ニューマシンW12発表会の際に、フロアを公開しなかったメルセデス。そのフロアの実際の姿が、バーレーンで始まったF1プレシーズンテストで、ようやく明らかになった。
メルセデスは3月2日に新車W12をオンラインで発表。しかしその際、本番仕様のフロアが装着されていないことを明言。「ライバルに真似されたくないのだ」と、テクニカルディレクターのジェームス・アリソンも語っていた。
■メルセデスF1の新車W12、最新版フロアは公開されず「ライバルにコピーされては困る」
今季のF1はダウンフォースを削減するため、空力のレギュレーションに変更が加えられた。これにより、フロアの後方が斜めに切り取られて面積が削減され、さらにその端にはスリットの存在が許されないなど、制限が大きくなった。これらによって、ダウンフォース量が約10%削減されると見積もられている。
ただ各チームはその状況に手をこまねいているわけではなく、削減されるはずのダウンフォースをいかに取り戻すかが、今シーズンに向けてとても重要であるということを認識している。そのため、この部分の改良に多大な努力を注ぎ、ライバルに真似されないよう、新車発表時にはその姿を”隠す”ことが多かった。
しかし実際に各チームが集まり、走行が始まった後も隠しておくことはできず、メルセデスW12のフロアもようやく明らかになった。
このメルセデスW12のフロアは、非常に興味深い形状をしている。前方、サイドポンツーン横の部分は、波打つような形状になり、その上にはディフレクターの根本から伸ばされた細い板が取り付けられている。
さらにフロアの端が後方に向け斜めに切り取られ始める部分には、細かくカットされた部分も存在。ただウイングレットなどは存在せず、この部分はシンプルな形状になっている。少なくとも現時点では。
またリヤタイヤ直前の部分は、マシンのパフォーマンスを引き上げる上で非常に重要な場所だ。そしてメルセデスは、この部分に大胆なデザインを選んだ。
W12のこのエリアには、今季のマシンの中でも最も大きいと言えそうな空力パーツが取り付けられていて、その内部が複数のエリアに分割されている。さらには気流を制御するために、独特の形状になっている。さらにフロアの最も後部は少し跳ね上げられ、外向きのガーニーフラップのようなパーツがついている。その内側には、3枚のストレーキが取り付けられている。
これらは全て、タイヤのサイドウォールとディフューザーの間を流れる気流を強制的に制御するような、複雑な形状を備えている。
またディフューザーの上に目を向けると、外側が低く、車体中心側が高くなっている。つまりメルセデスは、ディフューザー全体をレギュレーションで許された最大の高さまで跳ね上げることを諦めたようにも見え、実に興味深い。
コークボトル部分を細く絞ること、そしてこのディフューザー処理によって、空気が流れるスペースを多く確保しているようだ。
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