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【いい人=モテるわけではない】アウディA4 35 TFSIに試乗 平穏な時間の積み重ねに価値を見出すモデル

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【いい人=モテるわけではない】アウディA4 35 TFSIに試乗 平穏な時間の積み重ねに価値を見出すモデル

マイチェン版アウディA4アバント

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

【画像】アウディA4をS4/過激なS4と比較【ライバル比較も】 全134枚

photo:Masakatsu Sato(佐藤正勝)

現行型アウディA4の登場は2015年、半年余遅れて2016年に日本導入。

MC前後のA4を比較するとこの新車開発傾向の4年間の変化とアウディの普遍性が見えてきて興味深い。

変化は電動化技術の導入。欧州の企業別平均燃費規制もあり、ここ数年は各社ともに電動化率の大幅向上を謳っている。

電動化といってもEVに切り替えると言う訳ではなく、マイルドハイブリッドも含むので市場様相が激変することはないだろうが、欠かせない要素なのは間違いなく、A4もこのMCを機に搭載パワートレインにベルト駆動ISG(BAS)を用いた12V型マイルドハイブリッドを採用。

35 TFSIは排気量を1.4Lから2Lに拡大し、実動力性能と燃費の向上を図っている。

継承は「一目でアウディとわかる」スタイルが雄弁だ。ドアパネルまで手を加えた外観の更新はMCでは異例の大変更。

フェンダー周り全体を張り出させたようなブリスターやフロントグリル上に開口したエアスクープなどによるスポーティなイメージの強化が狙いだが、エレガントで端正な佇まいを崩していない。

むしろ抑えの利いたスポーティ感が理知的な印象を覚える。

外観に比べると内装の変更は少なく加飾等の表面的な変更が主で、居心地や操作動線は大きく変わっていない。馴染みのいいインテリアである。

A4らしい出力特性 MHEVの良さも

排気量は約1.4倍。単純計算なら最高出力は210ps超、最大トルクは36kg-m超となるが、最高出力は同じ150psで、最大トルクは約8%増の27.5kg-m。

排気量のゆとりを活かして実効性の高いトルクを広域で発生させているのがスペックからも読み取れる。

「チューン度」は低下したようにも見えるが、マイルドハイブリッドの効能を考えれば納得できる。

アイドリングストップからの滑らかな走りだしや走行中エンジン停止によるコースティング機能はマイルドハイブリッドならではだが、通常走行時のドライブフィールでは電動駆動アシストの効果をこれ見よがしにはしていない。

専用リチウムイオン電池を備えるとはいえ、12V型マイルドハイブリッドゆえに電動アシスト能力に余裕が少ないこともあるのだろうが、踏み増し時の初期加速反応は穏やかであり、踏み込みが然程大きくならない中にダウンシフトする。

従来車からドライブフィールを大きく違えることなく、力強さを増したような特性はA4らしく思えた。

重箱の隅を突けば従来車に比べると回した時の加速の伸びやかさ、あるいはターボらしさが減ったとも言えるのだが、排気量増とマイルドハイブリッドの導入はゆとりと扱いやすさをレベルアップ。

良質なダウンサイジングターボのドライブフィールはA4のキャラにも似合いであり、高回転の使用頻度とアクセルの踏み込み量を抑えつつ、リズミカルなドライビングを楽しめた。

操る手応え<無意識に操れるタイプ

外観から受けた印象そのままのフットワークと言っていいだろう。つまり「抑えの利いたスポーティ感とエレガントな趣」なのである。

前後サスともに軽い負荷から長めのストロークを使う。FF車にありがちな突っ張るようにリアサスの沈み込みを抑えた感もない。

サスストローク速度は標準的だが、揺れ返し不要な挙動は上手く抑制されている。細かな路面凹凸の振動吸収も良好である。

重質な味わいは程々。どっしりとした落ち着きを求める向きには物足りなさを感じるかもしれないが、軽やかさと質感を両立した乗り心地はアウディならではの味わいである。

ノーズヘビーになりやすい縦置きFFを意識させないハンドリングも見所の1つ。操舵初期から応答遅れ少なくラインに乗っていく。

回頭に対する旋回力のタイムラグも少なく、向きとコーナリングラインが一致している。

だからと言って過敏というわけでもなく、高速での直進も落ち着いているし、不慣れな山岳路走行でも楽々とこなせる。

操る手応えでなく、無意識に操れるタイプのハンドリングである。

パワートレインもそうなのだが、操作と反応の繋ぎ方が時間的にも量的にも程よく、馴染みがとてもいい。

従って運転ストレスも減少し、ドライバーも同乗者も乗り疲れしにくいのは大きなアドバンテージだ。

もう少し時代をリードする部分も欲しい

環境性能も運転支援機能や車載ITなど今が求める部分は「最新」に追いつけた程度の印象。

MCとしてはかなり頑張ったのだが、もう少し時代をリードするような部分も欲しい。

また、周囲に印象付けたいとか語るためのネタや個性を価格以上に求めるユーザーには投資効果の少ないモデルに見えるだろう。

価値の多くは長い時間軸で量らないと見え難いものなのだ。

A4アバント35 TFSIは何気なく過ごした距離と時間で無意識下に信頼を築いていく「いいクルマ」である。

内外装も走りも品よくまとまっている。あざとい演出がないから自然体で乗っていられるし、クルマに合わせた運転を強要されることもない。

内外装も走行感覚も静穏を基本に仄かな昂揚感を持たせ、同カテゴリー同価格帯では最も穏やかな気分で乗っていられる一車。

プレミアムワゴンのヒーリング派と言うのも何だが、平穏な時間の積み重ねに価値を見出すモデルである。

「いい人」と同義で「いいクルマ」なのだ。

なら「いい人」がモテるかと言えばそうでもなく、ちょっと癖があるくらいのほうがモテたりもする。

強い印象が残らないから楽しくないと誤解されているのかもしれない。

でも、生活や人生のパートナーとしては? となれば、やはり「いい人」が最有力候補だろう。

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みんなのコメント

8件
  • 結局、この記事は何が言いたいのでしょう?メーカーから試乗車を借りたけど、「目立った特徴があるわけでもなく、無難な選択をするならおすすめです。」のようなことが書けないので、苦し紛れに書いたようなタイトルと記事ですね。
    「人柄も良く、家柄(ブランドイメージ)もいい方がいらっしゃるので、お宅のお子様のお見合い相手にいかかですか?」みたいに感じてしまいました。
    もちろんA4はいいクルマだと思いますよ。オーナーになった方の満足度は高いでしょうね。

  • ここ10年くらいでアウディの存在感がすごい低下したように感じる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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