100kWhのバッテリーに190psのモーター
メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXXがベースとしているのは、独自に開発された後輪駆動用プラットフォーム。2024年以降の市販車に採用される、MMAプラットフォームの一部も取り入れられているという。
【画像】近未来のメルセデス・ベンツ ビジョンEQXX 最新のEQSとEQE、Sクラスも 全92枚
フロアパンに敷き詰められるリチウムイオン・バッテリーの容量は、約100kWh。重量は495kgもある。中国のCATL社製で、最新のCTPシリコン技術を導入し、システム電圧は900Vとのこと。
駆動用モーターは、ドイツと英国に拠点があるメルセデス・ベンツの技術部門によって開発された。リアアスクル側に搭載され、190psを発揮する。
ボディは低くタイトだが、4枚のドアは大きく開き、ビジョンEQXXへの乗り降りは簡単。サポート性は最小限ながら、クションの効いたシートの取り付け位置はかなり低い。フロアは完全なフラットだ。
シートに腰を下ろすと、スポーティな雰囲気を感じる。傾斜したフロントガラス越しの視界は良好。一方で後方視界はゼロだ。リアウインドウがあるべき位置に、ソーラーパネルが並んでいる。補機用の12Vバッテリーを充電するために。
ダッシュボードの取り付け位置は低く、幅1100mmもある8Kの大型モニターが広がる。メーターの表示に加えて、消費電力量などもリアルタイムで表示が可能だ。
マルチファンクション・ステアリングホイールを握ると、傾斜したフロントガラスの上部が頭上に迫る。それ以外、レザーで仕立てられたインテリアの印象は、かなり良い。
ワンオフながら感銘を受ける洗練性
だが、今回は運転が許されていない。実際にビジョンEQXXを走らせるのは、このプロジェクトでチーフエンジニアを務めた1人、フリーデマン・フラッシュ氏。フランス・ニースまでのテスト走行でも、ステアリングホイールを握った1人だ。
「とても運転しやすいと思います。効率を高めるのに、特別なドライビング・スタイルも必要ありません。ただし、最大の航続距離を得るには、かなり予測的に運転する必要はありますね」。と、フラッシュが話す。
筆者は助手席に座り、ニースの公道を進む。先進的なドライブトレインの滑らかさと、全体的な洗練度の高さに感銘を受けながら。
1台だけ作られるような、ワンオフの技術的なコンセプトカーで、ここまで高次元に完成されていることは珍しい。混雑した市街地にも、流れの良い幹線道路へも、まったく問題なく適応している。
高速道路へ入ったところで、フラッシュはタッチモニターに触れ、リアディフューザーを展開した。空力特性を良くするために。
運転しながら、彼は消費電力に目を配る。「100km当たり10kWhから15kWh(6.7-10.0km/kWh)の間が、スイートスポットです。できるだけ、それを保ちたいところです」。と教えてくれた。
回生ブレーキの効きは4段階が用意され、ステアリングホイールのパドルで切り替えられる。通常のビジョンEQXXは、アクセルペダルを緩めると急速に速度が落ちるようだ。
スポーティなオンロードマナー
「複数ある回生ブレーキのモードに慣れてしまえば、ブレーキペダルを操作する必要がないとわかります。ドイツ・シュツットガルトからニースまでのテスト走行でも、ほとんどパドル操作だけで運転できました」
電費効率に注力されているビジョンEQXXだが、後輪駆動ということもあって、オンロードマナーはスポーティ。前方の交通が少なくなり、フラッシュがアクセルペダルを踏み込むと、滑らかに速度が増す。トランスミッションはシングルスピードだ。
最高速度は予防的に140km/hへ制限されているが、それ以上のポテンシャルを持つことは間違いないだろう。駆動用モーターなどは、メルセデスEQBのプロトタイプで、しっかり事前にテストを受けているらしい。
風切り音は殆どない。メルセデス・ベンツとして過去最も空力特性に優れたボディだということを実感する。高速道路を走っていると、タイヤからの鈍いノイズが響いてくる。
駆動用バッテリーがシャシー・フロアに敷かれ、全高も低く、重心位置は自社の量産モデルより低い。コーナリングも巧みにこなす。
助手席に乗っていても、カーブが連続する道で、スムーズに進路が変化していく様子がわかる。技術的なプロトタイプであることを忘れてしまうほど、流暢に走る。
サスペンションは硬く、ボディロールはほとんど生じない。転がり抵抗を最小限に抑えるため、スプリングレートとタイヤの空気圧は高いという。乗り心地に落ち着きはないが、ワンオフのコンセプトカーとして考えれば、酷いものでもない。
今後数年間での進歩を指し示す
独創的なプロトタイプでありながら、充分な訴求力をも漂わせる、メルセデス・ベンツ・ビジョンEQXX。同社の純EVが、今後数年間でどのように進歩するのかを指し示す1例だといえる。
このまま量産されることはないにしても、ベクトルは同じはず。ビジョンEQXXへ採用された技術には改良が加えられ、次期モデルの多くへ採用されるに違いない。
空力特性だけでなく、タイヤや車両構造、駆動用モーターとバッテリーの進化などで、1000kmという航続距離は遠くない将来には一般化するだろう。課題は、われわれが購入できる価格帯へいつ降りてくるか、ということかもしれない。
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みんなのコメント
BEVで1000kmの航続距離が未来だと言ってるって如何に今のBEVが戯事かと思ってしまう。
ただ日本が絶対優位だったバッテリー技術があっというまにプーさん帝国に持って行かれたのは、日本のアホな経営及び株主のせいだというのはホント悔しい。