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速すぎて負けそう……トップの大湯都史樹がセーフティカーのドラテクに感服|無線で振り返るスーパーフォーミュラ:SUGO編

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速すぎて負けそう……トップの大湯都史樹がセーフティカーのドラテクに感服|無線で振り返るスーパーフォーミュラ:SUGO編

 6月18日、宮城県のスポーツランドSUGOでスーパーフォーミュラ第5戦“東北大会”が開催された。今季はレース中継やアプリ『SFgo』を通してドライバーとチームの無線交信が聞けるようになっているが、今回は宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)の圧勝に終わったレースを振り返りつつ、印象的だった無線を紹介する。

■レースはスタートから波乱

■宮田莉朋、大湯都史樹のライトを使った頭脳戦にチームで対抗。復帰戦の野尻智紀、スタート失敗も「まだ戦える」|SF第5戦SUGO決勝会見

 51周の決勝レースは1周目からセーフティカーが出る波乱の展開となった。スタートで松下信治(B-Max Racing Team)がストールし、S字では関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とジュリアーノ・アレジ(VANTELIN TEAM TOM’S)が接触した。各チームからも盛んに無線が飛び交う。

1周目 アレジ
アレジ「誰かとぶつかったので左のバンパーが壊れた」
チーム「チェックするよ」
アレジ「シケインの入り口で山本に押し出される形になって、コントロールを失って関口とぶつかったんだ」

1周目 関口
関口「あああ!……当たった! 目の前でジュリアーノが横向いて避けられなかった」

4周目 アレジ
アレジ「ダメかな?」
チーム「うん、ダメだね」
アレジ「OK。みんな申し訳ない。スタートはとても良かった。ホントニ、ゴメン」

 接触当初は状況が掴めず、TEAM IMPULの中でも混乱があったようだ。

1周目 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
チーム「(接触は)関口の方ね。あ、関口じゃねえや。20(20号車の平川)だ、20……どっち?」
平川「何がですかー?」

 セーフティカーラン中から、戦略に関してチームとやり取りするドライバーも。

3周目 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
牧野「これSC(セーフティカー)入ってるから、ミニマム(最少周回でのピットイン)はやりやすくなってますよね?」
チーム「そうですね。10周目での隊列のバラつきは少なくなるはずです」
牧野「了解」

■セーフティカーのドライバーすごいよ!

 そんな中、コース上がクリアになったことでセーフティカーがピットに戻ることとなり、セーフティカードライバーはペースを上げる。セーフティカーのすぐ後ろを走るトップの大湯都史樹(TGM Grand Prix)は、その速さに驚いていた。

3周目 大嶋和也(docomo business ROOKIE)
大嶋「コース上がクリアになったからセーフティカーはペース上げるよ」

3周目 大湯
大湯「速いね。運転してるドライバーすごいよ。めちゃ速い」
大湯「良い飛び込み。1コーナーのブレーキめっちゃ良い」
チーム「セーフティカーに負けないようについていって」
大湯「いや、速すぎて負けそうなんだけど……」

■大湯嘘ついてる!

 セーフティカーランが終了すると、トップの大湯は2番手を走る宮田を抑え込む。しかし宮田は、大湯がレインライトを点灯させてオーバーテイクシステム(OTS)作動を偽装していると踏んで、次のように無線を飛ばした。

5周目 宮田
宮田「大湯がOTS使ってるか教えてね。こいつレインライト使って嘘ばっかりついてるから!」

■トラブル発生

 今回は自身初となるシングルグリッドを確保したルーキーの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、パワーロスを症状に見舞われペースが上がらない。デビューからついに光明を見出した感のあった太田だが、そんな中でのまさかのトラブルに苛立ちを隠せない様子だった。

12周目 太田
太田「やっぱりおかしい。ターボが全然開かん」
太田「全然改善しないです。あかん、マジでパワーない。おい!!」
チーム「エンジンマップ戻して」
太田「最終(コーナー)が全く登らん。おかしい」
太田「なんでこうなんねん!」
太田「何か他の対策ないんですか?」
チーム「ごめん、今のところないのでこのまま行ってください」

 そしてトップを走る大湯にもトラブルが。10周を過ぎたあたりから急激にポジションを落とし、緊急ピットインでタイヤを交換。当初はタイヤのダメージが原因かと思われたが、ピットに戻って調べたところフロアに穴が空いてしまっていたようだ。

14周目 大湯
「なんか……乱気流なのかなんかおかしい。(宮田に)抜かれてから、リヤが保たない」
「了解。タイヤ替えてフィーリング確認しよう」

21周目 大湯
「なんかずっとフラフラしてる。走れないわけじゃないんだけど、リヤのダウンフォースが出てる感じがしないし、とにかくリヤグリップが薄い」

■レースはいよいよ佳境に

 大湯が戦線離脱した後のレースでは、早めのピットストップを行なった宮田と野尻智紀(TEAM MUGEN)がレースを優位に進めていった。一方で見た目上のトップに立つ坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)はペースが上がらず、苦しい戦いを強いられていた。

