門外不出のデータ 経常利益グループ全体で衝撃の数字
2023年7月5日ビッグモーターは「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」として公式サイトにお知らせを出した。
【画像】今年3月にビッグモーター熊本浜線店の指定工場「指定取り消し」処分 現在は?【現地より】 全6枚
「自動車保険金請求において不適切な行為があった」ことを会社として認めた。
再発防止策などについても提言している。事故で損傷した車両を保険修理する際、不正な水増し請求があったことなどを会社として認めたのだ。
筆者(加藤久美子)は2022年夏頃からビッグモーターの不正について様々な取材を続けており、これまで元社員/元幹部/現役営業スタッフ/元整備スタッフ/下請け修理スタッフ、そして中古車購入や買取/車検や点検などの際ビッグモーターに騙されて払わなくてもいいお金を支払ってしまい泣き寝入りするしかなかったお客さんたち合計50名以上の人々に話を聞いてきた。
たくさんの悪事を働いている会社なのに、警察が動くことはほぼ皆無でスポンサーへの配慮からTVで悪事を報道されることもなかった。
売上高は7000億円(2022年9月期)を誇り、テレビやラジオのCMは1日に何度も流されて毎月4~5店の新店が全国各地でオープンする状況だ。
被害を受けた人たちはお金が返ってくることもなくやり場のない怒りを抱え、非常に悔しい思いをしてきた。
ビッグモーターは上場していないため、経常利益なども公開されていない。就職情報誌の会社概要に記されている「グループ合計売上高7000億円」だけが、これまで一般に広く知られる業績だった。
しかし、実際は……そうではなかった。
「かなりギリギリな数字です」証言
数日前、筆者宛に関係者を名乗る人から届いたメッセージには衝撃的な数字が記されていた。
「昨年までは40億前後の単月経常利益が今年4月に10億円を切って7億7000万台にまで落ちました。5月は少し持ち直したがそれでも10億円以下。かなりギリギリな数字です」
ビッグモーターがグループ全体で大幅減益となっている情報だった。あまりの衝撃的な数字に驚き、これは本当なのか? 複数の関係者に確認したところ、全員が「その数字は本当です」との回答を得た。
4月に7億円台となった背景に何が
今年4月の単月経常利益は何と最盛期の5~6分の1となる7億7000万円台にまで落ちている。
関係者の話によると、この額はビッグモーター始まって以来最低の数字とのこと。
このデータによると、令和4年9月には最高の44億6468万7000円でこの表の期間では最高益となっている。
しかしその直後くらいから保険金不正請求や損保との取引停止、損保による独自調査などが報道で明らかにされ始めており、それに関係しているかどうかは不明だが、翌10月には36億円台、12月には15億円台まで下がり、令和5年4月には7億円台にまで大幅下落した。
複数の関係者の話をまとめると以下となる。
複数の関係者の話
「保険金不正請求の件は、実は関係者からの内部告発があり2022年夏以降、経済メディアで報道されるかなり前から社内調査がおこなわれてきました」
「最高で33か所あった直営の板金工場は33→18にまで減り、昨年4月から毎月1.5億円の赤字が1年以上続いています」
「また、不正が明らかになった分に関しては内々に損保各社に返還を始めており、それが経常利益に影響を及ぼすようになったのが昨年秋以降とみられ11月~12月にかけて大幅に減益しました」
「4月にさらに大きく下落した理由は、様々な理由が考えられますが、保険金不正請求をはじめ、2月には唐津店の指定工場が事業停止となり、3月下旬にはグループの指定工場初の「指定取消」という大変重い行政処分が熊本浜線店に下されました」
「指定取消で民間車検場として機能できなくなったのはこの時点では熊本浜線店だけですが、この時は新聞やNHKなどでも大きく報道されたため全体的なイメージダウンになったのも確かです」
「週刊誌でタイヤ保証サービスの不正利用が大きく報道されたことも関係しているかもしれません」
タイヤ保証サービス
車検時や中古車販売時などに1万円(普通車)の保証料を払うと、タイヤ1本パンクしても4本すべて上限10万円までタイヤ代無料で新品に交換してくれるサービス。工賃は有料で保証期間は2年間。
ビッグモーター 不正いろいろ
ビッグモーターは保険金の不正請求だけではなく、クルマの購入や買取、車検や整備などあらゆるシーンで不正をおこなってきた会社である。
