はじめに
ケータハムは、レースモデルのホモロゲーションを取得するための、高性能な限定モデルを製造する必要はない。しかし、もしそうするのであれば、それはこの420カップのようなものになるはずだ。
見間違えようのない、ケージを備え、定番のスタイルに仕立てられたニューモデルは、メーカーの言葉を借りれば、サーキットに特化して造られたマシンだ。メカニカルな内容は、420Rをベースに妥協なく作り込まれた、ケータハム・セブン・チャンピオンシップ用のレースカーがベースとなっている。
その目指したところは、スリックタイヤを履いた競技車両のロードゴーイングバージョンを仕立てることにほかならない。狙いは、レースカーに比べればわずかにラグジュアリーで、実用に堪えるという程度の乗用車、というわけだ。
また同時に、これはケータハムの「中の人」たちが、主にサーキット走行会で楽しむために造ったクルマでもあるらしい。そういった出自を誤魔化すために、既存のセブンの格好をさせたようなものだ。
そうはいっても、はたしてその中の人たちが楽しみを享受できているのか、疑問を覚えるかもしれない。ケータハムの受注台数はいまや年間500台の生産キャパシティを上回り、ガトウィックのショールームを、ダートフォードに続く第2の生産工場への改装している真っ最中だ。
かようにビジネスは順調なのだが、厳しい決断を迫られている現状もある。昨年、フォードの1.6Lシグマユニットが入手不可能になり、現在の主力エンジンである2.0Lデュラテックは2025年までの供給を保証されているものの、その後も継続的に使い続けられるわけではない。
適切な代役となるエンジンを見つけるのは容易ではなく、電動化の影が不気味に迫りつつある。軽さが命のクルマを作るメーカーにとって、それは脅威以外のなにものでもない。
しかし、今はそれについて掘り下げるときではない。420カップのレシピが明らかになったのだから、それを検証するチャンスに感謝しよう。とてつもないクルマであることは期待できるが、はたしてその期待にどこまで応えてくれるのか、はたまたそのはるか上をいくほどとてつもないのか。
5万4990ポンド(約907万円)という値付けでは、ハードコアなセブンの信者でさえ迷わず購入を決められるものではなさそうだ。そして突き詰めれば、これはケータハム最速モデルというわけではない。
セブンのラインナップには、420カップと同じダッシュボードとギアボックスに、スーパーチャージドユニットを組み合わせた620Rという、スーパーカーも真っ青のモデルがある。545kgのウェイトに310psというモンスターだ。
とはいえ、自然吸気のスパルタンな420カップは、強烈なセブン体験を、公道でもサーキットでも味わえるモデルであることは間違いない。それを確かめてみたい。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
420カップに、革新的なレイアウト変更は見出せないし、それは望むところでもない。コーリン・チャップマンが1960年代に生み出し、今も変わらぬ魅力を持つ基本的なデザインを受け継いだケータハムは、熟練のチューニングと念入りなハードウェアのチョイスで、セブンのさまざまなバリエーションに、それぞれに最適なキャラクターを与えてきた。
そうはいっても、この新たなサーキット志向のマシンは、これまでのセブンとはちょっとばかり趣が異なる。おそらくそれは、キット販売が用意されないからだ。
そんな420カップは、調整式サスペンションを標準装備する初のケータハム・セブンだ。ビルシュタイン製のダンパーは、10段階のレートを、ダイヤルをクリックして切り替えできる。これはサーキットでのハンドリングバランスを調整するばかりでなく、街乗りでも便利なはずだ。たとえばウェット路面での移動時には、もっともソフトなセッティングにすれば楽に運転できるようになる。
基本的なサスペンションジオメトリーは、レースカーほど細かく調整できるわけではない。それでも、アジャスト性は十分な幅がある。さらに、ウィッシュボーンは空力を考慮した形状の専用品で、ドラッグを減少してくれる。
駆動力を路面に伝えるリアアクスル周辺については、ほかのセブンと同じく優秀だ。レースモデルと同じ215幅のタイヤは、サイドウォールの厚みが目にもうれしい13インチ。メイクスはエイヴォンで、公道向けのZZSと、より走り志向のZZRは、セブンでは一般的な銘柄だ。