32周目 坪井
坪井「アンダーカットされないようにして」
チーム「了解。でも(ライバルは)相当お前に引っかかってるから、いつでもされるからな。もう少し速く走れない?」
坪井「結構きついな……」

33周目 坪井
坪井「(ピット)入った方がいいと思うけど」
チーム「あと20周ラップあるけど、もう入った方がいいってこと?」
坪井「後ろの状況分からないから、任せる」
チーム「ちょっとこのペースのままだとキツい」
坪井「このペースでしか走れない!」
チーム「了解。3つ後ろの平川を見とくよ」

 宮田、野尻に次いで事実上の3番手を走行していた牧野にも、トラブルが発生。ペースを上げられなくなっていた。

36周目 牧野
牧野「なんか壊れてる、絶対なんか壊れた!」
チーム「どこ? 足? エンジン? ミッション?」
牧野「多分足が壊れてる」
チーム「まっすぐ走らない? まともに走れない? デブリとかじゃなくて、おかしい?」
牧野「おかしいけど、今はなんとか走れてるからとりあえず行けるだけ行く。でもおかしいのは間違いない」
チーム「OK、現在P3で、セクター1、セクター2のタイムは問題ないよ」
チーム「とりあえず、ハンドルとかはおかしいけど走れてるから行きます」

 そして2番手の野尻も、レース終盤にピットインして7番手から猛然と追い上げるチームメイト、リアム・ローソンの動向を気にしている様子。チャンピオン争いにおいてもローソンの前でフィニッシュすることは非常に重要ということもあってか、いつも以上に声を荒げる野尻が印象的であった。

43周目 野尻
野尻「リアムとの間には何台いるの?」
チーム「4台、4台」

46周目 野尻
野尻「インフォメーション!(音声不明瞭)」
チーム「了解。(ローソンは)ポジション7変わらずで、1分08秒3で走ってるけど、まだ大丈夫。(ローソンとのギャップは)16秒ある」
野尻「分かんないから。ピットはこのポジション確実だと思ってても、僕としては全然どうなるかわかんないよ」

■“世界のリトモ”が今季2勝目!

 宮田は結果的に野尻以下を20秒以上突き離す独走で今季2勝目。あまりの完勝ぶりに、小枝正樹エンジニアもベタ褒めだった。

 またレース中には無線が遠いことを指摘されて「今言わないでよ! 必要なことだけ言って!」と返していた宮田だったが、レース後はそこのケアも欠かさなかった。

チーム「莉朋完璧、完璧! 速かった」
宮田「ありがとうございました。無線はマイクが遠くなっちゃったのが原因だと思う。ごめん。スタートも改善されたと思う。本当にありがとう」
チーム「こっちもビックリするくらい速かったよ。すごいね。さすが世界の莉朋! 次も頑張ろうね」
宮田「はい、次もお願いします。スタートも良くなったと思うので、これからも自信持って頑張ります」

 2位に入った野尻も、先月肺気胸を患ったことでトレーニングが一切できておらず、体力的にもキツかった様子。また宮田のペースには危機感を持っているようだった。

チェッカー 野尻
野尻「お疲れ様でした。あー疲れた。スタートは失敗しちゃったな。そこは後で振り返りましょう。表彰台戻れて良かったです。テストも頑張りましょう」
チーム「ありがとうございました。苦しいレースで申し訳なかったけど。莉朋とはペースが全然違っていて、最後20秒離されちゃったから、これは次までの宿題にします」
野尻「前回(オートポリス戦)も外で見てて思ったけど、莉朋君だけ全然違うから、捕まえないとね。よろしくお願いします。あーめっちゃ疲れたー」

 4位に入ったのは、ここ数年苦しいレースが続いていた大嶋。ルーキーレーシングにとっても発足以来最上位であり、石浦宏明監督も喜びを爆発させていた。

チェッカー 大嶋
チーム「やったー! 大嶋4位、よくやった、すごい!」
大嶋「あー良かったー。最後辛かった~」
チーム「ずっと映ってたぞ、抑えられるとは思わなかった、すごい」
大嶋「ありがとう。ちょっと可夢偉には申し訳なかったけど、今までで一番嬉しい4位」

 一方で悔しいレースに終わったのがローソン。大嶋のすぐ後ろまで追い上げ5位でフィニッシュしたが、戦略次第ではそれ以上の順位が狙えるポテンシャルがあっただけに、ローソンも困惑気味だった。ローソンと小池エンジニアとの間で、無線のコミュニケーションの解釈にわずかなズレがあったことが、戦略が機能しなかった一因だったようだ。

チェッカー ローソン
チーム「P5。よくやってくれた。僕の判断ミスは申し訳なかったけど、君のドライビングは素晴らしかった」
ローソン「ありがとう。でもなんと言えばいいか……あそこからどうして……。何が起こったのか理解できない」
ローソン「僕はリトモをフォローしたかった。最初、僕はリトモに集中しようと言った」

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