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北米頂点の1台 キャデラックCT4-V ブラックウィングへ試乗 BMW M3を迎え撃つ

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北米頂点の1台 キャデラックCT4-V ブラックウィングへ試乗 BMW M3を迎え撃つ

3.6L V6ツインターボで478psと61.4kg-m

GMの上級ブランド、キャデラックからCT4-V ブラックウィングが発売された。アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオにBMW M3 コンペティション、メルセデスAMG C 63Sといった、欧州の高性能サルーンを迎え撃つために。

【画像】威圧的な黒い羽 キャデラックCT4-VとCT5-V 欧州の競合サルーンと比較 全111枚

基礎骨格をなすのは、ATS-Vも採用したアルファ・プラットフォーム。先日ご紹介したCT5-V ブラックウィングと同様に、ガソリンエンジンを積んだスポーツサルーンの最後を飾るべく、不備のない内容が与えられている。

全長4755mm、全幅1816mm、全高1422mmと、ボディサイズはBMW M3と同等。そのフロントへ、3.6LのV型6気筒ツインターボ・エンジンが搭載されている。

インテークやエグゾースト、潤滑系統が再設計され、ターボも新しい。最高出力は478ps、最大トルクは61.4kg-mを発揮する。

トランスミッションは、フォードとの共同開発となる10速オートマティックか、6速マニュアルが選択できる。すべてのパワーは、電子制御のリミテッドスリップ・デフを介し後輪へ伝わる。四輪駆動はない。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアが5リンク式。ダンパーには、GM最新の第4世代となるマグネティックライド・アダプティブダンパーが組まれる。

ホイールは、ファッション性重視の大径サイズは見送られた。賢明な18インチのホイールに、専用開発のミシュラン・パイロットスポーツ4Sタイヤを履く。

0-97km/h加速3.9秒でライバルを凌駕

キャデラックとしては珍しく、シボレーのモータースポーツ・シーンでの活躍も巧みに活用。約82万円のオプション、エアロダイナミクス・パッケージが用意された。

カーボンファイバー製のフロント・スプリッターやリアデュフェーザー、大きなリアスポイラーなどでボディが武装される。その結果、高速走行時の揚力を最大214%も減らすことが可能だという。

特に、その名の通り高く跳ね上がった黒いリアウイングは、CT4-V ブラックウィングの後ろを追う者へ威圧感を与えるのに充分。4本出しのマフラーも、迫力満点だ。

ブレーキは、フロントに6ポッド、リアに4ポッド・キャリパーを備えるブレンボ社製。兄貴分のCT5-Vとは異なり、カーボンセラミック・ディスクは選べない。それでも、制動力の力強さは、最新のシボレー・コルベットに迫る。

多くのアップデートの結果、運動神経は相当に高められている。0-97km/h加速は10速ATで3.9秒が主張され、同じく後輪駆動のBMW M3 コンペティションの4.2秒を凌駕。最高速度は、304km/h以上に届くという。

北米でのCT4-V ブラックウィングの価格は、5万8995ドル(約678万円)から。BMW M3 コンペティションの価格と性能を考えれば、バーゲンプライスといわざるを得ない。

実質的に選ぶべきオプションも、エアロダイナミクス・パッケージ程度。6速MTは、無料オプションだ。

ドライバーに大きな自信を与えるシャシー

CT4-V ブラックウィングのステアリングホイールを握ると、そのアグレッシブさに圧倒される。確かに6.2L V8スーパーチャージャーが載るCT5-Vと比べれば、トルクやサウンドは控え目。それでも、心が奪われずにはいられない。

V6ツインターボが放つ478psに、不足を感じる場面はない。流れの良い郊外の一般道では、とりわけ痛快。10速ATも2・3段飛ばしでのシフトダウンで、勢いを保ってくれる。

これだけのパワーだけあってサーキット走行も前提で、ドライブ・モードにはトラック(サーキット)が用意された。トラクション・コントロールの制御もマルチステージ化され、介入度合いが変化する。

実のところ公道を走る限りは、穏やかなツアー・モードかスポーツ・モードのままで問題ない。乗り心地は上質でありながら、姿勢制御もタイト。カリフォルニアのチャレンジングなルートにも、不満なく対応できていた。

マグネティック・ダンパーは、攻め込んだ走りでも恐怖を感じさせない。能力の高いカップ・タイヤかのように、パイロットスポーツ4Sのグリップ力も引き出している。

反応に優れ正確なステアリングと、強力なブレーキも組み合わさり、CT4-V ブラックウィングはドライバーに大きな自信を与えてくれる。アグレッシブなスタイリングを裏切らない。

砂埃の浮いたカリフォルニアのワインディングではなく、サーキットでそのすべてを解き放てば、更なる喜びを与えてくれるはず。今回は機会がなかったが。

北米スポーツサルーンの頂点

CT4-V ブラックウィング最大のストロングポイントは、秀でた動的能力と、豊かなクルマとの一体感。比較的コンパクトなボディというパッケージングも良い。ドイツ製ライバルの半額程度という価格も魅力だろう。

もし2ドアボディで良ければ、1LEトラック・パッケージを装備したシボレー・カマロというチョイスも悪くないと思う。シャシーに採用されるハード面はほぼ同等で、80万円ほど価格が安く、V8エンジンも載っている。

ただし残念ながら、英国ではこの特別なキャデラックを正規ディーラー網から購入することはできないようだ。一層獰猛な、CT5-V ブラックウィングと同様に。

キャデラックCT4-V ブラックウィングは、北米のスポーツサルーンの頂点に位置づけられる。内燃エンジンの美味しい蜜を味わうなら、今しかないことは確かだ。

キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)のスペック

北米価格:5万8995ドル(約678万円)/8万265ドル(約923万円/試乗車)
全長:4755mm
全幅:1816mm
全高:1422mm
最高速度:304km/h以上
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1747kg
パワートレイン:V型6気筒3564ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:478ps/5750rpm
最大トルク:61.4kg-m/3500rpm
ギアボックス:10速オートマティック

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