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2018年型トヨタ・ランドクルーザー2.8ℓ直4ディーゼル 英国内試乗

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2018年型トヨタ・ランドクルーザー2.8ℓ直4ディーゼル 英国内試乗

もくじ

どんなクルマ?
ー 「何が起こっても走り続けられる」
ー すべての変更は「タフである」ため

トヨタ・ランドクルーザー2.8ℓ直4ディーゼル 2018年型を英国試乗

どんな感じ?
ー 内装 価格考慮で何とか合格点
ー 突出した走破性 「遅い」覆す

「買い」か?
ー お値打ち価格のグレードもあり

スペック
ー トヨタ・ランドクルーザー2.8 D4-Dインヴィンシブルのスペック

どんなクルマ?

「何が起こっても走り続けられる」

改良されたトヨタ・ランドクルーザーの2018年モデルがイギリスの道を走りはじめた。英国外での試乗記事は先日お伝えしたが、わが国でも乗ってみたかった。そしてまさに数年に一度の厳しい寒波がおとずれるそのとき、チャンスはやってきた。

つまり、この日本生まれの「東洋の猛獣」(ちなみに他の国では「ランドクルーザー・プラド」とよばれる。イギリスではかつて「ランドクルーザー・コロラド」と名乗っていた)と大寒波の一騎打ちだ。そして決着はあっけなくついた。

どちらが勝者かはおわかりだろう。荒野などものともしない頑丈さと信頼性、ランドローバーやジープをも上回る4駆性能がランドクルーザーの評判なのだから。

中東の砂漠や南アメリカのプレーリー、オーストラリアの奥地に踏みこむひとたちに支持されるのは、飾り気ない見た目がいいとかおトクな残価設定ローンで買えるとかではなくて、何が起こっても走り続けられるからだ。

すべての変更は「タフである」ため

さて、2009年にデビューした現行モデルは、このたび内外装の手直しを受けた。これをただのお化粧直しというのはトヨタに失礼だ。

ヘッドライトとグリルが持ち上げられたのは、障害物に当たりにくくするため。フェンダーが角張ったのも見切りをよくするためだし、ボンネットの形が変わったのもタイヤで踏んでしまいそうな突起を見つけやすくするためだ。

アプローチアングルを限界まで稼ぐため、フロントバンパーにも手が加わった。トヨタのデザイナーが思いつきでデザインをいじくるのではなく、はるかに価値あるこんな仕事をしようとは思いもよらなかった。

前にもお伝えしたとおり、フレーム構造を引きつぐボディには補強が加えられた。エンジンは新しいターボのほかにも小さな変更点はあるものの基本的に同じ2.8ℓ4気筒ディーゼルで、176psのパワーも特に見るところはない。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアは4リンクの車軸式だ。標準モデルのスプリングは固定長だが、最高グレードのインヴィンシブルにはアダプティブ・ダンパーが付き、しかも対角線上のダンパーが油圧経路で結ばれて自動的にロールを制御する。さらにリアのスプリングも、自動車高調整つきのエア式となる。

4WD関係のメカニズムは、思いつくものはすべて備わる。例えば、

・低速レンジ付きのトランスファー
・トルセン式セルフロッキングのセンターデフ
・新しいロック付きリアデフ(トップグレードに標準)
・マルチ・テレーン・セレクト(地形に応じて設定を切り替えられるオフロード用スタビリティコントロール機能)

といったぐあいだ

今回のテスト車のタイヤはダンロップ・グランドトレックSUVが付いていた。最低地上高は215mm、最大渡河水深は700mm、アプローチアングルは31°だ。これなら、エアサスペンションが全輪に付いていなくても、行く手をはばむまれることはないだろう。

どんな感じ?

内装 価格考慮で何とか合格点

まずは内装を見てみよう。洗練を豪華さを求めて手が加えられたとはいえ、5万ポンド(730万円)クラスのライバルと比べると何とか合格点というところ。

それも、よい意味で目に見えるところに限っての話だ。何よりも信頼性を重んじるひとたちが相手なのだからあれこれ直す必要はないとトヨタは考えていて、それにのっとった改良になっている。

確かにダッシュボードの形やセンターコンソールのパネルは新しくなったし、そこに並ぶオフロードモード切替ノブやスイッチの類も光沢を放つ素材になった。とはいえ、たとえばアウディQ7みたいになったわけではない。むしろ、泥濘地でもランドローバー・ディフェンダーなみに走れるクルマに、乗るひとをやさしく包み込む快適性と質感と居住性が備わったと考えるべきだろう。

暖房と換気の機能がついた柔らかいレザーシートは気持ちいいし、そこからの視界もいい。内装品の建てつけは見ても触ってもしっかりしていて、それなりに高そうにもみえる。もっとも、何よりも信頼性重視でつくられたのは明らかだ。

後ろへ移ろう。

2列目シートは前後にスライドできる。以前の3列目は格納が左右はね上げ式で荷室のスペースを損なっていたが、こんどは床下にきちんとしまえるようになった。7人乗りとしては他の大型SUVほどの空間の余裕はないが、このクルマはそこまでやたらと大きくもないのだから問題ではないだろう。

走りの印象はどうだろう?

