ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催されているクラウドストライク・スパ24時間レース。7月1日(土)にスタートした決勝レースは、明けた2日(日)の未明4時30分にレースの折り返しを迎えた。スタートから12時間が経過した時点ではアウディスポーツ・トレゾア・オレンジ1の40号車アウディR8 LMSエボII(リカルド・フェラー/マッティア・ドルディ・デニス・マーシャル組)が総合首位に立っている。
スパ24時間は、WEC世界耐久選手権のル・マン24時間と、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のデイトナ24時間と並ぶ“世界三大耐久レース”のひとつであり、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCヨーロッパ)とIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの“シーズンハイライト”イベントでもある。GTWCヨーロッパ第4戦/IGTC第3戦としての開催となった2023年のスパ24時間は、タイトルスポンサーが従来のトタルエナジーズからクラウドストライクへと変わって初めての大会となっている。
10年ぶりのポール/改良型ランボの強み/アウディ大集合の理由etc.【スパ24時間 予選後Topics】
そんな今季のレースは雨の影響によってシャッフルされた予選の影響で、多くのプロクラスマシンが上位グリッドを逃すなか決勝日を迎えた。決勝スタート時の天候はわずかに晴れ間が差す曇り空。路面コンディションはダンプで、場所によっては非常に濡れている箇所も確認できる。そのためセーフティカー(SC)スタートとなったが、SC先導中にラディオンでクラッシュがあり、この回収のため実質的なスタートは時計のカウントダウン開始から22分後となった。
最初の1時間目はポールシッターの20号車ポルシェ911 GT3 R(フーバー・モータースポーツ)に乗り込んだマッテオ・カイローリが快走を見せ、アレッシオ・ロベラ駆る2番手51号車フェラーリ296 GT3(AFコルセ)を4秒弱リードした。その後各車が1回目のピットインを終えた時点では、スタート前のSCラン中に1回目の作業を行っていた63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(GRTグラッサー・レーシングチーム)がトップに立ったが、スタートから2時間を前にランボルギーニの“エースカー”はガレージに入れられてしまう。また、予選2番手の51号車フェラーリは首位走行中に左リヤタイヤのパンクに見舞われ順位を落とすこととなった。
6番手グリッドから順位を上げてきた40号車アウディはこれに代わって2時間目にレースリーダーとなる。しかしこのレース最初のフルコースイエロー(FCY)とそれに続くSCラン後はペースが上がらず、ニッキー・ティームがステアリングを握る17号車アウディR8 LMSエボII(シェラー・スポーツPHX)と、ケビン・エストーレ駆る92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイEMA)に立て続けにかわされる。
92号車は他者との接触によるピットストップ+10秒のペナルティの受けたが、5時間目の終盤に首位17号車アウディを捉えてトップに立った。一方、首位から6番手まで順位を下げたトレゾア・オレンジ1の40号車にはトラックリミット違反の罰として30秒加算ペナルティが科せられている。
■12時間を前にBMWが同士討ち
日没後は地元のチームWRT32号車BMW M4 GT3が、3番手から総合首位に浮上した。ピットインサイクルの違いにより毎時トップが入れ替わるなか、スタートから9時間目と10時間目にそれぞれSCが導入された。60号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(VSR)や4号車メルセデスAMG GT3(クラウドストライク・レーシング・バイ・ライリー)など計4台がレ・コンブで絡んだ多重アクシデントはそのひとつだ。また、ブランシモンの出口でドリアーヌ・パン駆る83号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(アイアン・デイムス)が起こしたアクシデントもSC出動の原因となっている。
スパの夜闇はさらなるアクシデントを呼び寄せた。88号車メルセデスAMG GT3(アコーディスASPチーム)がトップで迎えた11時間過ぎ、5番手を走行していたウィーツの32号車BMWがケメルストレート上でクラッシュ。FCYの開始に備え約250km/hからわずかに減速したところ、6番手998号車BMW(ローヴェ・レーシング)に後ろから突っ込まれ、為す術なくスピンを喫し右側のガードレールに激しく打ち付けられる。32号車は直後コースを横断して左側のガードレールに激突してようやく止まった。幸いドライバーは無事だった。
レースはこのアクシデントによってガードレールの修復が必要となっており現在もFCYが続いている。この間にチームWRTやマンタイ、AFコルセなどがテクニカルピットインを消化するなか、レースの折り返しポイントでは1時間前に7番手を走行していたフェラーの40号車がトップに浮上。2番手に名手ラファエル・マルチェッロ駆る88号車メルセデス、3番手にはマーロ・エンゲルがステアリングを握る999号車メルセデスAMG GT3(メルセデスAMGチーム・グループMレーシング)が続いている。
ゴールドカップは5号車マクラーレン720S GT3エボ(オプティマム・レーシング)、シルバーカップは85号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(GRTグラッサー・レーシングチーム)、ブロンズカップは188号車マクラーレン720S GT3エボ(ガレージ59)、プロ・アマカップは888号車アウディR8 LMSエボII(CSAレーシング)が各クラスのトップを走行中だ。
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