ポッドキャスト『F1 Nation』のホストであるトム・クラークソンとゲストの元F1王者デイモン・ヒルによると、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のレースに対する冷酷なアプローチは、成功への渇望と相まってF1のライバルたちのなかで彼を際立たせているという。
2022年に2度目の世界タイトルを獲得したフェルスタッペンは、今シーズンの序盤も勢いを維持し、これまでの3戦のうち2戦で優勝してレッドブルの2023年型マシン『RB19』の卓越した性能を最大限に引き出している。レッドブルはどのチームよりも優れているが、フェルスタッペンは今年はチームメイトのセルジオ・ペレスという唯一のライバルに対峙することになりそうだ。
ペレス「フェルスタッペンは打ち負かすのが最高に難しい相手」互いに大きな敬意を抱いていると主張
ポッドキャストのリスナーから、フェルスタッペンの際立った資質は何かと尋ねられたクラークソンとヒルは、2度の世界チャンピオンであるフェルスタッペンの特徴について見解を共有した。
「間違いなく彼は非常に速いね? これは既成事実だ」とクラークソンは述べた。
「しかし私はマックス・フェルスタッペンほど成功に飢えているレーシングドライバーに会ったことがない」
ヒルは、フェルスタッペンの成功への飽くなき貪欲さが彼の資質の重要な部分であり、F1の伝説であるアイルトン・セナやミハエル・シューマッハーがともに持ち合わせていた資質に似ていると認めた。そして1996年の世界チャンピオンであるヒルは、もうひとつの顕著な特徴を追加した。
「成功への渇望は重要な要素だと思う」とヒルは語った。「言い換えれば、競争心や野望、勝利への燃えるような欲求のことだ」
「それがおそらく重要な考え方だと思う。セナやシューマッハーのような、F1で勝利した者、また、他のスポーツで勝利を収めた多くの選手に似ている」
「だがそこには一種の冷酷さもある。ほとんどの人たちは冷酷さに共感するのは難しいと思う。通常の生活では利己的で魅力がないとみなされることだからだ。しかしそれは、勝つことが目的であるスポーツで競争するためには、完全に適切な考え方だ。目的はうまくやることでも優れたプレーをすることでもない。勝つことなのだ。彼はそうした考え方を持っている」
「では、彼はどこからそれを手に入れたのだろうか? 私は彼の母親からだと確信している。彼女も非常に成功した競技レベルの女子カート選手だった。しかしF1でレースをしていた父親のヨスも、マックスが成長するなかではっきりと、これがちょっとした楽しみのためにやるものではないことを認識させた。F1へ行くのなら、勝ちたいか、勝たなければならない」
クラークソンは、フェルスタッペンが「ただ勝つのではなく、周りにいる最も近いライバルたちを叩きのめしたい」のだと述べた。
「典型的なケースはサウジアラビアだ。彼は15番グリッドからレースをスタートした。素晴らしいレースをして2位でフィニッシュしたが、レース後にとてもがっかりして『2位になるためにここに来たのではない』と口にした。他の多くの人たちは、最高の週末だと思っていただろう」
「先週末のメルボルンでのペレスを見てみよう。彼はピットレーンスタートだったが、挽回して5位につけて満足していた。私はたとえピットレーンスタートだったとしても、マックス・フェルスタッペンが5位で満足するとは想像できない」
「彼のメンタリティは独特だ。ルイス・ハミルトン(メルセデス)は非常に競争力があるし、もちろんシャルル・ルクレール(フェラーリ)も同様だ。しかしマックスには、他のドライバーには見られない冷酷さがある。シリアルウィナーなのだ。レッドブルが競争力を持っている限り、マックスは勝ち続けるだろう。彼はそういうドライバーのひとりだ」
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