TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、2024年シーズンの出場プログラム3戦目として、3月8~9日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第3戦『トゥーリ・ラリー』にトヨタGRヤリス・ラリー2で参戦。両名ともに上位タイムを刻むなど速さを示し、山本は総合4位でフィニッシュした。
フィンランド国内選手権の第3戦として開催されたトゥーリ・ラリーは、新たにシリーズに加わったニューイベントであり、同国西部トゥーリ村の周辺に展開するスノーロードが戦いの舞台となった。
WRCチャレンジプログラム2期生、ラリー2での2戦目『ラリー・スウェーデン』で完走果たす
今年2月に行われた『アークティック・ラップランド・ラリー』、WRC世界ラリー選手権の『ラリー・スウェーデン』と、ふたつのスノーラリーをGRヤリス・ラリー2で戦ってきた小暮と山本は、雪道での四輪駆動車にも慣れてきた様子。7本のSS、都合94.93kmのステージで構成されるトゥーリ・ラリーには、ふたりはこれまで以上の自信を持って臨むことができたようだ。
ラリーはまず、デイ1の夜に2本のナイトステージが行われ、山本はコドライバーのマルコ・サルミネンとともにSS1で3番手、SS2で4番手タイムを記録。首位と12.2秒差の総合4番手につけてデイ1を終えた。一方、トピ・ルフティネンとコンビを組む小暮も初期のスプリット(区間)タイムではかなり良いペースをマークするも、その後クルマに技術的な問題が発生しタイムロス。首位と50.4秒差の総合13番手で初日を終えることとなった。
迎えたデイ2。山本はこの日も好調を維持しステージ5、6番手タイムを刻みながら表彰台を狙える位置をキープした。全長28.25kmという今大会最長となるステージ、SS6ではスピンを喫し大きな後れを取ることとなってしまったが、それでも総合5番手でフィニッシュ。その後上位のマシンが車検で失格となったことにより、総合4位という結果を獲得することに成功した。
小暮は問題が解決したクルマでデイ2に臨み、SS5でベストタイムを記録するなど速さを発揮。しかし、続くSS6でジャンクションをオーバーシュート。SS7では雪壁に突っ込んでしまい完走を果たすことはできなかった。
WRCチャレンジプログラムのインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、ふたりの若手ドライバーが挑戦した今大会をポジティブなイベントだったと振り返る。
「両ドライバーとも事前のテストを経てクルマにいいフィーリングを持ち、自信を持って運転していたと思う」と同氏。
「金曜日の夜、(山本)雄紀は非常にいいスタートを決め、問題さえ起こらなければ(小暮)ひかるも速かったはずだ。土曜日も彼らは依然いい走りをしていたと思うが、小さなミスもあり、ひかるが最後のステージでスタックしてしまったのは不運だった」
「これでウインターシーズンは終わりになるが、ふたりとも徐々に自信をつけ、新しいクルマにも慣れてきている。次のラリーは彼らにとってまったく新しいものとなり、学ぶべきことが多くあるので、忍耐強く努力を続けることが重要だろう」
■「どんどん改善」「雪道でのドライビングを楽しめた」/ドライバーコメント全文
●小暮ひかる(トヨタGRヤリス・ラリー2/リタイア)
「最後のステージでのスタックは少し残念でしたが、それ以外はいいフィーリングで走ることができましたし、スピードもあったと思います」
「路面はタイヤのスタッドがしっかり食い込むようなアイスが多かったことでグリップがとても良かったですし、事前のテストも同じようなコンディションだったので、テストと変わらぬフィーリングで走り続けることができました。金曜日に発生した問題をチームが解決してくれたことで、土曜日は最初のステージからいいフィーリングで走ることができました。最後のステージは表面に水が浮いていて、雪壁に突っ込んでしまい抜け出すことができず残念でした」
「今年序盤の3戦では、雪道での四輪駆動車のドライビングをとても楽しむことができましたし、このようなコンディションでは昨年に比べてかなり改善できたと思いますが、それでもまだやるべきことは多くあります」
●山本雄紀(トヨアGRヤリス・ラリー2/総合4位)
「全体的には本当にポジティブなラリーだったと思います。金曜日のスタートはとても良く、これまででベストなドライビングだったと思います。事前のテストと同じようにグリップが非常に高かったので、とても楽しんで走ることができました」
「土曜日の朝も同じリズムをキープしようとしましたが、そう簡単にはいきませんでした。路面のコンディションが少し柔らかく、ステージのキャラクターも異なっていました。それでもまったくダメだったわけではなく、どんどん改善されていきました」
「いくつかミスもありましたが、スピンに関してはペースノートと自分のドライビングがやや楽観的だったようで、左コーナーへの進入速度が速すぎて、次の右コーナーにうまくターンできなかったことが原因です。ただし、それを除けばペースノートはうまく機能していましたし、これまでのラリーよりフィーリングもずっと良かったと思います」
「クルマに対する自信はかなりつきましたが、もちろん改善すべき点はまだ多くあります」
■次戦はふたたびWRCへ
小暮と山本にとっての次戦は4月18日から21日にかけて開催されるWRC第4戦『クロアチア・ラリー』の予定だ。ふたりは2月のスウェーデン以来となるWRC2クラスに、引き続きトヨタGRヤリス・ラリー2で挑むこととなる。
クロアチアの首都ザグレブを中心に開催されるこのラリーは、小暮と山本にとって今シーズン初のターマック(舗装路)ラリーとなる。舗装された道とはいえ、ステージのコンディションは目まぐるしく変化し、数あるターマックラリーの中でも非常に難易度の高い一戦として知られるクロアチアは、彼らにとって大きなチャレンジとなることが予想される。
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