このほかに、ディーラーオプションとして用意されるのが、レースも想定したZZRエクストリーム。セミスリックということになっているが、ほぼスリックタイヤだ。テスト車は公道とテストコースの両方を走ることを踏まえて、ZZSが装着された。
パワートレインに関しては、420Rと同じエンジンを搭載する。すなわち、2.0Lのフォード・デュラテックをドライサンプ化した4気筒で、213psを発生する。これは、レース仕様よりパワフルで、しかし車両重量は変わらず560kgしかない。馬力荷重比は380ps/tで、最新のポルシェ911GT3すら凌ぐ。
エンジンに続くのが、レースグレードのサデブ製6速シーケンシャルギアボックス。そこから、機械式LSDを備えたリアのド・ディオンアクスルへ駆動力が送られる。
ラップタイム至上主義の420カップには、MTの設定がない。大物オプションとしては、ワイドボディのSV仕様が、2500ポンド(約41万円)で用意される。
内装 ★★★★★★★★☆☆
420カップのスパルタンなキャビンへ乗り込むには、それ相応のプロセスを経なければならない。ロールケージはもっとライトな仕様もあるが、今回はレース用のフルスペックタイプ。まずはルーフバーを掴んで、慎重に身をかがめ、ノーズのほうへ足を滑り込ませていかないと乗り込めない。そうすれば、つま先が小さなスロットルペダルを探り当てるだろう。
そうしたら、身体を前に倒して、カーボンのエアロスクリーンの向こうへ手を伸ばす。ボンネットの上に置いたステアリングホイールとキーを取るためだ。ステアリングホイールは、裏側のクイックリリースリングを操作してコラムに取り付ける。
そうそう、乗り込む前に、シートベルトを装着しやすいように引き出しておくことをお忘れなく。そうでないと、またクイックリリースを外して、身体を浮かせて、なんなら一旦クルマから降りてと、これまでの苦労が水の泡になる。と、経験者として忠告しておこう。
準備がすべて整ったら、キーを捻り、クラッチペダルを踏んで、ダッシュボードのエンジンスタート用トグルスイッチを押し下げる。あとは走り出すだけだ。
420カップの無駄を排除したインテリアは、620Rと多くを共有している。メーターは、レースカー用のデジタルデバイスを備えるアリエル・アトムとは異なり、ケータハムはアナログを堅持した。ダッシュボードにはふたつの円形メーターと、トグルスイッチの列が並んでいる。当然というべきか、どれも直感的で、視認性抜群だ。
レース用ケージ装着と合わせて、フロアはオプションの低床仕様になっていた。背の高いドライバーにはありがたいが、そうでないとトランスミッショントンネルがやや高く、ちょっと邪魔に感じるかもしれない。
インテリアの主なオプションはシート関連だ。テスト車に装備されていたカーボン剥き出しのティレット製バケットシートは、一日中乗っても快適だったが、1200ポンド(約19.8万円)でパッドが追加でき、1600ポンド(約26.4万円)でヒーター付きにもなる。トランスミッショントンネルからの放熱と、ロングツーリングを楽しむようなものではないキャラクターを考えると、ヒーターは不要だと思うが。
センターコンソールには鮮やかなカラーのアルカンターラが張られ、セブンとしてはキャラの立っている420カップのキャビンだが、入念に作り込まれ、妥協は一切感じられない。
走り ★★★★★★★★★☆
420カップは、パワーとトルクが比較的低いが、それでもかなり元気に感じられるという、ケータハム・セブンらしさを存分に味わえるクルマだ。213psというと、いまどきフォルクスワーゲン・ゴルフGTIよりも低い。
しかし、トランスミッションはローギアードなうえに、なにより車両重量が560kgしかないので、本格的なパフォーマンスカーであっても立派だといえるような加速タイムをマークする。
3速・48−80km/hは1.9秒で、これはポルシェ911カレラSに肩を並べる。コンクリートブロックのようなシェイプでありながら、前面投影面積が小さいので、高速域での空気抵抗は小さく、161km/h到達タイムは、510psのBMW M4コンペティションに0.6秒遅れるにすぎない。
スタンディングスタートも冴えていて、楽しめる。ただし、今回のテストでマークした0−97km/hタイムは4.2秒と、公称値の3.6秒に及ばない。おそらくケータハムは、よりハイグリップなZZRエクストリームを履かせて計測したのだろう。
しかしながら、数字より大きな意味を持つのは、このパワートレインがもたらす感覚だ。スロットルレスポンスはうれしいくらいにシャープで、パワーデリバリーはリニア。それが7900rpmのレッドラインまで淀みなく続く。しかも、少なくともデリバリーに関してはマナーがみごとだ。
