8月上旬以来の開催となった2022年TCRオーストラリア・シリーズ第6戦サンダウンは、豪雨の週末に3ヒートが争われ、ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)のアーロン・キャメロン(プジョー・スポールGRMチーム・バルボリン/プジョー308 TCR)が、レース1でポールシッターのジェイ・ハンソン(AWC MPCレーシング/アウディRS3 LMS 2)を出し抜き今季3勝目をマーク。
同じく視界不良の日曜レース2は、ベン・バルグワナ(バーソン・オートパーツ・レーシング/プジョー308 TCR)が最終ラップ最終コーナーの攻防を制し、ファイナルヒートでは2019年の初代王者ウィル・ブラウン(リキモリMPCレーシング/アウディRS3 LMS)が見事なカムバックを披露、今季11人目のウイナーに輝いた。
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9月16~18日のレースウイークを前に、GRM所属のキャメロンが今季10月にフランスのポール・リカールで開催される『FIAモータースポーツ・ゲームス』のTCR部門オーストラリア代表に選抜され、同地では同じくプジョーでTCRヨーロッパを戦うチーム・クレーレ・スポーツからのサポートを受けることがアナウンスされた。
「フランスで開催されるFIAモータースポーツ・ゲームスで、こうしてオーストラリアを代表するのは素晴らしいことだね。モータースポーツでメダルを争うことは滅多にないし、当然オーストラリアに金を持ち帰りたいと思っているよ」と決意表明したキャメロン。
「僕はこのプジョー308 TCRで世界的に有名な多くのレーサーと戦うつもりだ。とてもタフな競争になると思うし、オーストラリアを可能な限り最高の形で代表できることを願っている」と続けたキャメロン。
「これまでポール・リカールに行った経験はないが、僕の調査によるとプジョーはそこに適しているはず。オープニングセッションから戦えるよう、事前にいくつかのシミュレーション作業を行う予定だ。実際、モータースポーツでオーストラリアを代表するのはこれが2回目で、最初は2015年のカートだった。そこでいくつかの良い結果を逃したように感じているし、この機会がそのリベンジになることを祈っているよ!」
こうして始まった週末は、金曜プラクティスこそドライ路面だったものの、土曜予選時には併催のファナテック・GTワールドチャレンジ・オーストラリア・パワード・バイAWSのセッションが中断されるほどの豪雨に見舞われる。
そんななか、金曜からの好調を維持してポールポジションを射止めたアウディのハンソンに続き、豪州代表のキャメロンがフロントロウ2番手のグリッドを確保する。雨中の視界を考慮すれば、ポールシッターの絶対優位が明らかな状況でレース1のスタートが切られると、ホイールスピンを喫したアウディは有効なトラクションが得られず。ここでキャメロンのプジョーが労せずしてトップランのアドバンテージを手にする。
さらに好スタートを切った初代TCR王者ブラウンのアウディにも先行されたハンソンは、バックストレートの激しい水飛沫で先頭のプジョー以外はほとんど視認できない状況のなか、3周目までサイド・バイ・サイドの攻防を繰り広げる。
すると首位キャメロンの僚友ディラン・オキーフ(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/プジョー308 TCR)がトラブルからバックストレート脇でクルマを止め、ここで最初のセーフティカー(SC)が導入される。
そのリスタートで、今度は2番手のブラウンがターン2でワイドになり、ここでハンソンがポジションを回復。するとその直後、マイケル・クレメンテ(カール・コックス・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がターン1のグラスエリアに“水没”し、ふたたびのSCがコースインする。
■カムバック勝利の初代王者ブラウン「少し時間がかかったけど、素晴らしいレースだった」
相次ぐマシン回収作業のロスで、スチュワードはここでタイムドレースを選択。残り1周のラストスプリントで勝負が再開されると、ターン4から最後の勝負に打って出たハンソンは、バックストレートエンドのブレーキングで首位プジョーのインサイドに決死のダイブを敢行する。
この瞬間2台にわずかな接触があり、プジョーとアウディはともにコースからランオフにはみ出したが、そのままフィニッシュラインに到達したプジョーとは対照的に、ハンソンのアウディはバリアに沈む結末に。この結果、2位ブラウンに続きザック・ソーター(チーム・ソーター・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が最後のポディウムに滑り込んだ。
明けた日曜のレース2も雨絡みの難しい展開となるなか、集中豪雨を経たSC明けリスタート後に優勝争いを繰り広げたジョーダン・コックス(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/プジョー308 TCR)とバルグワナは、ともに最後のブレーキングゾーンとなるファイナルラップの最終コーナーでアクアプレーニングが発生。
コックスはGRMプジョー308 TCRのコントロールを失いながらも、同じくシケインでロックしたバルグワナとの接触をかろうじて避け、2台はずぶ濡れのグラベルを通過しながらもコースに復帰。約1秒差で帰還したバルグワナがキャリア2勝目を挙げ、コックス、ブラウンのトップ3となった。
「最終ラップのコンディションは本当にクレイジーだった。最終コーナーでは5、6人がダートに飛び出たと思うが、距離が遠く離れていて助かったよ。素晴らしい結果だし、チームは信じられない仕事をした。なんという逆転劇なんだろう!」と、喜びを露わにしたバルグワナ。
迎えた最終ヒートも路面には雨が残るコンディションとなり、リバースグリッドのポールポジションからスタートしたブラウンは、スタートがうまくいかず4番手にまで後退する出だしとなる。
しかしここで地力の差を見せつけたブラウンは、ラップを重ねるごとにポジションを回復。8周目にはコックスを捉えて首位浮上に成功する。そのまま先代モデルのアウディで22周を逃げ切ったブラウンは、今季から復帰参戦したシリーズで見事な“カムバック”となる勝利を飾った。
「少し時間がかかったけど、素晴らしいレースだった。ひどいスタートを切ったが、自分のやり方でフィールドを通り抜け、ジョーダン(・コックス)が小さなミスを犯したので、それがチャンスを与えてくれた」と、プジョーのわずかなテールスライドも見逃さなかったブラウン。
一方、その背後でビッグジャンプを見せたのは、ブラウンと同じくRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ経験者のマイケル・カルーソ(アシュリー・スワード・モータースポーツ/アルフォロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)で、7番グリッドからの力走を披露して勝者から約1秒差の2位でフィニッシュ。3位にコックスの続くリザルトとなった。
これで11月11~13日の週末に開催される最終戦バサーストを前に、シリーズランキング首位のトニー・ダルベルト(ウォール・レーシング/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が、2番手コックスに対し56点差をキープ。そのふたりを3位浮上のブラウンが73点差で追う展開となっている。
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