主にカモにされてきたのは、中古車売買やクルマの維持、車検などについて知識を持ち合わせていない人たちだ。また、カーセンサーやグーネットなどの大手中古車情報サイトへの自作口コミ投稿や大量のテレビ、ラジオのCMなどによって、中古車売買が初めての人にも安心感と優良誤認を与えてきたことは非常に罪深い。
筆者がこれまで取材をしてきたケースをいくつか紹介しておきたい。
ローンのゴリ押し
現金で購入したいというと「1年だけローンを組んでください。損はさせません」と言いながらアドオン方式のローンを組ませて結局は100万円で済むところを130万円支払うことに。
水没を隠して販売
水没車であることはオークション時のデータに明記されていたが、お客には水没車であることを偽って販売。客が異変に気付いてビッグモーターに申し出たが、「水没車だとは知らなかった」として補償無し。
ウソによる引き取り
車歴20年以上で車検が受けられなくなるとウソ。数百万円の価値がある旧車をタダ同然の値段で引き取っていた。
2万円の車庫証明費用
車庫証明は販売店じゃないととれませんとウソ。車庫証明費用として2万円を請求された。
謎の費用を事前請求
納車準備費用という謎の費用を事前に請求。8万円も支払ったのに実際は全く整備も何もできてなかった。
タイヤのすり替え
店で見て新古車を契約したのに、納車時についていたタイヤは全部溝無しの古いタイヤだった
3~4時間の軟禁
中古車購入のために近所のビッグモーターに寄ったが契約するというまで軟禁状態にされ3~4時間店に閉じ込められた。
買取金額から「減額」
買取金額が決定してビッグモーターがクルマを店に持ち帰った後で、「修復歴があった」「故障していた」「〇〇にキズがついていた」などとクレームをつけて買取金額から数十万円を「減額」
あなたも被害者かも? 保険金不正請求とは
最後にいま話題となっている「修理代金の保険不正請求」について触れておきたい。
テレビや新聞もやっと本格的に報道を始めた「保険金不正請求問題」とは、簡単に言うと修理代金を水増しして保険会社に請求することである。
これはビッグモーターでクルマを買っていなくても、保険会社からの誘導(提携工場として登録されているビッグモーターを紹介されてそこに入庫を促す)によってビッグモーターの被害者になっている可能性もある。
筆者が取材した人の中には「ディーラーに修理をお願いしたかったのだが、保険会社から半ば強引にビッグモーターの修理工場を紹介されて仕方なく入庫した」というケースもあった。
なぜ保険会社がビッグモーターを強引に紹介するかというと、ビッグモーター→保険会社に対して様々な優遇措置があったからに他ならない。
また、ビッグモーターに入庫した後、無理やり傷を増やすなどして大幅に修理代金を水増しして保険会社に請求することもしばしばあった。
・ヒョウが降ってクルマのボンネットに少し傷がついたような場合、ゴルフボールを靴下や軍手の中に入れてボンネットを叩き傷を大幅に広げる。
・修理は下請けの修理工場に大幅に安い値段でやらせておきながら、保険会社には下請け工場の修理代+30~50万円という水増し請求をする。
本来は保険を使わない方がトータルでの出費が少なくてすむのに高額な修理代がかかったと偽装して請求。(このような場合、保険を使うことで翌年から等級ダウンし翌年からの保険料も高額になる)
なお、ビッグモーターは不正請求分を損保各社に返金することを明らかにしており、すでに一部は返金が完了している。
今後、10万件以上の保険修理について数年をかけて調査をおこなうとしており、返金の総額は一部で100億円以上は確実という声もある。
救済の可能性も 問い合わせを
ビッグモーターの問い合わせフォームや店舗には現在、過去の保険修理のほかに自費修理含めて、中古車購入や買取時のトラブルなどについても問い合わせが殺到しているとのこと。
明らかに不正な費用を支払っている場合は返金される可能性があるし、保険については下がった等級が戻る可能性も大。
もし、この記事を読んでくれている読者の皆様の中で何かしらの心当たりがある場合はひとまずビッグモーター公式サイトの問い合わせフォームから連絡してみてはいかがだろうか。
ここまで書いたところで昨日(2023年7月18日)にビッグモーターから「当社板金部門における不適切な請求問題に関するお詫びとご報告」とのお知らせが発表された。
ここには様々な再発防止策や全取締役に関して報酬の自主返上を実施することなどが記されている他、特別調査委員会による調査報告書もPDFにて全公開されている。
また、本件に関する問い合わせ電話も設置されているので気になる方は問い合わせを
0120-733-500 受付時間:10時~17時
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