現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > インディ500初日は23分で降雨終了も佐藤琢磨は大きな収穫を得る「想定していた数字が予想通りに確認できた」

ここから本文です

インディ500初日は23分で降雨終了も佐藤琢磨は大きな収穫を得る「想定していた数字が予想通りに確認できた」

掲載 1
インディ500初日は23分で降雨終了も佐藤琢磨は大きな収穫を得る「想定していた数字が予想通りに確認できた」

 NTTインディカー・シリーズ第5戦、第108回インディアナポリス500マイルレースのプラクティスが、5月14日からインディアナポリス・モータースピードウェイで始まった。前哨戦となるロードコースのインディGPから左回りのスーパースピードウェイのレイアウトとなり、伝統のインディ500の舞台に戻った。

 今年のエントリーは全11チーム34台。ホンダユーザー18台、シボレーユーザーが16台。7人のルーキードライバーとインディ500優勝経験者が8名いる。

インディ500走行スタートも初日は2年連続降雨に。ディクソンがトップスピード、琢磨も順調な走り出し

 その中で2回以上のインディ500優勝を経験しているのは、最年長のエリオ・カストロネベス(メイヤー・シャンク・レーシング/4回優勝2001、2002、2009、2021年)と、今年で15回目の出場となる佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/2回優勝2017、2020年)だけだ。

 琢磨は今年インディ500のみに専念するスポット参戦である。昨年所属していた名門チップ・ガナッシ・レーシングから、2020年に優勝したRLLに戻り3度目の優勝を狙う。メインスポンサーに工作機械メーカー、AMADA USAのサポートも決まって万難を拝しての出場だ。

 4月に行われたIMSでのオープンテストでは、雨に祟られて満足な周回数をこなせず消化不良に終わっていた。またRLLの4台目のエントリーとあって、琢磨の75号車のクルーも急造チームの感は拭えなかった。琢磨はインディ500の本番に向けて「宿題がたくさん残ってしまった」とコメントを残していた。

 5月に入りスピードウェイにはプラクティスの前々日から入り、前日にはHRC USAのプロモーションやメディア対応をして1日を過ごしていたが、午後にはプラクティスに備えてエンジニアリングミーティングを入念に行っていた。

「オープンテストでできなかったことと、やはり昨年このチームは予選のスピードが足りなかったので、まずそこの確認をしたい」という琢磨。

 昨年予選落ちを喫したRLLとしては、再びあの悪夢を見ることを許されない。チーム4台がそれぞれ手分けをして、スピードを追求していくようだ。

 しかし、テスト初日から雨予報のインディアナポリス。午前中に雨が落ちると予想されており、プラクティス開始の9時からどれだけ走れるかが問題だった。


 ガレージを早めに出て準備にかかる琢磨の75号車。琢磨もヘルメットを被り、グリーンフラッグの10分前にはもうコクピットに収まっていた。

 グリーンフラッグとなると、満を持して待機していたマシンが一斉にコースイン。琢磨も隊列の中に加わった。1周のインスタレーションラップを終えるとピットでマシンのチェック。そしてコースの空き具合を見て、またコースに出て行った。

 計測を開始してすぐに時速210マイルを越え、ラップを重ねてアベレージ225.551mphをマーク。いきなりタイミングモニターのトップに立った。その後、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)が228.399mphで上回り、すぐさまスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が前車のトゥをうまく利用して229.107mphをマーク、ここまでのベストスピードをマークした。





 琢磨もさらにセッティングを変更しタイムアップを狙っていたが、無情にも小雨が落ち始めてイエローコーションが出されピットに戻ることに。琢磨もしばらくはマシンの中で雨が止むのを待っていたが、雨雲のレーダーは、まもなく大粒の雨となるのを訴えていた。

 ここまでわずか30分にも満たない走行時間だったが、琢磨はゆっくりとマシンを降りヘルメットを脱いだ。

 すべてのマシンはガレージに戻され天候の回復を待っていたが、回復の気配が見られなかったため、午後2時過ぎにプラクティスの終了がアナウンスされた。これを考慮し、プラクティス2日目は2時間早く始められることになっている。


 琢磨はわずか計測6周ながらも、あっという間にオープンテスト時のタイムを上回った。テストを続行したいのはもちろんだったが、その表情は決して曇っていたわけではなかった。

「ディクソンの229マイルはすごいね。あれは決勝を想定したセッティングで、トゥを使って出したものでしょう。僕も少しトゥに入っていたかな?」

「もちろん雨で残念でしたけど、オープンテストの後ミーティングを重ねて来て、エンジニアがいろいろと頑張ってくれて、その想定していた数字が予想通りに確認できたのが良かったです」

「もし想定していた数字と走行した時の数字が合っていなかったら、また昨年みたいに大変なことになってしまうけど、今日はバッチリだった。明日のテストもまだ決勝セッティングの確認は始めないで、いくつか試したい予選用のセッティングがあるので、まずそれを確認したいと思っています」

