エステバン・オコン(アルピーヌ)が、またもやらかした。6月29日に行われた2024年F1第11戦オーストリアGPの予選では10番手と健闘。翌30日の決勝レースでも、序盤の12周目には8番手まで順位を上げていた。背後にはチームメイトのピエール・ガスリーが迫っていたが、両者のペースに大きな違いはなかった。
しかし27周目以降、第2スティントを引っ張って前に出たフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を、よりフレッシュなタイヤを履くオコンが抜きあぐねた。ペースは明らかに後ろのガスリーの方が速い。「さっさとフェルナンドを抜かないと」と、後ろからプレッシャーをかけるガスリー。ターン3で自分からオコンを抜きにかかるが、逆に押し出されてしまう。
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41周目にガスリーがようやく抜いていったが、オコンは最後の最後まで抵抗を続け、2台が接触するシーンもあった。何よりこのほとんど無意味なバトルを繰り返したことで、ふたりはすっかりタイヤを使い切ってしまった。
本来彼らが戦うべきは、前を行くハースの2台だった。開幕直後は絶不調だったアルピーヌだが、第8戦モナコから前戦スペインまでの3レースで連続入賞し、一気にハースを抜いてコンストラクターズ選手権7位まで上がった。とはいえその差は、わずか1ポイント。同士討ちをしている余裕など、ないはずだった。
一方のハース勢もニコ・ヒュルケンベルグとケビン・マグヌッセンが接近した状態で周回を重ねていたが、こちらは後ろのマグヌッセンが自重している感じだった。チームからも、しっかり指示があったのだろう。
早めにハードタイヤに履き替える戦略も功を奏し、57周目にはヒュルケンベルグ7番手、マグヌッセン8番手まで順位を上げた。その後マグヌッセンはペースに勝るセルジオ・ペレス(レッドブル)抜かれ、9番手に後退。ところがヒュルケンベルグは、そこからチェッカーまでの十数周、ペレスの猛攻をしのぎ続けた。
ヒュルケンベルグがハード、ペレスはミディアムタイヤ。耐久性はハードが優れるとはいえ、ペレスのタイヤの方が12周も若い。そもそもレッドブルとハースでは、マシン戦闘力は段違いのはずだ。それでもヒュルケンベルグは、0.1秒まで迫られても一歩も譲らず、今季ベストの6位入賞を果たした。
マグヌッセンも8位に入って、ハースは12ポイントの大量得点を稼ぎ出した。一方のアルピーヌは、ガスリーの1ポイントのみに終わった。
両チームの予選一発の速さは、今回かなり拮抗していた。一方でレースペースは、ハースの方が優れていたように見える。とはいえその差は決して、大きなものではなかった。チームメイトバトルなどしていなければ、少なくともガスリーがマグヌッセンを食えていたのではなかったか。
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