セバスチャン・ローブが電撃復帰。日程重複のアル-アティヤに代わりアプト・クプラ加入／エクストリームE

　恒例となったイタリアはサルディニア島で、今週末の7月8～9日に第5-6戦『アイランドX-Prix』を開催するワンメイク電動オフロード選手権エクストリームEにて、シリーズの現役チャンピオンでもあるセバスチャン・ローブのサプライズ復帰が決定。同じくFIAのインターナショナル戦でもあるFIAバハ・ワールドカップとの日程重複を受け、ナッサー・アル-アティヤの代役としてアプト・クプラXEに加入することが発表された。

　昨季2022年までの2年間、スペイン出身のクリスティーナ・グティエレスとともにF1“7冠”ルイス・ハミルトン率いるX44ヴィダ・カーボン・レーシングで戦ってきたローブは、自身のダカールラリーとW2RC世界ラリーレイド選手権でともに戦うイギリスのプロドライブが、同チームの運営から撤退するタイミングに合わせ、王者としてシリーズを去る決断を下していた。

　そのX44は、今季よりシングルシーターの名門カーリンが技術サポートを引き継いだが、WRC世界ラリー選手権“ナイン・タイムス・チャンピオン”のレジェンドは、ラリーレイドへの取り組みと並行して昨季より電動化を果たしたWorldRX世界ラリークロス選手権に復帰。新たにゲラン・シシェリ代表率いるスペシャル・ワン・レーシングに加入し、フルEV化された『ランチア・デルタEvo-e RX』のステアリングを握っている。

「過去の2シーズンを終えて、こうしてエクストリームEに戻れるのを楽しみにしているよ」と意気込みを語ったローブ。

「まだ感触も覚えているし、ラリークロスに似た競技だからペースを上げて戦えると思う。新しいチームを見つけ、クララ（・アンダーソン）と再会できるのも素晴らしいことだ」

　そう名前の挙がった23歳のクララ・アンダーソンは、昨季終盤よりアプト・クプラXEのレギュラーとしてシリーズに定着し、アル-アティヤの僚友として初参戦で3位表彰台を獲得するなど、非凡な才能を見せた。

■チーム代表は今季最高の4位を上回ることを期待

　そして今季のWorldRXでも、引き続き同郷スウェーデンのPWRレーシングを母体とするCEディーラーチーム・バイ・ボルボ・コンストラクション・イクイップメントからエントリーし、オリジナルモデルの『PWR RX1e』をドライブ。デルタに乗るローブとはライバルとして対峙している。

　そのふたりがエクストリームEでタッグを組み、新たに『クプラ・タバスカンXE』で共闘することになるが、陣営はこれまでのところ表彰台に戻っておらず、今季より導入された週末ダブルヘッダーの第2戦となるサウジアラビアでの4位がこれまでのチーム最高成績となっている。

「ナッサー（・アル-アティヤ）はFIAバハ・ワールドカップで2勝を挙げ首位に立っており、同じ週末に行われる第3戦への出場許可を求めてきた。もちろん我々としても彼がそれを可能にする方法はないかと考えた」と説明するのは、アプトのCEO兼チーム代表のトーマス・ビアマイヤー。

「その代案としてクプラと協力し、素晴らしい候補としてセブ（セバスチャン・ローブの愛称）と契約できたことをうれしく思っている」

　現在はランキング9位に留まる戦績を考慮し、シリーズ通算2勝と6回の表彰台、そして6回の予選最速を記録するレジェンドに“再起動”の機会を託す。

「記録的な世界チャンピオンであり、言わずと知れたエクストリームEチャンピオンが我々のチームにいることは光栄だ」

「チームは皆、サルディニアでの週末を楽しみにしている。我々は一緒にたくさん楽しみたいだけでなく、スポーツの観点からも成功したいと思っている。目標は明らかに勝利だ！」