もくじ
ー アーバンEV スタイリングはコンセプトモデルのまま
ー 小型EVはプレミアムモデル
ー 航続距離はミドルレンジ 欧州では2/3が電動化
ー ホンダ・パワーマネージャー 売電で副収入も
フィアット 欧州市場再構築へ 500が中核もティーポとミトは整理対象
アーバンEV スタイリングはコンセプトモデルのまま
好評をもって迎えられたホンダ・アーバンEVは来年予約受付が開始され、その生産は2019年後半からとなる。
昨年9月のフランクフルト・モーターショーで公開され、今回のジュネーブでも展示されているコンセプト・バージョンが、量産モデルのスタイリングのヒントだ。最終的な量産モデルは来年のジュネーブ・モーターショーで発表される。
コンセプトモデルが好評だったことで、量産モデルのデザインもほぼそのままとなるだろう。一方、インテリアに関しては、4人乗りから5人乗りへの変更や、より一般的な操作系の採用など、大幅な見直しが予想されている。
英国での受付開始について語ったさい、英国ホンダのトップであるデイブ・ホジェッツはこの小型EVのセールスが「素晴らしいものになるだろう」と話している。さらに、そのスタイルを越えて、このクルマに対する「ひとびとの本当の評価を示すことになる」とも付け加えている。
しかし、現時点では量産モデルの詳細についてはほとんど明らかにされておらず、ホジェッツは、このモデルに興味を持つひとびとが、どんなクルマにお金を払おうとしているのかを知ることができるよう、「具体的な情報を得ようと必死です」と話している。
小型EVはプレミアムモデル
価格について話すのは時期尚早だが、ホジェッツはこのモデルがスーパーミニでありながら、ホンダではプレミアムモデルとして位置付けており、それほど安価なプライスタグを掲げることはないと認めている。
そして、今後2~3年のうちにEVの価格帯が内燃機関モデル同等になって欲しいともホジェッツはいう。
ホンダはすでに米国と日本でEVのクラリティ・ハッチバックを販売しているものの、このクルマは欧州市場におけるホンダ初のEVであり、新たなEV専用プラットフォームを与えられることになる。そして、今後のホンダ製EVの「テクノロジーとデザインの方向性を示す」モデルでもある。
アーバンEVのロー&ワイドなプロポーションは、ジャズ(日本名:フィット)よりも100mm短く、その全長は3895mmとなる。そして、発売後も他のモデルからセールスを奪うことはないだろうとホンダの内部筋は話す。
アーバンEVにも、これからのホンダ製EVを象徴するブルーのバックライト付き「H」のエンブレムが装着される。ヘッドライトの間には、あいさつや、他のクルマのドライバーに対するアドバイス、それに充電状況といった双方向メッセージを表示することができる。
インテリアでは、スリムなAピラーとワイドなウインドウスクリーンによって、ドライバーが最大限の視界を確保できるようにしている。乗降はリア・ヒンジ式のコーチドアからだ。
フローティング・ダッシュボードと呼ばれるコンソールに、ステアリングホイール・コラムとシンプルなコントロールボタン、さらにはパノラミック・スクリーンが収まる。ラップラウンド・スクリーンがダッシュボードを越えてドアにまで達しており、デジタルカメラの表示がサイドミラー代わりだ。
コンセプトモデルでは乗車定員は4人だったが、量産モデルでは5人乗りとなるだろう。
航続距離はミドルレンジ 欧州では2/3が電動化
発売時のパワートレインや航続距離に関する情報は明らかにされていないが、ホンダでは、このクルマには高密度軽量バッテリーパックとインテグレーテッド・ヒート・マネジメント・システムが搭載され、電力グリッドと双方向での充電と給電が可能になると話している。ホンダ内部筋によれば、その航続距離はショートからミドルレンジ、つまり155マイル(250km)程度になるだろうとのことだ。
ホンダでは最近、今後欧州で発売するすべての新型モデルには、必ず電動化バージョンが設定されることになると発表している。
欧州では、2025年までに新車販売の2/3を電動化モデルにする目標を掲げており、これは全世界目標よりも5年早いペースとなる。
ホンダの八郷隆弘社長は、「ここ欧州における電動化が他の市場よりも早いペースで進んでいるからです」と説明している。
ホンダ・パワーマネージャー 売電で副収入も
昨年、ホンダは電力グリッドと双方向での充電と給電が可能な電力トランスファー・システムとなる、ホンダ・パワーマネージャー・コンセプトを発表している。このシステムでは再生可能エネルギーからの電力やEVバッテリーを家庭と接続して、必要に応じて充放電を行うことができる。
ホンダモーターヨーロッパの上級副社長であるフィリップ・ロスによれば「状況に応じて、パワーマネージャーがEVバッテリーから家庭へ電力を供給し、電力グリッドからの電力購入を最小限にすることができます。さらに、EVに電力を貯めておくことで、電力グリッドへの売電を可能にし、オーナーが副収入を得ることもできるのです」とのことだ。
現在この技術は、2020年までの完了を目指す地域「スマート・グリッド」開発の一環として、フランス西部で実証実験が行われている。
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