WEC世界耐久選手権のLMGT3クラスに78号車レクサスRC F GT3で出場しているケルビン・ファン・デル・リンデは、アコーディスASPチームがLMGT3フィールドにおけるもっとも古いクルマで「ハードウェアの能力の限界を模索している」ことを認めた。彼は今季の戦いのなかで、「期待値を適応させる」ことを学んだという。
ファン・デル・リンデがアーノルド・ロバン、クレメンス・シュミットとシェアするRC F GT3は、最初のホモロゲーション取得から7年が経過。とりわけフォード・マスタングGT3、アップデートされたアストンマーティンバンテージGT3、シボレー・コルベットZ06 GT3.Rなど2024年にデビューした新車と比較すると、LMGT3カテゴリーにおける“長老”とも表現できる存在だ。
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チーム代表のジェローム・ポリカンが以前Sportscar365に概説したように、今シーズン開始時にはパッケージに変更が加えられ、そこではとくに空力の変更と電子関連のアップデートに重点が置かれていた。
それにもかかわらず、2台のRC F GT3は今シーズン、これまでしばしばポイントを獲得した程度にとどまっており、もっとも注目すべき成績はル・マン24時間レースでクラストップ10に入ったことだ。
ファン・デル・リンデは、このフランスチームは順位を上げるためにかなりの努力を払ってきたが、シーズンを通してのチームの進歩は、この車両の古さによって制限されてきたと指摘する。
「進歩はしているが、こんなに古い車だと、達成可能な領域は、新しいクルマを開発するときほど大きくないのは明らかだ」とファン・デル・リンデはSportscar365に語った。
「ハードウェアなどの多くはかなり古くなっており、ハードウェアの限界を探る段階にまで達している」
「クールなアイデアがあり、実現したいことがいくつかあったとしても、この車両のホモロゲーションの制約のなかでは、物理的に不可能だ」
「アイデアはあるが、それを実行するのは難しい。さっきも言ったように、ある時点で、僕らが使用できる技術のレベルは、現時点で僕らが手にしているクルマと、実際には互換性がないんだ」
■クラッチ操作はマニュアル
その制約は、ファン・デル・リンデによると「わずかな利益」にまで及ぶという。それは、ライバルと比べて単純にクルマが古さを露呈するといった状況でもあるようだ。
「僕らは、いまだにフット・クラッチを使ってピットに出入りしているんだ」とファン・デル・リンデ。
「僕は発進する際に、マニュアルでクラッチ操作をしている。うまくできないために、エンストすることもあるんだ」
「タイヤが温まっているときは、非常に正確にクラッチをつなぐ必要があるが、これは明らかに(新しいクルマでは)生じない問題だ。たとえば(DTMで乗る)アウディにそれはないし、フェラーリにだってない。それらはすべて特定のローンチ・コントロール機能が組み込まれているからね」
「こういったことはBoP(性能調整)の話でさえないし、何てことはない小さなゲイン(利益)なのにね。ピットストップの度に文字どおり1秒の差が生まれ、それがレース中に積み重なっていくんだ」
その結果、ファン・デル・リンデは、彼にとって初となる世界選手権のシーズンに向けた期待値を「調整」しなければならなかったという。彼は、出場する他のシリーズとは異なる考え方でレースウイークに臨んでいる。
「勝てると分かっているパッケージで臨めば、レースウイークに対する考え方も変わる」と彼は語った。
「ここでの考え方は、このパッケージを最大限に活用し、ミスを最小限に抑え、他の人のミスを利用できるように期待することだ」
「だが実際には、『今週末は勝つぞ、今週末は表彰台に上がろう』と言うのは現実的ではない。だから僕らは、僕らの期待値を調整する必要があると思う」
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