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驚速アウディも及ばず。PWRのロバート・ダールグレンが記録づくしで3度目の王座獲得/STCC第5戦

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驚速アウディも及ばず。PWRのロバート・ダールグレンが記録づくしで3度目の王座獲得/STCC第5戦

 2021年も全6戦で争われるSTCCカンジナビアン・ツーリングカー選手権の第5戦が10月2~3日にマントープパークで開催され、ラップレコードを記録してポールポジションを獲得したゲスト参戦ドライバー、アンドレアス・バックマン(アウディRS3 LMS/ブリンク・モータースポーツ)を退け、PWRレーシングのロバート・ダールグレン(クプラ・レオン・コンペティションTCR)がシーズン最多勝記録を更新する10勝目を挙げ、早くも自身3度目のドライバーズチャンピオンを手にした。

 第4戦アンダーストープに参戦した妹のジェシカに続き、自身2018年以来のSTCC復帰となった兄のアンドレアスは、トビアス・ブリンク(アウディRS3 LMS/ブリンク・モータースポーツ)のチームメイトとして初のアウディをドライブすることとなった。

PWRのダールグレン、8戦連続キャリア50回目のポールから最多勝記録に並ぶ43勝に到達/STCC第4戦

 そのアウディはWSCグループによる直前のBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)改訂で最低車両重量を20kg削減した1255kgとされ、この週末に合わせるかのように「以降、2021年のWTCR世界ツーリングカー・カップへの参戦を休止する」と発表していたバックマン兄妹の兄にとっては、願ってもない追い風となった。

「海外で3年間積み重ねてきた武者修行を経て、再びSTCCに戻れるのは最高だね。マントープパークは僕が快適に感じるトラックだし、初挑戦のマシンとチームで難しい面もあるだろうけど、素晴らしいレースにしたい」と意気込んだアンドレアス。

 そのアウディ29号車は最初のプラクティスから最速タイムを刻むと、レース1のグリッドを確定するQ1では1分19秒368と最速だったダールグレンが、まずは9戦連続のポールポジション獲得記録を更新。しかし続くレース2向けのQ2では、元王者のタイムを打ち破る1分19秒039のタイムをマークしたアンドレアスが、コースレコード更新で最前列を射止める大仕事を成し遂げた。

「初のマシン、初のチームとともにまずは素晴らしい仕事ができた。実際のラップ中にはミスを犯していたから、残りのマージンを考えると1分18秒台も可能だったと思う」と、ダールグレンの10戦連続ポールの記録を阻止したアンドレアス。

 一方、自身3度目の戴冠に向け盤石の足場を築いてきたダールグレンは、ゲストの驚異的な速さを素直に賞賛する余裕のコメントを残した。

「アンドレアスとブリンク・モータースポーツの仕事には脱帽だ。今日の彼らは本当に速かった。Q2の僕のラップは実際のところ悪くなかったんだ。でも何か足りないところがあった、ということ。でも明日のレースを楽しみにしているし、そこではもう少し手に入れられるものがあると思っている」

 その言葉どおり、日曜午前のレース1に臨んだダールグレンは、早朝の雨でウエットへと転じた路面を物ともせず“ライト・トゥ・フラッグ”で14周を走破し、週末最初のトップチェッカー。ダールグレンはこの勝利により、ボルボのファクトリーチーム所属時代に同僚として戦ったリチャード・ゴランソンを越え、シリーズ通算44勝目の新記録を達成すると同時に、そのゴランソンが持つシーズン最多勝記録の“9”に並ぶ結果となった。

■レース3ではPWRレーシングがチームタイトルを獲得
 続く13時20分開始のレース2では、トラック上も乾きドライ路面での勝負となるも、ダールグレンの勢いは衰え知らず。ポールシッターのアンドレアスをスタートで仕留め、アウディの前でターン1に向かったパープルのクプラは、そのまま独走状態へ。

 失意のアンドレアスはスロースタートで6番手まで落ちると、5周目にはドライビングエラーでサンドトラップに沈みセーフティカー出動の引き金となるなど、決勝では2戦連続で見せ場を作ることができず。

 ライバル不在となったダールグレンは、この連勝で2020年にロブ・ハフに奪われていたチャンピオンの座を奪還するとともに、シーズン最多10勝に到達して新記録を樹立。自身3度目の戴冠で、スウェディッシュ時代を含め複数のSTCCタイトルを保持する4名のドライバーのうちのひとりとなった。

「こんな記録づくめの結果は純粋に“魔法”のようだ! チームとしての僕らが達成した偉業に心から満足し、誇りに思っているよ」と喜びを語った王者ダールグレン。

「僕らは冬のあいだの懸命な努力により、ドライ、ウエット、ミックスコンディションのいずれでも強さを発揮することができる。今日もそこは問題にならなかったし、なんとも言えない気持ちと心地よさだ。ただただ幸せだよ」

 そしてリバースグリッド採用となる週末最後のレース3は、中段からスタートを切ったダールグレンの相棒、ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(クプラ・レオン・コンペティションTCR)が躍進。早々2周目にマティアス・アンダーソン(リンク&コー03 TCR/MA:GP)を仕留めて2番手を奪うと、続く周回でリバースポールシッターのアイザック・アーロンソン(アウディRS3 LMS/ブロバレン・デザイン)をパスして首位浮上に成功。そのままダールグレンを従え1-2フィニッシュを飾ったPWRレーシングが、チームタイトルも獲得する結果となった。

「最後の最後でとても良い感じね! 昨日の予選では本当に苦労したから、日曜はなんとか挽回したいと思っていた」と、2021年初優勝を飾ったコチュリンスキー。

「そして今、ロバートと一緒にチームのチャンピオンシップを獲得したのも素晴らしいこと。6番手から勝てるクルマを用意してくれたPWRのみんなに心から感謝している」

 これで両タイトルが決まり、ドライバーズランキングでも2位につけるコチュリンスキーは、同3位のブリンクに対し11点差とした状況で、続く次週10月9~10日の最終戦リング・クヌットストープに挑むこととなった。

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