オランダGP最大のヒーローは、言うまでもなく圧勝でキャリア2勝目を挙げたランド・ノリス(マクラーレン)だった。一方で最大の驚きは、6番グリッドから3位表彰台を掴んだシャルル・ルクレール(フェラーリ)だろう。
初日のフリー走行1回目(FP1)は角田裕毅(RB)、ケビン・マグヌッセン(ハース)にも先行され、9番手が精一杯だったルクレール。「せめて予選では、0.2~0.3秒以内に付けたい」と語っていたが、予選ではポールシッターのノリスからは、0.9秒という大差をつけられた。
ノリスが挽回のポール・トゥ・ウイン。フェルスタッペンに22秒差をつける【決勝レポート/F1第15戦】
FP2でのロングランを見ても、マクラーレンの2台、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)には届かず。ルクレールはジョージ・ラッセル(メルセデス)よりも遅く、セルジオ・ペレス(レッドブル)とほぼ互角といった位置であり、6番グリッドから上位入賞を狙うのは、かなり難しいミッションに思われた。
しかしルクレールは、3位表彰台を手にした。スタートでペレスを攻略して5番手に浮上と、前を行くオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ラッセルと遜色のないペースをキープし、ラッセルのほぼ1秒以内で周回を重ねた。とはいえDRSトレイン状態ではオーバーテイクまでには至らない。
すると24周目、フェラーリチームはルクレールをピットに呼び、ラッセルに対しアンダーカットを仕掛けるという好判断に出た。その動きに驚いたラッセルも慌てて翌周にピットに向かうが、ルクレールのアンダーカットは成功。さらに33周目まで引っ張ったピアストリがピットを済ませ5番手に後退したことで、ルクレールはノリス、フェルスタッペンに続く3番手におどり出ることになった。
レース後半、ラッセルを難なくかわしたピアストリが、ルクレール追撃にかかった。マクラーレンとフェラーリのロングランのペース差、そしてピアストリが9周フレッシュなハードタイヤを履いていることを思えば、ルクレールが3番手の座を守り切ることは困難かと思われた。
実際、40周目に5秒あった両者の差は、45周目には1秒以内にまで一気に縮まっていた。しかしそこから27周もの間、ルクレールはピアストリの猛追をしのぎ、最後は2秒近くまで差を広げ3位でチェッカーを受けた。
「いつもなら3位は嬉しくないけど、今日は別だ。まさか表彰台に上がれるなんて、ぜんぜん予想してなかったからね」と、まさにルクレール自身がこの結果に驚いていた。路面がほぼグリーン状態(走行セッション開始直後や雨あがりなど、路面にタイヤラバーが載っておらず、滑りやすい状態)で始まった決勝レースのコンディションで、タイヤに優しいマシンという評価のフェラーリの今季マシン『SF-24』が最大限の能力を発揮できたということか。
これでルクレールは、2戦連続となる3位入賞を果たした。ただし前戦ベルギーGPは4位でチェッカーを受けた後に、ラッセルが失格となり繰り上がっての3位だった。表彰台でシャンパンシャワーを浴びたのは、5月に行われたモナコGP以来、実に7戦ぶりとなる。
ルクレール以上に予選で手こずり、10番グリッドスタートだったカルロス・サインツ(フェラーリ)も5位入賞。フェラーリの母国戦となる次戦イタリアGPに向けて、大きな弾みのついた一戦だった。
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みんなのコメント
映像にも殆んど写らず目立つ事なく ドライバーズデイは、ルクレールだった