エランやエスプリなどが復活する?
text:Richard Bremner(リチャード・ブレンナー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ロータスは、かつてのオープン・スポーツカー、エランという名前の復活を検討している。同時に、エリートやエスプリの復活も視野にあるという。
エランという名前は、ロータス社の情報筋の話では数年内に復活する可能性が高いようだ。詳細はほとんど明らかではないものの、その人物は提案内容にとても興奮したと話している。
ラインナップとしてはエリーゼの上に属することになる。洗練された2シーターのコンバーチブルで、ポルシェ・ボクスターに並ぶ快適性や車内の広さが期待できる。一方で、ライバルより軽量でクラス最高のドライビングフィールという、ロータスの伝統にも習う必要があるはず。
現行のエリーゼやエキシージ、エボーラに用いられているプラットフォームが開発されたのは1995年。ロータスはこれらの構造をリフレッシュするべく、リベット結合された新しいプラットフォームの開発を進めている。
新プラットフォームが仕上がるのは2年先と計画されており、エランも含めた、新しいスポーツカー・シリーズの骨格をなすことになるだろう。
今回復活すれば、エランとしては3代目に当たる。初代は1962年に登場し、スポーツカーとして高く評価された。当時ロータスが10年計画として掲げた「ビジョン80」戦略の1つとして開発されたプラットフォームを骨格としている。
新しいプラットフォームを開発中
新しいロータス・エランの登場より先に、エボーラのプラットフォームをベースとした新しいスポーツカーを発表する予定もある。姿を表すのは2020年の後半とされており、ドライバー重視のパッケージングを得ているという。
乗降性にも優れ、運転姿勢など人間工学の部分でも大きく改善するようだ。またコネクティビティなど、デジタル技術の面でも刷新する必要性を上層部は認めている。社外品のステレオユニットではなく、ロータス製のインフォテインメント・システムも獲得するだろう。
一方で、新しいプラットフォームの開発規模は約15億ポンド(2100億円)と推定されているが、ロータスの広報担当者によれば少なく見積もった数字だという。基本的に既存のものと概念的には近く、開発には充分な数字だといえる。
リベット結合による軽量合金コアコンセプトは、優れた剛性を確保しつつ、モデルに応じて必要な部分の剛性を高められる柔軟性もあわせ持つ。ドライバー重視のドライビング体験や性能を高次元で実現するにも、必要な要素だ。
リベット結合という手法は、ロータスの販売計画にも都合が良い。ロータスは2018年の1630台から、2029年には1万台まで増産したいと考えている。このプラットフォームの構造は、比較的少量生産に留まるロータスにとって適した手法となる。
軽量なロータスを実現する上で不可欠でもあり、25年間続いてきた現行プラットフォームの製造経験も活かせる。新しいプラットフォームには、カーボンファイバーや複数の金属が適材適所で用いられるだろう。
ジーリーホールディングの後ろ盾を活かす
製造時間の短縮も重要な要素だと、ロータスの関係者は話す。接着剤で結合する時と比較して、リベット結合はプラットフォームの製造時間を短くでき、クルマ自体の組み立ても短時間化。品質を改善することにもつながる。
新プラットフォームは、サーキットから公道まで、エランからエボーラ、エスプリまでをカバーする汎用性が求められる。長期的な計画として掲げるラインナップに合わせて、様々なダイナミクス性能を達成する必要がある。
ロータスによれば、ライバルモデルを時間を掛けて評価し、モデル毎にゴールを設定しているという。またジーリーホールディングのメンバーシップが鍵のようだ。電子制御ダンパーのほか、インフォテインメント・システムや電動パワーステアリングといった技術を、手頃なコストで利用できるようになったとのこと。
これらは、高度な運転支援システムの実現にも欠かせない技術。一方でサーキットを前提としたクルマには、搭載されない可能性もある。
ジーリーホールディングの後ろ盾によるメリットとして、全世界市場で公認が得られるモデル開発が可能なこともあげられる。同時に中国や北米市場など、特定のマーケットの需要に合わせたクルマの開発も容易となるだろう。
当面続くであろうSUV人気も重要なところ。ポルシェが生産台数を伸ばすことにつながったカイエンやマカンと同様に、ロータスにとっても重要な稼ぎ柱になることが期待できる。
「ポルシェはわたしたちのペンチマークです」 と、グループ・ロータスのCEOはAUTOCARに対して2019年始めに答えている。
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