1500rpmあたりで勢いよくスロットルを開けると、エンジンは一瞬遅れるが、現実的なシーンでそういう操作をすることはないだろう。そして、それ以外にこの2.0Lユニットを粗く感じさせる要素は、荒っぽい吸気音と、ドライバーの右下で唸りを上げるエグゾーストくらいだ。
問題があるとすれば、たまに起こるカンガルー・ペトロールだろう。たいていは低速時に起きるそれは、スロットルペダルの敏感さと、スムースに入力し続けるのが難しくなるような路面で、車体がジャークする現象だ。
シフトチェンジは、このクルマの白眉だ。カジュアルなドライビングでは、この途切れ目がありレバーが硬いトランスミッションを扱うのにクラッチを使ったほうがいいことが多い。しかし、レッドラインまで回してクラッチなしで変速すると、その変速スピードと精密さには驚きを禁じ得ない。ものすごい音にもだ。
ゴツゴツと音を立てるディファレンシャルとすすり泣くようなギア、機械的な音を立てるシフトの中で繰り広げられる420カップのドライビングは、どんな速度域でも暴力的で、しかし楽しく、元気が湧いてくる。
注意が必要なのは、リバースギアのセレクトがトリッキーなこと。バックが必要な切り返しは避けたいところだ。
使い勝手
インフォテインメント
当然ながら、セブンのカップを名乗るモデルに、ここで解説するような装備は用意されていない。そのため、今回は例外的に評価を空欄とする。
サーキットではデータロガーのようなものが必要だと感じるかもしれない。しかし、公道でのドライブを楽しむのであれば、身の回りにあふれるデジタルなものから自由になれる数少ない空間に、液晶ディスプレイやタッチパネルなどあってほしくはないだろう。
さらにいえば、マイク・ザ・パイプの後継者が奏でるサウンドの前ではオーディオも不要なのではないだろうか。スマートフォンは小さな収納スペースにバッグごと放り込んで、ただひたすら走りを堪能しようではないか。
燈火類
今回は性能を試す機会がなかったものの、テスト車には800ポンド(約13.2万円)の高輝度LEDヘッドライトが装備されていた。
ステアリングとペダル
ペダルボックスのポジションは、左足ブレーキを駆使したシリアスなサーキット走行を想定している。ブレーキペダルはド真ん中にあり、スロットルとクラッチのペダルは等間隔に配置。きわめてタイトに詰め込まれている。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★★
420カップのハンドリングのポテンシャルを引き出し、存分に走らせ甲斐を味わいたいのであれば、サーキットに行かなければならない。よく回るオーバースクエアのエンジンと、このトランスミッションが本領を発揮する場が必要なのだ。
というのも、これまででもっとも過激なサーキット向けケータハムは、9割、もしくは10割の力を発揮して走ることを欲するクルマだからだ。これはセブン160ではなく、自ずと走らせ方も違ってくる。サーキットを攻めるような本気のドライビングをしてこそ、生き生きと走ってくれる。
そうはいっても、公道で楽しめないクルマだというわけではない。短めの距離で、天候と気分がぴったり合えば、絶対的に楽しめる。鍵を握るのは調整式サスペンションだ。サーキットでベストなセッティングは、公道では必然的に過剰になってしまうが、たとえば前後ともダイヤルを9から5に落とせば、話は変わってくる。
セッティングの決まったセブンは、楽しげにB級道路を駆け抜け、この手のクルマに期待されるしなやかさを味わえる。ホイールコントロールは驚異的で、しかも目でも楽しめる。
ダイヤルをさらに落とせば、ボディの挙動をもっと大きくすることもできる。そうすれば、クルマを走らせている感が、そこまで本気で運転していなくても出せる。
そのうえ、スーパーチャージャーモデルとはまったく対照的に、公道上ではトラクションの心配がいらない。今回は雨に降られずに済んだので、少なくともドライコンディションなら、という条件付きでの結論だが。
サーキットではじつに落ち着いたもので、かなりの荷重移動が考慮に入る場合に動きが大きくなりはじめる程度だ。しかし公道では、その領域に達することはまずない。同時に、単に自然吸気エンジンが、回転を上げてクラッチを繋ぐような発進や、脚を突っ張るようなコーナリングでなければ、ホイールスピンさせるようなことはできないというのもある。
