新車試乗レポート [2023.06.24 UP]
プジョー408のデザインを紐解く【九島辰也】
文⚫︎九島辰也 写真⚫︎プジョー
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久しぶりにユニークなモデルが登場しました。プジョー408です。ユニークとは個性的といったニュアンスだと思ってください。見た目が明らかに他のクルマとは違います。言ってしまえばSUVとハッチバックのクロスオーバービークルですが、とにかくデザインが目を惹きます。ショールームで近づくとわかりますが、かなり“攻めた”つくりになっているのは間違いありません。
プジョー 408
ではここで、プジョーのラインナップをおさらいしてみましょう。まず背の低い方ですが、208/308/508が大きさのマトリクスを埋めます。208がBセグメント、308がCセグメント、508がDセグメント、と言ったように。そして308と508には“SW”と呼ばれるステーションワゴンが派生します。プジョー特有の呼び名ですね。で、これに対し背の高い方は、2008/3008/5008となります。ご存じSUVファミリーですが、いつの頃からか4桁の数字で表すことになりました。そういえば、かつて三菱アウトランダーをベースにした4007なんてのもありましたよね。その後RVRベースの4008も出ましたっけ。でも日本での販売は無かったような気がします。
それじゃ新型408はというと、CセグメントDセグメントのちょうど中間サイズで登場しました。つまり、隙間を埋めるようなニッチなポジションです。そのため他にはない大胆なスタイリングが許容されたのでしょう。407の後継は607との統合で508が引き受けましたから。つまり、新型408はかつての407の後継ではないのです。覚えてますか407。リュック・ベッソン監督の“TAXi”シリーズの後期に出てましたよね。でも本当にかっこよかったのはその前の406クーペかな。ピニンファリーナ史の中でも名を残す傑作と思います。
なんてことを考えていると、当時かっこいいとされていたスタイリッシュな2ドアクーペを現代的に解釈したのがこの新型408なのではと思えてきました。流行りのSUVをベースにクーペやハッチバックのいいところをうまい具合にミリックスした感じです。だとすればクーペ感を出すために全高を1500mmにおさえた意味もわかります。
プジョー・インセプション・コンセプト
そんなデザインの元になったのはプジョー・インセプション・コンセプトというデザインスタディです。それを見ると、フロントの逆スラントノーズや直線的なリアハッチ、爪で引っ掻いたようなテールランプや未来的なホイールがそこから来ているのがわかります。
プジョー 408
インテリアもそう。お馴染みの“i-Cockpit”やエッジの効いたダッシュボード、メータークラスター、センターコンソールもスタディモデルに通じます。それにしてもこれだけハッキリと未来的なデザインを取り入れているのは珍しいと思います。メルセデスのEQシリーズにはそんな斬新さがありますが、あちらは新世代のBEVですからその必要性は高いでしょう。でもこちらはガソリン車とプラグインハイブリッド車ですからね。それを鑑みると、プジョーが大胆な戦略に出たのがわかります。このクルマの反響次第で今後の方向性が決まるかもしれません。
では乗った感じを少しだけお届けしますが、印象はすこぶる良かったです。乗り心地はスポーティさを強調するためか少し硬めですが、ところどころフランス車らしいフラットライドも顔をのぞかせました。特に高速道路でのスピード域の高いコーナーはそうで、違和感なくロールを抑え込みながらコーナーをきれいにトレースします。この分だともっと高い速度域もいけそうですね。リアのスタビリティは相当ありそうです。
パワーソースは1.6リッター直4ターボ+モーターのプラグインハイブリッドで、力強さに問題はありません。アクセルに対する加速はクイックで、フロントタイヤにしっかりトラクションを伝えます。モーターの介入も自然。ドライブモードをスポーツにするとシフトタイミングが遅れるので加速感は高まりますが、デフォルトでも十分速い印象でした。
プジョー 408
と言った走りですが、やはりこのクルマの醍醐味はデザインでしょう。降りた後しばらくボーッと眺めていましたが、ずっと見ていられます。おすすめのボディカラーは訴求色のオブセッションブルー。エッジの効いたラインがきれいに出ます。でもこれだけ攻めたデザインだと乗る人はファッションをいつも以上に気にしなくてはいけません。視線集めますから。それに洗車もこまめにしないと残念な感じになりそう。ただそれをクリアできれば、センスアップされた自分をアピールするいい相棒になる気がします。いずれにせよマーケットの反応が楽しみですね。
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