フェラーリはF1ラスベガスGPのフリー走行で、2025年のマシン開発を公の形でスタートさせた。
これはフェラーリが来季に向けてフロアのデザインを完璧なモノに近づけるための、重要な情報を収集すべく行なわれたモノだ。
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現行世代ほど、現実世界とシミュレーションの間でギャップがあるF1マシンはないだろう。グラウンドエフェクトの影響で、空力をコンピュータシミュレーションで完全に再現するのは難しく、そのなかでもフロアとその補助コンポーネントのシミュレーションは最も難しい。
グリッドの大半のチームが、この現行レギュレーションの間に、期待されたパフォーマンスを発揮できなかったとして、一度は新しい開発パーツの使用を見送ったことがある。フェラーリ自身も、スペインGPで投入したフロアが高速域でのバウンシングを誘発してしまい、開発が迷走した時期を経験している。
そのためフェラーリが、ラスベガスGPのフリー走行を活用し、改修した風洞から得られる情報がサーキットに十分反映されるのかを確認するための貴重な学習機会として利用したのは驚くことではない。
この際に使われた実験用のフロアには、いくつか興味深い点がある。
このフロアはどこか特定のエリアのデザインが調整されたようなモノではなく、包括的に刷新されたモノだったのだ。フロアフェンスやアンダーフロア、エッジ、ディフューザーのサイドウォールなどが変更されている。
しかし、おそらく他の部分よりも興味をそそられるのは、エッジウィングのデザインだろう。というのもこれは、2022年と2023年の両方でフェラーリが採用したデザインだからだ。しかし、当時は期待通りのパフォーマンスを発揮できなかったため、チームは別の方向へ向かうことにした。
細長いL字型のリヤセクションとエッジウイングは他の車種でも見られるが、これはシミュレーションでの結果は良いものの、おそらくジグソーパズルの他のピースをすべて合わせなければ、絶対的な性能を引き出すことができないソリューションであることが示唆されている。
例えばこのバリエーションは前後方向に地面に対して平らな面を持つだけでなく、支持ブラケットが金属製となっている。これにより空力的に必要とされる柔軟性の程度にも影響が及ぶ可能性があるのだ。
もちろん、このフロアに加えられた変更の全容はわからない。外からは見えない床下にも間違いなく変更が加えられているからだ。
フェラーリがラスベガスで行なったもうひとつの変更は、フロントウイングのマイナーチェンジで、アッパーフラップの後縁をイタリアGPのときよりも切り落とした。これによってマシンのバランスが改善され、ストレートスピードも向上しただろう。
これに組み合わされたのは、フェラーリがモンツァで使用した最もダウンフォースの小さい仕様のリヤウイングと、シングルエレメントのショートコードビームウイングだ。
また、ラスベガスGPのマシンは空力的にはモンツァと同じようなセッティングに見えるが、冷却に関しては明らかに異なっていた。
11月のラスベガスGPは9月のイタリアGPよりもかなり寒いコンディションだったため、エンジンカバーのルーバーが閉まっていることが画像の比較でよく分かる。
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