新たにFIAステータス認証を取得した創設2年目のFIA TCRワールドツアーに向け、初参戦のチャレンジを表明済みの新興ゴート・レーシングチームが、世界戦のプログラムと並行してTCRヨーロッパ・シリーズへの参戦をアナウンスした。チーム創設者ファミリーの出身であるフェリペ・フェルナンデス・ギルとともに、セルビア出身のドゥサン・ボルコヴィッチを起用した2台体制でエントリーする。
同じく、北欧のツーリングカー・シリーズとして複数年にわたってTCR規定を採用したSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権にて、オレンジのリンク&コー03 TCRを走らせてきたMA:GPは、引き続きヴィクトル・アンダーソンを擁して2年目の欧州最高峰シリーズへの挑戦を発表している。
車両製作状況と同時に最後の『フォルクスワーゲンID.3』を披露「これで全4車種が出揃った」/STCC
■シートを失っていたボルコヴィッチがシビックのドライブ機会をゲット
昨季2023年までヒョンデ陣営としてTCRヨーロッパを戦ってきたターゲット・コンペティションが、BoP(性能調整=バランス・オブ・パフォーマンス)の議論を巡って撤退した余波を受け、2023年シーズン途中でシートを喪失していたボルコヴィッチだが、今季のグリッド復帰に際しては最新のFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握ることとなった。
「今季、こうしてゴート・レーシングのチームとヤス・モータースポーツからTCRヨーロッパでのドライブへ向けた招待を受け、とてもうれしく思っている」と意気込みを語ったボルコヴィッチ。
「TCRファミリーに戻れるのはいつだって喜ばしいことで、新シーズンがもたらすはずのすべての課題に直面する準備ができている。チームのサポートを得て、このような大きな世界のプラットフォームで母国を代表すべく最善を尽くすつもりだ」
これでアルゼンチン出身のエステバン・グエリエリ、イタリア出身のティーンエイジャー、マルコ・ブティが参戦するFIA TCRワールドツアーを含め4台体制となったゴート・レーシングだが、チームマネージャーを務める元WTCC世界ツーリングカー選手権ドライバーのペペ・オリオラは「これから始まるシーズンにとても興奮している」と続けた。
「僕らのゴート・レーシングは、今後の課題に備えるためにたゆまぬ努力を続けており、彼らがもたらす献身と専門知識はこれ以上ないほどだ。その仕事に心からの敬意を表したい」とオリオラ。
「そしてドゥサン・ボルコヴィッチがステアリングを握ることで、チームとしてはスキルと決意の有望な組み合わせを手に入れることができた。僕らは力を合わせてTCRヨーロッパのシリーズに大きな影響を与えることができるはずだ。彼の才能と我々の団結した努力により、素晴らしい結果を達成できると確信しているよ」
■リンク&コーの新車を導入
一方、昨年シングルシーターからツーリングカーに転向し、TCRヨーロッパのデビューイヤーで総合5位に喰い込んだアンダーソンは、最終戦バルセロナで記録した表彰台の獲得数を増やすべく、2年目のシーズンに臨む。
「昨年は僕にとって国際ツーリングカーレースへのデビューであり、それが個人的にもさらなる味わいを与えてくれた。今年は間違いなく高みを目指している」と続けた弱冠20歳のアンダーソン。
「スウェーデンに帰って新車のシェイクダウンテストを完了したが、フィーリングは素晴らしかったよ」
父マティアスが率いるチームは、中国のジーリー・グループ(吉利汽車)のモータースポーツ部門から購入した初代リンク&コー03 TCRを、このオフ期間にもTCR UKに参戦するプロ・アロイズ・レーシングに売却しており、今季のTCRヨーロッパには新たな個体を投入。その一環として、アンダーソンは開幕戦ブランズハッチ以降の3戦でかつての愛機をドライブし、TCR UKシリーズへのデビューも果たす予定だ。
「2023年は僕だけでなくチームにとっても学びの年だった。シーズンの終わりに向けかなり大きな前進を遂げたから、2024年に向けて学んだことを実践し、本格的に始動するのが待ち切れないよ。僕の野望はヨーロッパで総合トップ3に入ることだね」
そのTCRヨーロッパは4月20~21日にイタリアのバレルンガで幕を開けるが、同ラウンドはFIA TCRワールドツアーの開幕戦にも指定されている。このためTCRヨーロッパ勢のみならず、地元TCRイタリアからもゲスト参戦が見込まれており、18歳のヤコポ・シメネスはMMモータースポーツが用意したFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブして1戦限りの世界戦デビューを計画。その後は同車でTCRイタリアのフルシーズンを追うことをアナウンスしている。
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