6月4日、三重県の鈴鹿サーキットで2023スーパーGT第3戦の決勝レースが行なわれた。GT300クラスの優勝は7号車Studie BMW M4となった一方、GT500クラスは19号車WedsSport ADVAN GR Supraの優勝となっているものの、NDDP RACINGの控訴により正式結果が確定していない。
大荒れの開幕戦岡山、ゴールデンウィークの第2戦富士を終え、第3戦の舞台は鈴鹿。富士戦に続いて450kmレースとなり、周回数は77周だ。
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レースウィークは搬入日こそ豪雨に見舞われたものの、予選日・決勝日は晴れ。気温28℃、路面温度46℃と、今週末で最も暑いコンディションの下、13時30分からレースがスタートしていった。
【GT500】
前日に行なわれた予選は波乱の展開となった。Q2では24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zと19号車WedsSport ADVAN GR Supraのヨコハマタイヤ勢が、前戦ウィナーの36号車au TOM'S GR Supraを挟んでの1-3。しかしトップタイムの24号車は燃料タンクに規定の100Lよりも0.6Lほど多くの燃料が搭載できる状態となっていたことから、予選タイム抹消。最後尾スタートを強いられた。したがってフロントロウは36号車、19号車の順だ。
レース序盤の数周は順位変動もほとんどなく、静かな立ち上がりとなった。19号車WedsSportの国本雄資は、トップを走る36号車au TOM'Sの坪井翔を1~2秒の差で追いかけており、7周目には1号車MARELLI IMPUL Zのベルトラン・バゲットが100号車STANLEY NSX-GTの牧野任祐を抜いて3番手に浮上した。
8周目にはGT300クラス車両のストップによりフルコースイエロー(FCY)からセーフティカー(SC)に。レースは13周目から仕切り直しとなった。
レースが約4分の1を消化した18周目から、GT500のピットは慌ただしくなっていく。18周終了時の23号車MOTUL AUTECH Zを皮切りに、3番手を走る1号車IMPULなど、25周までに約半数が1回目のピットに。いずれも最大運転時間の兼ね合いからドライバー交代はせず、スタートドライバーが“ダブルスティント”を担当する作戦だ。
ドライバー交代を伴うピットストップを最初に行なったのは、36号車au TOM'Sを追いかけていた2番手の19号車WedsSport。26周を走り、阪口晴南にバトンタッチした。
そんな中、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraの関口雄飛と64号車Modulo NSX-GTの太田格之進がヘアピンで接触。予選5番グリッドを確保していた39号車だったが、空力パーツが脱落するなど接触の影響は大きく、ペースを落として順位を下げてしまった。
トップを走る36号車au TOM'Sは、29周を終えてピットに。宮田莉朋に交代してコースに戻ったが、19号車WedsSportに先行され、戦略が異なるとはいえ1号車MARELLI、23号車NISMOにも先行された。
34周目、24号車リアライズがようやくピットインすると、これで全車が1回のピットストップを完了したことに。トップ5のオーダーは19号車WedsSport、1号車IMPUL、23号車NISMO、36号車au TOM'S、16号車ARTAだ。
2回目のピットに真っ先に動いたのは、2番手を走っていた1号車IMPUL。トップの19号車の1秒差まで肉薄していたが、42周目にライバルに先んじてピットに入り、ドライバー交代も含めてフルサービスでコースに戻った。しかし4周後に入った19号車WedsSportは既にドライバー交代を済ませていたためロスタイムが短く、悠々と1号車の前でコースに戻ることができた。
ステイアウトは3号車Niterraのみで、そこに19号車WedsSport、36号車au TOM'S、1号車IMPULが続くという中で迎えた59周目、シケイン手前で大クラッシュが発生した。GT300クラスの車両と絡んだ23号車NISMOの松田次生が、イン側のバリアに激突。マシンはモノコックを残して大破し、セーフティカーが出された後に赤旗が掲示された。幸い松田には意識があり、ドクターヘリで病院に反応された後、大きな外傷はないことがチームから報告された。
