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解説 マクラーレン・セナ V8やモノケージIII/P1と720Sと比較も

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解説 マクラーレン・セナ V8やモノケージIII/P1と720Sと比較も

もくじ

ー 実用性と軽量化の両立
ー アクティブ・エアロダイナミクス
ー モノケージIIIと空力デザイン
ー セナのインテリアについて
ー パワートレインとサスペンション

実用性と軽量化の両立

実用性

セナにはヘルメット2個とレーシング・スーツ、それにレーシング・シューズを収納するには十分なスペースが備わっているが、それだけである。

P1にも同じような収納スペースがボンネット内に設けられていたが、セナの場合、ボンネット中心にはラジエーターが配置されるため、その収納スペースはシート裏となる。

このクルマは快適性など全く考慮していないが、エアコンとオーディオ・システムはオプション設定されている。

軽量化

全ての無駄をはぎ取ったあとエンジニアたちは、更に5%分の重量を削減する必要に迫られた。この目標を達成するため、彼らは細かい部分に狙いを定めた。

例えば、車両全体で使用されるボルトの仕様変更により、ボルト1本あたり33%の重量が削減できた。

720Sでは機械式だったドア・リリース機構を電気式に変更することで20%の軽量化となり、塗装にも標準塗料に比べて使用量を削減する事のできる特別な塗装色が用いられている。結果? 乾燥重量は1198kgである(モノコックの項参照)。

アクティブ・エアロダイナミクス

セナのダウンフォースは800kgにも達し、アクティブ・エアロダイナミクスにより、この鉛直方向の力を操作する事ができる。

ヘッドライト下のフロント両側には1対のブレードが配置されており、われわれのクルマではオレンジ色に塗装されていた。最適な空力バランスを維持するための調整を、下側ブレードはアクティブ・リアウイングと併せて行う。

エンジニアリング・デザイン部門のディレクターであるダン・パリー-ウィリアムズは「ダウンフォースが非常に強力なため、ブレーキング時には空力バランスが著しく変化します。この変化によりダウンフォースがフロントに集中してリアが不安定になることを防ぐために、フロント・フラップの角度を減らして、リア・ウイングは増やします。つまり、空力バランスをリア側へと移す事で安定性を増し、より強力なブレーキングを可能にするのです」と言う。

「スワン・ネック」パイロンによってボディへと取り付けられた大型リア・ウイングの重量は4.87kgであるが、その100倍以上のダウンフォースにも耐えることができる。

セナでは時速249kmで最大のダウンフォースが発生するが、これ以上の速度では(このクルマの最高速度は340km/hである)、ウイングを調整して不要なダウンフォースは抜いているのだ

モノケージIIIと空力デザイン

モノコック

セナに使用されているのはモノケージIIIと呼ばれる、マクラーレンがこれまで作り出した中でも最軽量、且つ最高強度を誇る最新のカーボンファイバー製シャシーだ。

合計重量60kgのカーボンファイバー製ボディパネルと併せて、モノケージはF1の1138kgを除けばマクラーレン製ロードカーで最軽量となる乾燥重量1198kgの実現に貢献している。

パワートレインとサスペンションはアルミニウム製サブフレームにマウントされており、リア・バルクヘッドと一体化されたカーボンファイバー製クラッシュボックスにより、サーキット走行時もロールケージの追加設置は不要である。

ドア

ドア1枚の重量は750Sで使用されているものの約半分の9.88kgに留まっており、このクルマのパフォーマンスに重要な影響を及ぼす空力デザインはカーボンファイバーの構造と一体化している。

マクラーレンF1同様、サイドウインドウの可動範囲は限定されているが、この構造により多くのメリットが得られた。ドアを薄くすることで、ボディ周囲のエアフローを良くし、可動範囲の小さい窓はパワーウインドウ用モーターを小型化して重量を削減するだけでなく、キャビンのパッケージも改善することができた。さらにドア下部をシースルーのパネルに替えるオプション設定まである。

「一般的なサイドウインドウで見られるような構造を取り去ることで重量を削減すると共に、ドア下部の内部部品を無くしてシースルーにすることができました」とデザイン・ディレクターのロバート・メルヴィルは語る。

セナのインテリアについて

キャビン

「最も重要なのはドライバーが驚くほどのラップタイムを記録できる環境であることです」と、このスパルタンなインテリアについて語るのはアルティメット・シリーズのヴィークルライン責任者であるアンディ・パーマーだ。

「インテリアを整理し、パワーウインドウのスイッチやライト、ドアハンドルをオーバーヘッド・コンソールに集約する事で、操作性を維持しながら、サーキット走行での邪魔にならないようにしました」

同様に、コンフォート、スポーツとトラックの通常使用される3つのドライビング・モードはセンター・コンソールに設置されたスイッチで切り替えが可能な一方で、完全なレース・モード用ボタンはルーフに設置されている。

ドライブ、ニュートラルとリバースを切り替える3つのボタンは、シート脇に固定されシートと共に移動するコンソールに設置することで、ドライバーにとって常に最適な場所に位置するようになっている。

シザース式ドアを開閉するためのガス・ストラットが非常に目立つ場所にあるが、これは重量をセーブするために軽量ストラットが使用できるよう、ドアを最も効率的に支持できる位置に取り付けられているからだ。

シート

シート重量はわずか8kgとこれまでマクラーレンが制作した中で最軽量となる。3.3kgのシートシェル全体にパッドを設ける代わりに、重量削減のためにエンジニアは圧力分布を測定して身体とシートが接触する箇所を割り出し、その場所にだけアルカンターラ製パッドを取り付けている。

さらなる構造分析によって、重量を削減するためにシートのどの部分が不要で削除可能かまで調べ上げることができた。

パワートレインとサスペンション

エンジン

他のマクラーレン製ロードカーよりも大きなパワーを得られるよう、細かな変更に加え軽量部品が使用されてはいるが、エンジン自体はマクラーレンの主力である4.0ℓV8ツインターボがミドに搭載される。

800psと81.6kg-mの最高出力とトルクは、P1に積まれる内燃エンジンをそれぞれ63psと8.2kg-m上回る。もちろんP1は電動モーターとの組み合わせにより916psと100kg-mを誇るが、バッテリーと電動モーターによって重量もかさんでいる。

マクラーレンはセナのパワーウェイトレシオを668ps/tだとしている。7速デュアルクラッチ式トランスミッションを介してリアを駆動し、このクルマの0-100km/h加速はP1のメーカー公表値と同じ2.8秒である。

車名P1セナ720S
0-100km/h2.8秒 2.8秒 2.9秒
0-200km/h6.8秒 6.8秒 7.8秒秒
0-300km/h16.5秒 17.5秒 21.4秒
最高速度349km/h 340km/h 341km/h
アダプティブ・サスペンション

アンディ・パーマーによれば、セナは「史上最も反応に優れたマクラーレン」であり、その優れたハンドリングの秘密の一端は、P1の4輪独立式ダブルウィッシュボーン・レイアウトをベースに開発された新アダプティブ・サスペンション・システムにある。

特別にチューンされたダンパーは油圧によってフロントとリア、さらに左右とが繋がっており、もう1つの油圧システムがアンチロールバーの役割を果たす。

全てのサスペンション・セッティングは、自動でダンパーレートをコントロールするK-ダンパーを含めたRace Active Chassis Control II(RCC II)と呼ばれるシステムによって制御される。

レース・モードを選択すると、セナの最低地上高はフロントで39mm、リアで30mm低くなり、ロール強度が固められてダウンフォースと横方向のグリップが向上する

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