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新型プジョー508 下克上【試乗記】

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新型プジョー508  下克上【試乗記】

マニアック評価 vol.677

すべてが新しいプジョー508。「やるな!プジョー」。フルモデルチェンジしたプジョー508は一見流麗なセダンフォルムに見えるが実はファストバックデザイン。顔つきも個性があり両端にあるデイライトは牙をイメージさせ、精悍さと獰猛さを感じる。そしてハンドルを握り、走り出してみると、これまでに味わったことのないドライブフィールに、これまたびっくり。新型プジョー508についてお伝えしよう。

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これぞコックピット

ドライバーが座った時のインテリアの写真を見て欲しい。どうだろう、この収まり。スポッと収まったコックピットは、まさに「コックピット」。飛行機をイメージするかどうかは置いといて、ドライバーオリエンテッドなコックピット感は誰もが感じるドライバーズシートだ。

そしてステアリングの小ささにも注目だ。プジョー208からはじまった小径ステアリングだが、これまでのi-Cockpitは、ハンドルだけ小さくなったという印象が少なからずあった。しかし、508のi-Cockpitにおける小径ハンドルは必然のように感じる。デザイン性の統一感もあるだろうが、じつは走行してみると、この小径さがいい味をだしているのだ。

さて、シフトレーバーやメーターパネル、トグルスイッチ風デザインも新鮮だ。4ドアのウインドウもサッシュレスでかつてはやった4ドアハードトップ式デザインも、今となっては新鮮だ。

エクステリアを見ると、驚きのリヤゲートオープンスタイル。プジョーではグローバルで、セダンマーケーットはシュリンクしており、だが、一定数需要があると見ている。国内でも10%のシェアがプレミアム・セダンの占める割合だという。

ジャーマンプレミアムがライバル

というように、もともと大衆量販ブランドだったプジョーもプレミアムブランド化している。ライバルもDセグメントサイズのBMW 3シリーズ、アウディA4、メルセデス・ベンツCクラス、ジャガーXE、ボルボS60といったあたりになる。

そしてどんどん大型化していくなかで新型508は先代比全長でマイナス82mm、全高35mmマイナスしており、小型化しているのだ。全長4750mm、全幅1860mm、全高1420mm、ホイールベース2800mmというボディサイズだ。

搭載するパワートレーンは1.6Lガソリンターボ+8速ATと2.0Lディーゼルターボ:8速ATの2種類。ガソリンは133kW(180ps)/5500rpm、250Nm /1650rpm、ディーゼルは130kW(177ps)/3750rpm、400Nm /2000rpmというスペック。

ガソリンとディーゼルの2刀流

そのガソリンとディーゼル両方試乗できたが、試乗エリアは御殿場周辺の一般道で、ワインディングが中心だった。そのワインディングでも驚きがあり、次第にニヤニヤとなり、最後は呆れるほどの絶賛と変化していったのだ。

ガソリンモデルの試乗では、とにかく回頭性の高さに驚かされ、あまりにも旋回性の良さが優れているので、速度を上げていく。すると、今度はリヤの追従性がしっかりと感じられ更に旋回性が高まったかのようにコーナリングスピードが速くなっていく。

速度オーバーかな?という速度でターンインしても、何事もなかったかのように旋回しクリアしていく。この連続が楽しくなり、次第に新型508の魅力に引き込まれていく。さらに、ステアリングの小径がいい味を出していることにも気づく。

タイトなヘアピンでもクルッと旋回する508に、ぴったりのサイズだと感じるのだ。そしてプジョーではヘッドアップディスプレイと呼んでいるが、メーターパネルがその小径ハンドル越しに上から確認でき、確かに少ない視線移動で速度やエンジン回転が確認できる。そしてハンドルを握る手元は、太もものやや上という、とにかく下の方で動かすドライビングスタイル。そこも斬新で新しさを強く感じるポイントだった。

ドラビリならディーゼル

ディーゼルに乗り換えると、ガソリンモデルほどではないが、同様に軽快で回頭性、旋回スピードに優れている。ガソリンモデルよりいいなぁと感じたのはアクセルレスポンスの良さだ。ディーゼルの特徴でもあるが、低回転で大トルクを発揮するためドライビリが非常に良い。

市街地の交差点や40km/h程度の巡行走行からの再加速といった、日常よくあるシーンでアクセルレスポンスが良いと感じるので、運転がしやすい。また、サスペンションのしなやかさもフランス車らしさもあり、プジョーらしさもあった好ましい。一時ドイツに寄り添ったサスペンションになったこともあったが、まさにプジョーらしさが戻っている。

さらに、直進の座り、N付近の直進性と安心感がドイツ車とはことなるフィールを作っていて好ましい。フォルクスワーゲンのように誰もが「ここがニュートラル」と感じる演出ではなく、自然とNだとわかるデリカシーがある。だからそのNからの切り始めがスムーズにハンドル操作ができ、滑らかにクルマが動く。おそらく小径ハンドルを装備しているため、そうした味付けに相当こだわったのだと想像する。

試乗を終えて余韻を噛み締めてみると、ドイツのプレミアムDセグメント・セダンはいずれも王道を行くドライバビリティで、直進の安心感と静粛性、意のままに動く操舵フィール。中でもBMW3シリーズがその象徴と言える存在なのだが、この508は、そうした王道とは別のやり方で、ドライバーに操る楽しさと、安心感、静粛性、高級感、豪華さ、などのプレミアム感を出すことに挑戦しているように感じた。プジョー508は下克上をもってフィールドに飛び出したという印象だった。

ちなみにプジョーは中国の武漢に生産工場を持っているが、国内導入モデルはフランス・ミュールーズ工場で生産されたモデルが導入される。また、SW(ステーションワゴン)は2019年夏導入予定で、PHEVは2018年のパリショーでワールドプレミアしているので、こちらも導入されると予想する。
<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

【価格(税込)】

  • 508Allure 1.6Lガソリンターボ 8速AT:417万円
  • 508 GT Line 1.6Lガソリンターボ 8速AT:459万円(試乗車)
  • 508 GT 2.0Lディーゼルターボ 8速AT:492万円(試乗車)
マニアック評価

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