つまり、420カップは頼りになる感じで、気合を入れてドライビングしても、楽しむことに没頭しすぎて壁に突っ込むような心配をせずにコントロールできる。また、その気になれば楽しむこともできる。というのも、巧みなコーナリングバランスと一体感はあるがタフなノンアシストのステアリング、そしてもちろん根本的な軽量さゆえに、すべてのセブンは、ほかにはほぼ類のないような運転感覚を提供してくれるからだ。
快適性/静粛性 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
420カップ、それもフロントウインドウがない仕様に、乗員を快適に過ごさせようという気があるとは思えない。重要なのは、サーキット走行をするかぎり、ほとんど不満はないということだ。このクルマはピュアで、守備範囲が広いだけでなく、45分程度の短いスティントであれば快適に乗れる。すばやい動きには慣れっこのはずだが、それでもフレッシュさはある。
シートは、身体が動かないようしっかり支えてくれる。速度が上がるとステアリングは軽く、高負荷のコーナーが連続しても楽に扱える。
とはいえ、420カップはナンバー付きのロードゴーイングカーだ。公道での性質にも触れなくてはならない。とことん折り合おうとしないそれにだ。
ストレートカットのギアを用いるトランスミッションは盛大に音を発し、3000rpm以下なら、決して耳に心地よいという程度に収まらない排気音すらかき消してしまう。ヘルメットの下に耳栓をすることをおすすめする。
そう、ヘルメットはフルフェイスが必須。さもないと、走行中に虫が口に入ったり、もっと悪いと飛び石が顔を直撃することも考えられる。
乗り心地については、ダンパーをもっともソフトにすれば、プライマリーライドは上々。しかし、バスタブにタイヤをつけたようなクルマでは避けがたい衝撃一般を和らげてくれるほどではない。ペダルボックスはぎゅうぎゅう詰めだが、少なくともクラッチペダルは幸か不幸かだいぶ重いので、クルージング中のフットレスト代わりになる。
間違いなく、105mm広くて250mm長いSVシャシーは、25kg重くなる代わりに状況を改善してくれるし、レーシングスクリーンをフロントウインドーに付け替えればさらによくなるはずだ。しかし、420カップの旨みは薄らいでしまうだろう。結局これは、弱気になったらメリットを享受できないクルマなのだ。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
420カップの本体価格は5万4990ポンド(約907万円)だが、オプションをいくつかつければすぐに6万ポンド(約990万円)を超えてしまう。
近く発売されるだろうBMW M2よりも高額となれば、やはりこれは頻繁にサーキット走行をする保守的なドライバーのためだけのスペシャルなマシン、ということになるが、そういったケースでも購入が合理的だとは言い難い。
というのも、420カップよりずっと安く、チャンピオンシップ用のレースカーが手に入るのだ。自らトレーラーを運転するなど、運搬手段さえ目処がつき、ナンバー付きにこだわらないなら、サーキット専用車を買うという手もある。
ナンバー付き車両が必要だとしても、選択肢はほかにある。アリエル・アトム4だ。420カップより身体を外に晒すが、ゆっくり流すときにはこちらのほうが大人しく走ってくれる。しかも、価格は420カップより安い。ただし、納車は3年待ちだ。
また、より安いセブンを手に入れて、セッティングや追加装備で、420カップのありのままのスリルに近づけるという方法も考えられる。420カップは間違いなくスペシャルなセブンだが、買うにも使うにも真剣さが求められるタフなクルマだ。
スペック
レイアウト
サーキット向けの420カップも、シャシー構造はセブン伝統のテンプレートをなぞっている。すなわち、リベット留めアルミフロアと、鋼管溶接フレームの組み合わせだ。その上には、アルミのボディが被されている。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアが半独立式のド・ディオン・アクスルで、前後とも調整式ダンパーを装備。駆動力はLSDを介して、後2輪へと送られる。フロントに縦置きされる4気筒は、自然吸気でリッター100psを超える。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き後輪駆動
形式:直列4気筒1999cc、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ87.5×83.1mm
