英国ベントレーモーターズと英国ザ・リトル・カー・カンパニー(The Little Car Company)は2023年8月17日(現地時間)、ベントレーの歴史的なアイコンである1929年製「ベントレー 4 1/2 リットル スーパーチャージド“チーム・ブロワー”」の2号車をモチーフに、車両を85%スケールダウンしたうえで電動システムを搭載した公道走行可能な新型EV「ブロワー ジュニア」を発表した。
英国に拠点を構えるザ・リトル・カー・カンパニーは、大手の自動車ブランドと提携して完成度の高いジュニアカーを製造するメーカーで、これまでアストンマーティンDB5 ジュニアやブガッティ ベイビーII、フェラーリ テスタロッサJなどを生み出してきた。日本のブランドではタミヤとタッグを組み、電動RCカーシリーズのワイルドワン(WILD ONE)をモチーフとしたワイルドワン マックスを製造している。そして今回、ベントレーと提携して1929年製ベントレー 4 1/2 リットル スーパーチャージド“チーム・ブロワー”の2号車を題材とした電動リトルカーを開発することとなった。
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ベントレーが所有する1929年製ベントレー 4 1/2 リットル スーパーチャージド“チーム・ブロワー”の2号車は、同社のヘリテージコレクションとして収蔵される逸品で、2500万ポンド(約46億2000万円)もの保険金をかけて保管している。ザ・リトル・カー・カンパニーはこの名車を実際に使用して、スケールダウンボディおよびシャシーの設計を図るとともに電動パワートレインの搭載を企画。さらに、インテリアの再現も行ったうえで、最新の機能装備の採用を実施した。
基本骨格に関しては、スチール製のフレームに前後2つのセクションからなるボディを架装。リアボディはオリジナルのアッシュフレームに代えて含浸ファブリック生地で覆ったカーボンファイバー材で仕立てる。また、足回りにはオリジナルをスケールダウンしたリーフスプリングとフリクションダンパーを配備。制動機構にはブレンボ製のフロントディスクブレーキとリアドラムブレーキを組み込んだ。
エクステリアではベントレーメッシュグリルおよびニッケルメッキのラジエーターハウジングや、ハンドメイドのアルミニウム製フロントボンネット、レザーバックル付きのボンネットストラップなど、オリジナルをイメージした専用パーツを装備。オプションとして、オリジナルの燃料タンクを模したラッチ付きのウイークエンドバッグを用意する。ボディサイズはオリジナルから85%ほど縮小した全長3720×全幅1480×全高1270mmに、車重は550kgに設定した。
48Vの電動パワートレインは、最高出力15kWのモーターをリアアクスルに、総電力量10.8kWhの駆動用バッテリーとドライブユニットをアンダートレイに搭載。航続距離は約65マイル(約105km)、最高速度は本国で72km/h(米国では規制により40km/h)を実現する。充電ポートはオリジナルのスーパーチャージャーユニットを模したうえで車両前部に配置。フル充電に要する時間は約3.5時間としている。
キャビン空間は前後にシートを配するタンデム式の1+1名乗りレイアウトで構成。コクピットはアルミニウム製のダッシュボードやロープラウンドのステアリングホイールなどオリジナルのデザインを基本的に踏襲したうえで、オリジナルの計器を模したアナログのバッテリー残量計などの専用アイテムを装備する。また、オリジナルのフューエルプレッシャーポンプに代えてドライブモードセレクターをセット。ドライブモードは出力を2kWに抑えるコンフォートモード、8kWに抑制するベントレー、15kWの最高出力を発生するスポーツという3モードから選択可能だ。一方、前進/ニュートラル/後退の切替は、オリジナルのイグニッションアドバンスコントロールを模したレバーを介して選択。さらに、ヘッドライトやウインカーなどのスイッチ類はオリジナルのマグネトースイッチの形状と材質をオマージュして設置する。Garminナビゲーションシステムおよびバックカメラの画面を表示するデュアルディスプレイや、スマートフォンなどに充電できるUSBポートといった現代的な装備を、なるべく目立たないようにカバーで覆って配備した点も、内装デザインでこだわったポイントである。
なお、ブロワー ジュニアは2024年第2四半期に生産を開始する予定で、まずはオリジナルをリスペクトとしたゼッケンやユニオンジャック、ブロワーグリーンのボディカラー、“1/99”プラーク入り専用シリアルプレート、ダークグリーンのルストラナハイドインテリアなどを採用した99台のファーストエディション(First Edition)を市場に放つという。
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