レンジローバーでも特に安価な2代目
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
ランドローバー・レンジローバーを新車で買うなら、8万4000ポンド(1134万円)くらいはする。だが、英国王室も御用達の高級モデルに並ぶクルマを、わずかな価格で手にすることも今なら不可能ではない。
それが1994年から2002年にかけて製造された、P38型と呼ばれるレンジローバー。初代レンジローバーの中古車価格は上昇してしまったが、2代目ならそんなことはない。
英国では1400ポンド(19万円)程度から売られている。記事後半でもご紹介するが、中古車販売店が1997年式の4.6HSEへ実際に付けていた値段だ。整備記録もしっかり残っている。
2代目のボディデザインは、初代とは大きく異なるが、3代目以降に続くデザインを匂わせる雰囲気がある。現行モデルの4代目へも、そのスタイルの流れは受け継がれている。
エアサスペンションやエンジンなど、メカニズムを良好に保つうえで、定期的なメンテナンスは不可欠。それだけで、リスクを完全に防げるわけではないけれど。
専門家の意見を聞くほど、気軽に手を出すべきクルマではないように思えてくる。しかし、かといって諦めるのも惜しい。P38シリーズのレンジローバーは、その金額では通常手に入らない内容を備えているのだから。
中古のフォード・フィエスタ程度の価格で手に入る、P38シリーズの特徴は沢山ある。リムジンのような内装に、たくましく走るパワートレイン。優れた悪路性能。中型のステーションワゴン並みの荷室に、高めのドライビングポジションと優れた視界。
人と荷物を満載の状態でも、エアサスペンションは素晴らしい乗り心地を保ってくれる。仮に状態が良ければ。
エンジン内の腐食やエアサスには特に注意
ガソリンエンジンでは、シリンダーライナーの信頼性が怪しい。ラジエタークーラントがエンジン内部で漏れる症例が珍しくはない。だが、P38シリーズのメカニズム自体は、概ねタフと呼べるものだ。
もし不具合が起きたのなら、経験豊富なメカニックへ修理を依頼した方が良いだろう。何より、状態の優れたクルマを選ぶということにはコダワリたい。
エンジンは、V8ガソリンが2種類あった。排気量4.6Lと4.0Lで、4.0Lの方が不具合は起こしにくい。欧州ではディーゼルエンジンとして、BMW製の2.5Lターボが選べた。少々洗練性には欠く。
4.0Lのガソリンと2.5Lのディーゼルでは、MTとATの選択が可能だったが、どちらも信頼性は高い。4.6LのガソリンはATのみの設定となる。現在、英国で流通しているP38の場合、ほとんどがAT車となる。
トリムグレードはHSEが主流。レザー内装と電動サンルーフが付いている。ナビを搭載したクルマもあったが、データは古いままだろう。
ヴォーグ50など、特別仕様車も中には含まれる。英国で最も高かったP38シリーズは、1998年式で7万1000ポンド(958万円)だった。
エンジンやトリムグレードの違いはあっても、優先すべきはコンディション。1500ポンド(20万円)から4500ポンド(60万円)の間で、整備記録の残った最も状態の良いクルマを選ぶことをオススメする。
車両代だけでなく、メンテナンスに投じる費用も予め見ておきたいところ。そうすれは不安も少なく済むはずだ。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
ガソリンエンジンの場合、ラジエタークーラントの量を確かめる。スチール製のシリンダライナーがアルミ製ブロックを腐食させ、クーラントが燃焼室に漏れる場合がある。14万5000kmほどの距離を走ると起きる症例で、修理は高く付く。
アイドリング時のオーバーヒートや、エンジンオイル内に滲み出たクーラントがないかも確認する。
ディーゼルエンジンの場合、冷間時は始動性が悪い場合がある。グロープラグの劣化や電気系統の不調、燃料ポンプの不具合などが原因となる。
トランスミッション
マニュアル車の場合、3速から2速へシフトダウンする際、違和感がないか確かめたい。クラッチの磨耗具合や、ローレンジ・ギアの動作もテストしておく。
サスペンションとホイール
走行中の振動は、ドライブシャフトやジョイント、ベアリングなどの劣化が原因の場合もあるが、単にホイールバランスの狂いでも起きる。
エアサスペンションではエア漏れが起きがち。エアポンプが長時間回りっぱなしとなる。しっかり直さないと故障を繰り返すので、エア漏れのチェックは重要。
ステアリングとブレーキ
感触の悪いステアリングは、パワーステアリング・ポンプやボールジョイントの劣化を疑う。
強くブレーキを踏んだ際の振動は、ディスクの磨耗だけでなく、フロントダンパーやステアリング系の劣化でも起きる。リアのブレーキパイプが腐食していないかも確かめたい。
ボディ
オフロード走行でボディ底面を強打していないか、リアのホイールアーチがサビていないかを観察する。ホイールハウス裏側へ、シール不良で水が侵入することがある。車内へ水が侵入すると、電気系統の不調へつながる。
インテリア
エアコンも含め、すべての機器類が正常に動くかを確かめる。
専門家の意見を聞いてみる
トニー・フーパー ヘリフォード4×4 チーフメカニック
「ボディやトランスミッション、シャシー、ドライブトレインなど、P38のメカニズムはかなり優れているといえるでしょう。問題となるのは、ガソリンエンジンで起きるクーラント漏れです」
「エアサスペンションの不具合も起きがちで、治らない場合もあります。また電気系統も。運転席の下に組み込まれた、ボディ・コントロール・モジュールを介してすべてが制御されています。水がモジュールへ侵入すると、故障を招く恐れもあります」
「調子が良くても、ある日突然途方に暮れる、ということも起きがちです。電気系統の不具合は、定期的なオイル交換など、整備履歴とは関係ないことも珍しくありません。P38シリーズが、予期しない失望を招く可能性も否定はできないのです」
いくら払うべき?
1400ポンド(19万円)~1999ポンド(27万円)
初期型のV8ガソリンモデル。英国では、走行距離は24万kmを超えるクルマも。整備記録がしっかり残り、16万kmを走った2001年式の4.0が、1880ポンド(25万円)で見つかった。
2000ポンド(28万円)~2999ポンド(40万円)
英国ではディーゼルエンジンが含まれてくる。1998年式のワンオーナー車で、22万5000kmを走ったクルマが、2275ポンド(30万円)で出ていた。
3000ポンド(41万円)~3499ポンド(47万円)
2002年式など、後期モデルのクルマ。整備記録がしっかり残った4.6Lのヴォーグも含まれてくる。
3500ポンド(48万円)以上
P38型の後継モデル、3代目のL322型の初期モデルも選べる価格帯。1999年式の4.6HSEで、整備記録の揃った走行距離14万5000kmのクルマが、3995ポンド(54万円)だった。
英国で掘り出し物を発見
ランドローバー・レンジローバー4.6HSE 登録:1997年 走行:24万4000km 価格:1440ポンド(19万円)
ダークグリーンのボディに、クリーム色のレザーにウォールナットの木パネルで仕上げられたレンジローバー。整備記録も揃い、ボディの状態も良さそうだ。説明には、価格交渉は受けないと書かれてある。
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みんなのコメント
安易にネットやなどで購入を煽ってはいけない
自分は二度買って二度地獄に落ちた