圧縮比:10.8:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:213ps/7600rpm
最大トルク:20.7kg-m/6300rpm
エンジン許容回転数:7900rpm
馬力荷重比:380ps/t
トルク荷重比:37.1kg-m/t
エンジン比出力:106ps/L
ボディ/シャシー
全長:3100mm
ホイールベース:-mm
オーバーハング(前):-mm
オーバーハング(後):-mm
全幅(ミラー含む):1575mm
全幅(両ドア開き):-mm
全高:1090mm
全高(フロントトランク開き):-mm
足元長さ(前席):最大950mm
足元長さ(後席):-mm
座面~天井(前席):1050mm
座面~天井(後席):-mm
積載容量:-L
構造:スティール/アルミモノコック
車両重量:560kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:0.54
ホイール前/後:6.0Jx13/8.0Jx13
タイヤ前/後:185/55 R13/215/55 R13
エイヴォンZZS
スペアタイヤ:なし
変速機
形式:6速シーケンシャル
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:2.40/12.2
2速:1.84/16.1
3速:1.49/19.8
4速:1.27/23.3
5速:1.11/26.6
6速:1.00/29.5
最終減速比:3.62:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:9.6km/L
ツーリング:12.5km/L
動力性能計測時:5.4km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:-km/L
燃料タンク容量:36L
現実的な航続距離:346km
CO2排出量:-g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー
後:ド・ディオン/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:アシストなし、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:1.7回転
最小回転直径:11.0m
ブレーキ
前:254mm通気冷却式ディスク
後:229mmディスク
制御装置:なし
ハンドブレーキ:手動式、センターコンソールにレバー設置
静粛性
アイドリング:77dBA
全開時(3速):113dBA
48km/h走行時:84dBA
80km/h走行時:92dBA
113km/h走行時:98dBA
安全装備
6点ハーネス/フルロールケージ
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温32℃
0-30マイル/時(48km/h):1.9秒
0-40(64):2.7秒
0-50(80):3.4秒
0-60(97):4.2秒
0-70(113):5.3秒
0-80(129):6.6秒
0-90(145):8.0秒
0-100(161):9.0秒
0-110(177):12.4秒
0-120(193):16.0秒
0-402m発進加速:12.8秒(到達速度:179.1km/h)
0-1000m発進加速:23.7秒(到達速度:209.2km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
アリエル・アトム4
テスト条件:乾燥路面/気温20℃
0-30マイル/時(48km/h):1.5秒
0-40(64):2.0秒
0-50(80):2.5秒
0-60(97):3.2秒
0-70(113):3.9秒
0-80(129):4.7秒
0-90(145):5.8秒
0-100(161):6.9秒
0-110(177):8.4秒
0-120(193):10.6秒
0-402m発進加速:11.3秒(到達速度:198.6km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):1.9秒(3速)
30-50(48-80):1.9秒(3速)/2.4秒(4速)/2.9秒(5速)/3.4秒(6速)