レースはその後再開されることなく、赤旗をもって終了。当初の暫定リザルトは優勝が3号車Niterra、2位19号車WedsSport、3位36号車au TOM'Sとなったが、今回のレースで義務付けられている2回の給油を完了できていない3号車の結果に対し、多くのチームから抗議が寄せられた結果、暫定リザルトが改訂。3号車は60秒加算で4位となり、19号車の優勝となった。
ただ3号車陣営はこの裁定に控訴の意思を表明しており、正式結果は控訴結果が確定するまで保留とされている。
【GT300】
GT300クラスのポールポジションは、今季初となる61号車SUBARU BRZ R&D SPORT。ポール常連の61号車は開幕2戦で共にQ1敗退の憂き目に遭っていたが、ようやく持ち前の速さを発揮した格好だ。フロントロウの2番グリッドには11号車GAINER TANAX GT-Rが並んだ。なお、25番グリッドの30号車apr GR86 GTはピットレーンからのスタートを選択した。
ポールの61号車スバルを駆る山内英輝はスタートから快調に飛ばし、後続に対して5周で7秒ものギャップを築いた。そんな中、今回の450kmレースも2回の給油義務を変則的に消化しようとするチームが現れ、7号車Studie、52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GT、2号車muta Racing GR86 GTらが1~2周でピットに駆け込み、給油だけの“スプラッシュ&ゴー”でコースに戻る戦略を採った。
8周目、開幕戦ウィナーである18号車UPGARAGE NSX GT3がアウトラップ中、ナットのようなものが外れた後に右リヤタイヤが脱落するアクシデントに見舞われた。ヘアピンでストップした18号車の回収のためフルコースイエロー(FCY)が出され、ほどなくセーフティカー(SC)に変わった。これで61号車スバルの大量マージンはゼロになってしまった。
また、セーフティカーランで隊列の整理が行われた後、ピットレーンがオープンとなり、56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rやポイントリーダーの65号車LEON PYRAMID AMG、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGなど複数台がピットに入り、給油やタイヤ交換などを行なった。このタイミングでの給油は2回の給油義務の消化はできないが、SC隊列の速度が遅いことを利用して、アンダーグリーン時のスプラッシュ&ゴーのロスタイムを少しでも削ろうという作戦に思われる。実際65号車や4号車はレース再開直後にも再度ピットインし、給油を行なっている。
SC明けも再び独走態勢を築いていた61号車スバルは、22周目にピットイン。リヤタイヤ2輪交換と給油を終えて山内がコースに戻ったが、様々な戦略のマシンが入り乱れていることもあり、スプラッシュ&ゴー勢の後ろに回る形となった。
これでトップ3は2号車muta、52号車埼玉トヨペット、7号車Studieの序盤スプラッシュ&ゴー組となっていたが、38周目には52号車、7号車が、41周目には2号車が2度目のピットへ。45周目に2度目のピットに入った61号車スバルは、やはりこの3台の後ろでのコース復帰となった。11号車GAINERの53周目のピットインにより、上位のオーダーは7号車、2号車、52号車、56号車リアライズ、11号車、そして61号車となった。
名実共にGT300の優勝争いとなった7号車Studie、2号車muta、52号車埼玉トヨペットの隊列は、1.5秒以内に連なる大接戦。しかしその後方から、56号車リアライズらが1周2秒前後速いペースで走行しており、今後に向けて予断を許さない状況であった。
そんな中、59周目に大クラッシュが発生した。87号車Bamboo Airways ランボルギーニ GT3のマシンがGT500クラスの23号車MOTUL AUTECH Zと共に大破したが、87号車の松浦孝亮は自力でマシンを降りて無事。病院に搬送された23号車の松田次生も目立った外傷はないと診断されたようだ。
結果的に優勝は7号車Studie。昨年に引き続き2年連続で鈴鹿戦を制した。2位は2号車muta、3位は52号車埼玉トヨペットと、スプラッシュ作戦を採ったチームが表彰台を独占する形となった。
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