 例えわずかな走行時間だったとしても、マシンにスピードがあり、セッティングの方向性が見えたことは、プラクティスの初日の大きな収穫だったようだ。

 そして何よりも「75」の数字がリーダーボードのトップ立つと、本来のスピードが帰って来たと安心できた。明日以降のプラクティスも楽しみだ。

こんな記事も読まれています

驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
驚速パロウが大荒れのレースを制す。ポール・トゥ・ウインで今季2勝目/インディカー第8戦ラグナ・セカ
AUTOSPORT web
大雨で終盤に赤旗中断。波乱のワトキンス・グレン6時間をポルシェ7号車が制し今季2勝目/IMSA第6戦
大雨で終盤に赤旗中断。波乱のワトキンス・グレン6時間をポルシェ7号車が制し今季2勝目/IMSA第6戦
AUTOSPORT web
テオ・プルシェールがインディカーで残した爪痕。復帰への道筋と後任ノーラン・シーゲルの才能
テオ・プルシェールがインディカーで残した爪痕。復帰への道筋と後任ノーラン・シーゲルの才能
AUTOSPORT web
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
早期スタートに終盤遅延。雨対策で6時間超のウエットタイヤ戦をトヨタのベルが制覇/NASCAR第18戦
AUTOSPORT web
「景色も何もない。真っ白です」Juju、SF初ウエットレースで視界に驚く/第3戦SUGO
「景色も何もない。真っ白です」Juju、SF初ウエットレースで視界に驚く/第3戦SUGO
AUTOSPORT web
SUGOに雨。岩佐歩夢がストレート上でスピン、開始5分で赤旗終了/第3戦日曜フリー
SUGOに雨。岩佐歩夢がストレート上でスピン、開始5分で赤旗終了/第3戦日曜フリー
AUTOSPORT web
アレックス・パロウ、コーション5度のレースを制し今季2勝目|インディカー第8戦ラグナセカ
アレックス・パロウ、コーション5度のレースを制し今季2勝目|インディカー第8戦ラグナセカ
motorsport.com 日本版
坪井翔「赤旗で終わるほど残念なことはない」 野尻智紀「この状況を避けることはできなかったか」【SF第3戦決勝会見】
坪井翔「赤旗で終わるほど残念なことはない」 野尻智紀「この状況を避けることはできなかったか」【SF第3戦決勝会見】
AUTOSPORT web
「速すぎて怖ぇ!」初めてのSF23でQ1突破までコンマ3秒の平良響「ロガーを見るたびに悔しい」/SF第3戦
「速すぎて怖ぇ!」初めてのSF23でQ1突破までコンマ3秒の平良響「ロガーを見るたびに悔しい」/SF第3戦
AUTOSPORT web
レッドブル&HRC密着:首位浮上でタイヤ選択の異なるノリスに対し有利な立場に。最速マシンでなくとも勝利を掴んだ王者
レッドブル&HRC密着:首位浮上でタイヤ選択の異なるノリスに対し有利な立場に。最速マシンでなくとも勝利を掴んだ王者
AUTOSPORT web
「素人みたいなミス」「踏むしかないでしょ!」「面白いサーキットだな」「ハメられちゃった」【SF Mix Voices 第3戦予選】
「素人みたいなミス」「踏むしかないでしょ!」「面白いサーキットだな」「ハメられちゃった」【SF Mix Voices 第3戦予選】
AUTOSPORT web
「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も
「壮絶でしたよ」。ル・マン2位表彰台のトヨタ小林可夢偉が心情を吐露。「もっと速くなれる」と来年の自信も
AUTOSPORT web
雨のなか、同一箇所で計4台がコースオフ。太田格之進「死の恐怖を感じるくらいでした」/SF第3戦SUGO
雨のなか、同一箇所で計4台がコースオフ。太田格之進「死の恐怖を感じるくらいでした」/SF第3戦SUGO
AUTOSPORT web
悪天候、アクシデント多発のSUGOは赤旗で早期終了。野尻智紀がシーズン2勝目【第3戦決勝レポート】
悪天候、アクシデント多発のSUGOは赤旗で早期終了。野尻智紀がシーズン2勝目【第3戦決勝レポート】
AUTOSPORT web
最終コーナーでクラッシュ続出。ドライバーたちの不満と“危機意識”「もうちょっと耳を傾けて欲しい」/SF第3戦SUGO
最終コーナーでクラッシュ続出。ドライバーたちの不満と“危機意識”「もうちょっと耳を傾けて欲しい」/SF第3戦SUGO
AUTOSPORT web
雨の第3戦SUGOは安全面を考慮し赤旗終了。近藤真彦会長「最後までレースができなかったことをお詫びします」
雨の第3戦SUGOは安全面を考慮し赤旗終了。近藤真彦会長「最後までレースができなかったことをお詫びします」
AUTOSPORT web
角田裕毅「何かがうまく機能しておらず苦戦した」懸命な調整でも解決せず「アップデートへの期待が外れた週末」とチーム
角田裕毅「何かがうまく機能しておらず苦戦した」懸命な調整でも解決せず「アップデートへの期待が外れた週末」とチーム
AUTOSPORT web
コース上で“停車リセット”もなお最速。フォードの怪物EVトラック『F-150』が総合優勝/PPIHC
コース上で“停車リセット”もなお最速。フォードの怪物EVトラック『F-150』が総合優勝/PPIHC
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村