ベントレーのコーチビルドの復権
text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ベントレー・マリナー・バカラルは、英国のコーチビルダーが切り開く、新時代を象徴するモデルだといって良い。現在ベントレー・マリナーは、超高級な特別仕立てモデルを年間2台のペースで発表している。
英国価格150万ポンド(2億1450万円)となるバカラルは、オープンボディのグランドツアラー。生産台数は12台の限定で、すべてが既に忠実なベントレーのロイヤル・カスタマーに割り当て済みだという。
2シーターのデザインは、昨年にベントレー100周年を記念して発表されたEXP 100 GTに大きな影響を受けている。バカラルはEXP 100 GTと並行してデザインされたという。
特にコンセプトカーとの結びつきを感じさせるのは、現行モデルの双眼ではなく、単眼となるヘッドライト。またダークブロンズのボディ装飾も特徴だ。ブレード状のデザインとなる、テールライトにも、強い共通性を漂わせる。
ボディデザインのチーフ、JPグレゴリーは、「ベントレー・マリナーが手掛けた初めての現代版コーチビルド・モデルです。本来、ベントレーは(コーチビルドで)有名なブランドです」 と話す。
「バカラルの個性は、未来のラグジュアリー・モビリティを想起させるものです。我々はすでにEXP 100 GTで、そのビジョンを提示し始めていました。バルケッタ・デザインは、視覚的な重さを打ち消します。エクステリアとインテリアのシームレスな流れを生んでいます」
量産車では実現できないデザイン
インテリアは、1929年のバーキン・ブロワー・レーシングカーの流れを汲むと、インテリアデザインのチーフ、ダレン・デイは話している。「わたしたちは包まれるようなコクピットを重視してデザインを進めました。シートの後ろ側も含めて」
「もちろん、ゼロからデザインしています。スピーカー部分の細かな装飾も含めて。量産車では実現できないデザインを見たいと考えました」 バカラルのオーナーは、シートの後ろにピッタリと収まる、特注のラゲッジセットをオーダーすることも可能だ。
ベントレーの現行モデルから流用される部分は、キーレスエントリー機能に伴うドアハンドルと、エアバック機能を実装するためのステアリングホイールだけだという。
ほかにインテリアで既視感を感じさせるのは、ダッシュボードやセンターコンソールのボタン類。しかし、バカラルのためにまったく新しい素材で仕上げられている。
中には、ケンブリッジで自然に倒れた樹齢5500年の木材や、スコットランド国境付近で取られたウールやツイードなどが用いられている。メーターや時計のパネルはダークブルーの盤面が埋められ、メキシコの湖の名前が由来となるバカラルをイメージさせる。
「バカラルの開発を始めた時、まだEXP 100 GTコンセプトにも取り組んでいました。異なるものを同時に取り組むことはいい経験になります」
「クロームメッキや、古典的な素材はほとんど用いていません。ベントレーの可能性を現代的に解釈するうえで、飛躍といえるデザインだと思います」 と振り返る、ベントレーのデザインディレクター、ステファン・シエラフ。
コーチビルド・モデルの需要の高まり
バカラルに搭載されるエンジンは、ベントレー自慢の6.0L W12気筒エンジンで、最高出力は659ps。標準的なW12エンジンより41psほどパワーアップしている。
最大トルクも91.6kg-mにまで引き上げられた。0-100km/h加速は3.5秒でこなし、最高速度は320km/h以上となる。
バカラルは、マリナー部門にとって本格始動も意味している。ベントレー・マリナーを率いるティム・ハニングはこう説明する。「お客様に満足していただく、最大の未開拓領域の1つです」
つまり、マリナーの3本柱として、マリナー・クラシック、マリナー・コレクションズ、マリナー・コーチビルドがあるのだ。
マリナー・クラシックは、1939年製ベントレー・コーニッシュの再生と、バーキン・ブロワーの後継シリーズなどで、2019年に活動をスタートさせている。マリナー・コレクションズは、最近発表となった特注のコンチネンタルGTマリナー・コンバーチブルなどが対象。
マリナー・コーチビルドは、独自モデルのバカラルを生み出した。「コーチビルド・モデルの開発を始める必要がありました。マリナー部門の本質です。バカラルとブロワーは、いわば、われわれの出発地点です」
「このようなクルマへの需要はかなり高いのです。多くの人々から、なぜもっと早くこのようなクルマを手がけなかったのか、と聞かれるほど」 と語るハニング。
将来のコーチビルドに対してこう続けた。「バカラルには、ドライビングの至高感があります。そこへ、究極の快適さも与えることができます。下品にはしたくありません。最速のクルマというわけでもありません」
手作りなら多くても12台が限界
「量産モデルより、遥かに機敏なバカラルを一般道で目撃できるでしょう。これは、今後に続く最初のクルマ。現代のコーチビルドのスピード感は増していきます。作り出す台数によって、内容も異なります」
「お客様が1台か2台のクルマをご希望されれば、価格は高くなります。ですが、お請けできます。すべてを手作りで仕上げる場合、多くても10台や12台が限界でもあります。バカラルのように」
番外編:ベントレーの電動化計画
ベントレーのデザインチームは、2025年の発表を予定するEVのデザインを検討し始めている。昨年発表されたベントレーEXP 100 GTコンセプトはEVだった。そして量産EVのデザインを進めている。
ベントレーでデザインディレクターを努めるステファン・シエラフは、次のように答えてくれた。「現在、EVの実験的なデザインを進めている段階です。現代的で飛躍的なEVの創造に強い関心を寄せています」
「常にベントレーである必要があります。ですが、EVのプロポーションは(内燃エンジン・モデルとは)異なるでしょう。タイカンの見た目は、しっかりポルシェですよね」
「テスラは、ドラマチックさに欠けています。BMW i3はデザイナーとして素晴らしいと感じますが、顧客の多くは美しいとは感じていません」
「より高い視点から、勇敢に取り組む必要があります。市場に姿を表すのなら、正しい存在であることが求められます。ベントレーのブランド・アイデンティティ、特徴はとても有効に働きます」
ベントレーのCEO、エイドリアン・ホールマークは以前、EVの設計を「とても急いでいる」と話していた。それを裏付ける技術は、2025年までお預けとなるのだろう。
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