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1.4L 4気筒のPHEV フォルクスワーゲン・パサートGTEに試乗 気取らない上質

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1.4L 4気筒のPHEV フォルクスワーゲン・パサートGTEに試乗 気取らない上質

フォルクスワーゲンで最長の歴史

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
フォルクスワーゲンにとってパサートは、同社の中で最も長く続くモデル名となった。ウォルフスブルクからは歴史に名を残すモデルが多く生まれているが、筆者はてっきりゴルフではないかと思っていた。

【画像】8代目パサートとBMW330e 全74枚

1973年に量産が始まったパサート。フォルクスワーゲンの第2章と最近表現されるゴルフは、1年後輩だったのだ。誕生以来パサートは成功を続け、今日までに3000万台以上が生産されている。8代目となる現行型はモデル中期となるマイナーチェンジを受け、8.5代目といえる内容となった。

例によって幅広いグレードが用意されるパサートだが、プラグイン・ハイブリッドを搭載したGTEの存在感は従来以上に高い。環境負荷を減らしたモデルはドライバーの思考変化とともに、全体の25%の販売を占めると予想していたフォルクスワーゲン。ところが実際は10%に留まった。

今回のマイナーチェンジでは、その他のパサートと同様に最新のアクティブ・セーフティ技術が標準装備。新しいMIB 3と呼ばれるインフォテインメント・システム・ソフトウエアも導入された。

GTEの場合、加えて13kWhへと容量が増やされたバッテリーを搭載することで、電気での走行距離がWLTP値で53km~57km程度へと、38%ほど伸びている。一方で英国価格は2300ポンド(30万円)ほど下げられている。

ナビゲーション・システムと連動して機能するハイブリッド・ドライブモードも追加。目的地の都市部で利用できる電気を可能な限り残しながら、走行することができる。

GTEにGTIと同等の価値を持たせたい

エンジンは1.4Lの4気筒ターボガソリンで、電気モーターが力を添え、6速デュアルクラッチATを介して前輪を駆動。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式という点にも変更はない。アダプティブ・ダンパーはオプションで選択できる。

フォルクスワーゲンとしては、パサートの「GTE」を「GTI」と同等のブランド価値を持つクルマに高められると期待している。だがGTI並みに活発な走りの楽しさを求めるのなら、恐らく残念な感想を抱くだけだろう。

このGTIの3文字には、パフォーマンスに対する多大な期待を抱かせてしまう力を備えている。エクステリアデザインもハンサムで魅力的に感じられるが、エキサイティングというわけではないと思う。だがパサートGTEも、充分に好感の持てる中身を持っている。

ハイブリッド化されたパワートレインは、充分に力強い加速力を発揮。郊外の道で追い越しをする際でも大きな不満は感じられない。「GTE」で何より印象的なのが、エンジンが稼働している時の上質さにあるのだ。

バッテリーの充電量に不足がなければ、静止状態からの発進は極めてスムーズ。電気モーターでクルマは進み始め、アクセルペダルを床まで踏み込まなければ、140km/hという高速域までそのまま加速し続ける。

磨き込まれたパワートレインと乗り心地

右足に強く力を入れるとエンジンは目覚めるが、その介入は至ってシームレス。質感の良い車内は外界との隔離感も高く、一般道で走らせている限りは4気筒ターボが回転している実感もほとんど湧いてこない。

エンジンが活発に動くような場面でも、タコメーターの針はレッドゾーン目掛けて上昇するものの、洗練性や存在感の優れた印象は維持。調律の効いたサウンドを奏でたり、トップエンドのパワーを感じたりするユニットではないが、遠く離れたエンジンが気に障ることもない。

6速DSGも充分に変速は素早い。電気モーターの回転し初めの強力なトルクも充分に活かせている。さらにGTEは乗り心地も良好。標準装備となるスポーツサスペンションは少しエッジが立つところがあるものの、硬すぎるということはなく、常に落ち着いた印象を与えてくれる。

煮詰められたサスペンションは起伏の多い路面でもしなやかに受け流し、轍や隆起した部分を通過しても綺麗に衝撃を丸めてくれる。低速時に酷い路面を通過すると頭を揺さぶられる傾向にはあるが、不快と感じることはないはずだ。

アダプティブ・ダンパーが追加される、895ポンド(11万円)のダイナミック・シャシーコントロールを選べば、乗り心地はさらに優れる。スポーツモードでは地形の影響を一層上質に制御できるようになるが、コンフォートモードのできが素晴らしい。ダンパーから適度に力が抜け、良好な姿勢制御を保ちつつ、乗り心地の快適性も高めている。

控えめなデザインに包まれた洗練性と快適性

コーナリング時でも不安感のないハンドリングを得ており、常にコンフォート・モードでも不満のないバランスの良さだ。サスペンションなどを個別に設定できるモードも備えているが、このバランスは上手に反映させたいところ。

快適で上質で、気取らないプラグイン・ハイブリッドのサルーンやステーションワゴンを探しているのなら、パサートGTEアドバンスは優れた選択肢となりえるだろう。ただし、3万8940ポンド(517万円)というやや強気の価格も受け入れる必要はある。

GTEならインテリアは上質なレザー仕立てで、シートヒーターも付く。9.2インチモニターではフォルクスワーゲンのディスカバー・ナビゲーション・プロも標準で利用が可能だし、実用性も高い。

BMW 330eと同等の運転する楽しさは備わらないし、メルセデス・ベンツC300deほどの高級感も備わっていない。だが快適で洗練された静かな走りを味わいたいのなら、控えめな見た目以上に、充分に訴求力は高いモデルだといえるだろう。

フォルクスワーゲン・パサートGTE アドバンスのスペック

価格:3万8940ポンド(517万円)
全長:4775mm
全幅:1832mm
全高:1457mm
最高速度:222km/h
0-100km/h加速:7.4秒
燃費:71.4km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:1730kg
パワートレイン:直列4気筒1395ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:215ps(システム総合)
最大トルク:40.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック

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