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BMW 330i M Sport 新型3シリーズ・セダン【試乗記】

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BMW 330i M Sport 新型3シリーズ・セダン【試乗記】

マニアック試乗記 vol.671

BMW3シリーズがフルモデルチェンジをし、国内導入最初のモデルとなる330i M Sportに試乗することができた。世界のスポーツセダンのベンチマークとされる3シリーズの新型はどのようになったのかお伝えしよう。

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フルモデルチェンジの証

従来の3シリーズのF30型から、フルモデルチェンジによりG20型へと変更になった。BMWのFR系プラットフォームCLARを採用し、すべてを一新した新型ではあるが、プレミアムモデルに共通するドラスティックなデザイン変更を行わないモデルチェンジはこの3シリーズも同様だ。

しかし、車両全体はサイズアップしボディのデザイン表現手法も変更され、ひと目でフルモデルチェンジであることはわかる。その新型3シリーズの全長は70mm伸び、ホイールベースは+40mm、全幅も1825mmとなり+25mmのサイズアップしている。

試乗したフィールドは西湘バイパスから箱根エリアの自動車専用道、一般道、そしてワインディングというシチュエーション。試乗した330i M Sportにはブリヂストン・テュランザのランフラットで、フロント225/40-19、リヤ255/35-19サイズのタイヤ&ホイールを装着したファーストエディションだ。

ハンドリングは軽快に

ファーストインプレッションとしてはステアリングの太さに驚き、従来のMスポーツも太めではあったが、さらに太くなっていた。そして19インチのランフラットタイヤという組み合わせなのか、F型と比較すると若干クイックになった気がする。もっとも最近はクイックになる傾向で、F型に乗ると、逆にスローだと感じるほど他社も含め傾向の変化が起きている。一方で、操舵力は軽くなった。BMWは比較的重めのステアフィールではあったが、太めのハンドルに軽めの操舵力というのがひとつのトレンドなのかもしれない。

そうした中でも、ライントレース性の気持ち良さやセンターからの動き出しの滑らかさなどはベンチマークとされる所以を存分に感じ取れる。乗り心地もしなやかにサスペンションが動いていることは感じる。だが大径タイヤの影響なのか、ハーシュネスの部分ではいなしきれない部分もあった。

エンジンは2.0Lターボのガソリン車であるが、400Nmという大トルクでこれまでの2.0Lディーゼルターボと同等のトルクだ。馬力ではもちろん50kWガソリンが上回っている。この大トルクは1550rpmから発揮し、ディーゼルのように低回転域でもスッと瞬間的に動けるのだ。おそらく8速ATの変速マネージメントも変更され、よりドライバビリティの気持ち良さにつながるような変更が行なわれていると思う。

エンジン、サスペンション、そして操舵フィールなど、試乗車がM Sportだからなのか躍動感があり、非常に軽快に感じるのだ。したがってスポーティセダンのベンチマークはまだしばらく3シリーズがそのポジションに居座ることになると思う。

フルデジタル化されたインテリア

内装はメーター類も含めフルデジタル化されている。速度計とタコメーターではタコメーターが逆回転式になっていた。もしかすると表示変更が可能かもしれないが確認できていない。インフォテイメントでは音声対話式のBMWインテリジェント パーソナル アシスタントを搭載した。ニュアンスコミュニケーションズのシステムを導入したこの音声対話式機能は、学習機能があり、使い込むほどオーナーの意図を理解していくAIを搭載している。しかし試乗車ではある特定の言葉にだけ反応できるレベルで、オーナーが鍛える必要があるのだろう。

ドライブモードの変更やナビ画面の操作ダイヤル、空調などを調整するインターフェイスの位置はF型から大きな変更はなく、乗り換えユーザーも戸惑うことなくすぐに馴染める。もちろんデザインは変更され、タッチ式も導入するなど操作方法の変更はるものの、スイッチを探すようなことにはならない。

シートはM Sportということもあるのだろうが、よりスポーティになったように感じる。というのはサイドのホールド性が高まり、スポーツドライブへの好影響を意識させる本格的バケットシートのようなシートデザインだと感じる。

キドニーグリルを変更したエクステリア

BMWの特徴のひとつ、キドニーグリルデザインが変更され、一体化したグリルはひと目で新型とわかる。またヘッドライトとグリルのつながりも強調され力強さが増している。ボディデザインではこれまでプレスラインが強く入ったデザインだったが、その数は抑えられ、とくにリヤフェンダーの盛り上がりなど曲面をつかった手法で、ひと世代進化していることがわかる。また、ボンネットも先端まで一枚の鋼板で成形されるなど進化している。

一方ACCなどの運転支援も初の3眼カメラを搭載するなど、最先端の装備を搭載している。そのメリットは車両の直前にパネルトラックなどがいる場合、車線を見失い、レーンキープが解除されることがあった従来のシステムから、連続的に車線キープできるようになるなど、いくつかの進化があるものの、今回の試乗時間では具体的な違いを体験するまでできなかった。

このようにひと目でBMW3シリーズであることがわかり、新型であることもわかるという、プレミアムモデルにふさわしいフルモデルチェンジの仕方だと言えそうだ。それはプレミアムモデルは、前型を否定するようなデザイン、イメージ変更をしないことや、誰が見ても3シリーズであることを継承する、といったプレミアムモデルの方程式に沿っているということだ。そうしたBMW3シリーズらしい変化をした新型では、実はBMWジャパンが注力したのが320iのラインアップで、要求レベルの高い国内の要望を反映したというこちらのモデルに試乗するのが楽しみになってきた。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

【試乗車の価格(税込)】

・本体価格:632万円
・オプション:92万2000円
・合計:724万2000円

【諸元】

・全長:4715mm
・全幅:1825mm
・全高:1430mm
・ホイールベース:2850mm
・エンジン 2.0Lガソリン4気筒ターボ
・最高出力:190kW・258ps
・最大トルク:400Nm
・トランスミッション 8速AT
・WLTCモード:13.2km/L

マニアック試乗記
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