2.5kmも続くストレート区間がある。この組み合わせにより、少し難しくなるだろうが、同じような感じになると思う」
フレキシブルウイングについては、チームによって様々な見解を示している。当然、使っているチームと使っていないチームによっては、その反応は大きく違う。
バスール代表はこの状況について、次のように語った。
「確かに10チームあれば、10の異なる意見があることになる。いつもそんな感じだ」
「私の見解では、非常に明確だと思うが、私がルールを作っているわけじゃない。ルールを管理しているのはFIAだ。そして我々は、公開されたルールに従ってマシンを設計した。その中で、全ての領域で限界を攻めなければいけない。これがF1の哲学だ。これは全てのF1チームの哲学であり、重量、デザイン、その他全てのことについて、限界を探る必要がある」
「そして突然……基準が変えられてしまった。その理由は分からない。おそらく、ある1チームが、数週間前に不満を言い始めたからだ。そして、新たな技術指令が出された。それによってプロセスではなく、基準が変わってしまったのだ」
「ある値に対して、Xという数字でマシンを設計するとしよう。そしてその後、その値が50%変更されれば、制限をはみ出るチームが出てきてしまうということだ」
バスールは、FIAがシーズン途中に検査基準を変更することについて、不満を語っているひとりだ。そしてその理由は、パフォーマンスに影響を及ぼすためではなく、ファイナンシャル・レギュレーションが導入されたことで各チームがコストをギリギリまで削減している中、追加の支出が必要となる状況に陥ってしまうためだとしている。
「変更の動機については理解できる。しかし説明が遅れたことは残念だと思う。全てのチームは、かなり早い段階で説明を求めていたからね」
「そして、我々はひとつの集合体だということも考えなければいけない。自分のことだけを言いたくはない。しかし我々は皆、コストを削減するために、総力を挙げて取り組んでいるんだ」
「サーキットに帯同する人員を、ひとりかふたり削減する必要があるということについてなど、何度も話し合った。そんな中、彼らが新しい技術指令を持ってきたので、ウイングを再設計し、新たなウイングを作り出す必要が生じたんだ」
「私は、パフォーマンスにおける影響について話しているわけではない。正直に言って、我々は複数回にわたって(フレキシブルウイングの)比較テストを行なってきたし、大きな意味があるわけではない。そして、アプローチが変わることもない」
「ただ、開発予算の大きな部分をこの変更に費やさなければいけないため、その部分でアプローチは変わってしまう。そういう部分では、我々にとって不公平だと思う」
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