ハースF1チームは、1月10日にギュンター・シュタイナーに代わり、エンジニアリングディレクターを務めてきた小松礼雄を新たなチーム代表に任命することを発表した。
2016年にF1参入したハース。チームオーナーのジーン・ハースは、チームの創設期から中心人物として戦ってきた小松エンジニアについて「最も経験豊富で、チームを熟知している」と評価。チーム内部から新たな代表を決める上で最適な人物だと判断したと説明している。
■ハースF1チーム新代表、小松礼雄物語(前編):イギリスで人生を変える出会い。佐藤琢磨がF1の世界へと誘った
一方で、チーム代表就任が小松本人に知らされたのは2023年末であり、本人にとっても驚きの人事であったようだ。
「実際に発表されて以来、チームのみんなと話したんですが、そのサポートには本当に圧倒されます。みんな本当に前向きで、興奮し応援してくれています。ここにいるみんなで何が改善できるのか、本当に楽しみです」
小松新代表はmotorsport.comにそう語った。
「もちろん、驚きました。彼が何をしたいのか、知らなかったですから……でも彼はチーム内部の人材をチーム代表に昇格させたがっていました」
「驚いたと同時に、本当に嬉しく思っています。私はチームの初日からここにいるし、ほとんどのメンバーを知っています。そして、ここには才能があって質の高いスタッフがたくさんいることも知っています」
「だから、彼らがベストを発揮できるような環境と枠組みを提供したいと心から思いました。本当に興奮しています」
ジーン・ハースと以前からチームを改善するアイデアについて話し合っていたのかという質問には、「チームを向上させるアイデアという意味ではそうですが、チーム代表についてはそうではありません」と語った。
近年では、エンジニア出身者がチーム代表を務めるケースが多く見られる。2023年にチームでエグゼクティブエンジニアを務めていたアンドレア・ステラをチーム代表に登用したマクラーレンがその最も新しい例だろう。
マクラーレンはチームの内部状況をよく分かっているステラ代表が技術体制を刷新し、段階的なアップデートを経て躍進を果たした。
一方で2022年に更迭されたフェラーリの前チーム代表、マッティア・ビノットのように、パフォーマンス不振の全責任を背負う難しい立場であることも事実だ。
これまでの役割とチーム代表の違いについて、小松新代表は次のように語った。
「言うまでもなく、全く違います。もちろん、私が詳しい分野もあります。ですが商業的な側面、マーケティング的な側面はそうではありません」
「この機会を与えられた時、私はジーンにはっきりとこう言いました。『私の専門知識は、マーケティングやスポンサー獲得に集中させようとしても意味がない。私のスキルセットはそこにはないから』と」
「その分野には、その分野の専門家が必要です。そうすれば、私は技術面に専念して、チームの技術面を向上させることができるような組織を作ることができます」
それでも、小松新代表は新しい役割で全力を尽くし、チームを改善していきたいと語った。
「責任という意味でとても異なります。でも同時に、私はどんな仕事もやってきました。例えば、ビークルダイナミクス・エンジニア、パフォーマンス・エンジニア、レース・エンジニア、チーフ・レース・エンジニアをやってきたんです」
「常にその時やっている仕事でベストを尽くす。その一方で他の制約は何だろうと考えるんです。あることが改善されれば、もっといい仕事ができるのではないか? そういうことを常に考えるんです」
「私はこのチームに1日目からいるので、このチームは私にとって大きな意味を持っていますし、このチームのポテンシャルを知っています。だから、ある部分については『ああ、もっと違うやり方があるんじゃないか』などということが分かります。そういう意味では、アイデアがないわけではありません。チームを改善するために私たちが見てみることができる分野はたくさんあるんです」
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