突出した走破性 「遅い」覆す

そして路上へ走り出すと、トラックやバンを思わせた前のモデルよりも確かに滑らかで洗練されたSUVになった感じがする。乗り心地改善のために行われた変更点は次のとおりだ。

・前後ダンパーの容量アップ
・サスペンションアーム補強
・ブッシュ構造の見直し
・ホイールストローク延長(特にリア)

効果はてきめんで、低速でも高速でも動きはしなやかだ。凹凸の多い路面では揺れがすぐには収まらないが、優しくゆったりとした動きだから特に気にするほどでもない。

ハンドリングとボディの挙動については、21インチホイールを履いて低く構えた21世紀の高級スポーツSUVとは違って、昔ながらのSUVを思いださせるものだ。

実際は、遅いギア比の油圧パワーステアリングとよくできたスタビリティコントロールのおかげで、安定性は十分に確保されている。それでも、路上のマナーに的を絞ったライバルと同じノリでコーナーに入ってしまうとロールは倍くらいに感じるだろうし、半分くらいしか踏んばってくれないと思うかもしれない。

もちろん、そう感じてしまうのはこのクルマ本来の姿、つまり泥だらけの未開地に踏みこむ真の多用途車ということを意識していないからだ。高重心を善しとして設計されるクルマが他にどれだけあるだろうか? 重心を上げることでオフロードでの底擦りや障害物との接触で主要な機械部分が損傷しないようになっているのなら、そのほうがいいではないか。

確かにオンロード性能は大したことはない。しかし、同じ「ディーゼル」でも質のいいアルパカ生地のスウェットの方が似合いそうな高性能のSUVたちが、空気よりも砂塵ばかり吸い込まされるアタカマ砂漠のようなところで10日間も無事に生きのびられるとは考えられない。

道路上では遅いクルマだが、これも短所だとはいいきれない。このクルマをレンジローバーに対するトヨタの答えだといってしまうと、ランドクルーザーのイメージが混乱するかもしれないが、(かつてイギリスでは、より大型のランドクルーザーを「アマゾン」の名前で売っていた)、レンジローバーのディーゼルだって20年前はこの程度のパワーしかなかったことを思い出してほしい。高級4WDの世界は変わってしまったのだ。

いざハンドルを握ってこのクルマの荒っぽいたくましさを感じとれば、そんなことはことさら心配しなくていい。トヨタの改良のおかげでエンジンはかなり静かになったし、ボディのシール性もよくなって風きり音も下がった。まだ4気筒ディーゼル特有のうなりは聞こえるが、いまや他の同じ4気筒ディーゼルのSUVに劣るところはないといえる。

「買い」か?

お値打ち価格のグレードもあり

ふさわしい使い道があるかどうかだ。いかに快適でくつろげるとはいっても、このクルマはとどのつまり機能が第一だ。学校のお迎えで縁石に乗り上げるのがいちばん身近なオフロード走行というなら、もっと燃費もよくて駐車場の取り回しもしやすい今風のSUVがいくらでもある。

そうはいっても、このクルマは所有してランドクルーザーならではの使い方を始めてみたくなるくらい魅力的だ。そして本当に買いたくなったら、新しく設定された廉価版の「ユーティリティ」グレードも検討してみてほしい。思ったよりもお値打ちなのは保証する。

7人も乗らない場合? ならば3ドアのMT、スチールホイールつきが3万3000ポンド(480万円)もしないとわかったらどうだろう? BMW X1の中級グレードなみの価格だ。そして何はさておき、SUVばかりがもてはやされると叩くやつらに向かって中指を立てるにはいちばんいい方法じゃないか?

トヨタ・ランドクルーザー2.8 D4-Dインヴィンシブルのスペック

■価格 5万2295ポンド(782万円)
■全長×全幅×全高 4840×1885×1845mm
■最高速度 174km/h
■0-100km/h加速 12.7秒
■燃費 15.9km/ℓ
■CO2排出量 194g/km
■乾燥重量 2430kg
■パワートレイン 直列4気筒2755ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 177ps/3400rpm
■最大トルク 45.8kg-m/1600-2400rpm
■ギアボックス 6速オートマティック

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