40-60(64-97):2.0秒(3速)/2.5秒(4速)/2.9秒(5速)/3.3秒(6速)
50-70(80-113):2.0秒(3速)/2.5秒(4速)/3.1秒(5速)/3.7秒(6速)
60-80(97-129):2.5秒(4速)/3.3秒(5速)/4.1秒(6速)
70-90(113-145):2.7秒(4速)/3.3秒(5速)/4.5秒(6速)
80-100(129-161):3.6秒(5速)/4.7秒(6速)
90-110(145-177):5.3秒(6速)
100-120(161-193):6.9秒(6速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温32℃
30-0マイル/時(48km/h):9.1m
50-0マイル/時(64km/h):23.7m
70-0マイル/時(80km/h):46.0m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.10秒
ライバルの制動距離アリエル・アトム4
テスト条件:乾燥路面/気温20℃
30-0マイル/時(48km/h):8.6m
50-0マイル/時(64km/h):21.5m
70-0マイル/時(80km/h):44.1m
各ギアの最高速
1速:96.6km/h(7900rpm)
2速:127.1km/h(7900rpm)
3速:156.1km/h(7900rpm)
4速:183.5km/h(7900rpm)
5速:209.2km/h(7900rpm)
6速(公称値):218.9km/h(7419rpm)
6速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):3819rpm/4364rpm
結論 ★★★★★★★★★☆
420カップはナンバー付き車両だが、ケータハムはほとんどのオーナーがトレーラーに載せてサーキットへ行くだろうと推測している。それも理解できる話だ。
これは驚くほど本気で、荒っぽいセブンだ。ケータハムの最高レベルのレースカーと直接的なつながりがあり、その競技車両と同じく、本領を発揮させるには本気で付き合わなければならない。
サーキットを1~2時間走り続けても、これほど気持ちよさが途絶えないだろうクルマはほとんどない。ハイレベルな運動性と底知れぬ能力を持つ、ハードコアな造りだから、そのポテンシャルを探るのに飽きることはありえないのだ。
また420カップには、セブンとしては斬新なテクノロジーとなる調整式ダンパーも導入された。これにより、サーキットでのおもしろさも性能も、公道への適応性も高まっている。歓迎すべき装備だ。
全体的に上質さに欠けるのは、420カップの存在意義を考えればやむを得ない。問題は価格だ。セブン360に対してほぼ2倍だが、360でも十分なスリルを本質的に備えている。
オプション込みで6万ポンド(約990万円)を超えるのであれば、セブン・チャンピオンシップの競技車両も手に入る。この金額をどうみるかによって、評価は左右されるところだ。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーンこれまでさまざまなセブンに乗ったが、不注意でサイドマフラーに触れてヤケドしたことはなかった。ところが今回、車内からキーを取ろうとして、すねに焼きごてを当ててしまった。不幸中の幸いは、それほど熱くなっていないときだったことだ。サーキットなどで飛ばして、パイプが熱されたあとだったら、と考えるとゾッとする。
マット・ソーンダース420カップはすばらしくピュアなセブンだが、公道ではそれに惑わされることはない。ダンパーをいくらソフトにしても、少し乗っただけで疲れてしまう。
オプション追加のアドバイス
快適性を求めて、ワイドなSVボディを選ぶのはやめたほうがいい。ただし背の高いドライバーは、ナローボディだと、このクルマには必須のヒールアンドトウがしづらいかもしれない。耐候装備は1500ポンド(約24.8万円)のオプションだ。
改善してほしいポイント
・もう少し静かなマフラーがほしい。トレーラーではなく、自走でサーキットに行くときは周囲に気を使ってしまう。
・620のエンジンを積んだカップカーも見てみたい。トランスミッションはこのままいけるはずだから。それなら、アリエル・アトムといい勝負になりそうだ。
・もう少し無償オプションがあってもいいのではないだろうか。
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