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「孤高の地位」を築いた高速ワゴン! アウディRS6 アバントGTへ試乗 魔法のような快適性

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「孤高の地位」を築いた高速ワゴン! アウディRS6 アバントGTへ試乗 魔法のような快適性

派手なグラフィックに専用ボディキット

少しクラシックなアルミホイールに、レッドとブラックの派手なグラフィック。英国価格は17万6975ポンド(約3398万円)。モデル末期のRS6 アバントとしては、派手すぎて高すぎるように思えるが、計画した660台は完売済みだから在庫の心配は杞憂だ。

【画像】魔法のような快適性 アウディRS6 アバントGT 競合する高性能モデル RS4の特別仕様も 全125枚

冷静に考えれば、賢明なチョイスとはいいにくい。しかし、純粋に内燃エンジンで走るRS6のグランドフィナーレを記念した特別仕様へ、強く惹かれる気持ちも理解できる。

目を引くグラフィックは、1989年のアメリカIMSA選手権を走った、アウディ90 クワトロGTOを彷彿とさせる。アルミホイールは、1990年代末のS6が履いていたデザインへ似ている。サイズは21インチと巨大で、深くえぐれているけれど。

RS6 アバントGTは、ステッカーとホイールでドレスアップしただけのモデルではない。新設計のフロントスプリッターが与えられ、フロントグリルはブラックに塗られ、ワイド感を強調。ボンネットとフェンダーパネルは、カーボンファイバー製になる。

そのホイールアーチ後方には、巨大なエアアウトレット。テールゲート上のスポイラーも巨大。レーシングカーさながらの、勇ましい雰囲気を醸し出している。

ドイツ南西部、ネッカーズルムのA6用生産ラインでベースを作り終えると、そこから遠くないボリンガー・ホーフの工場へ輸送。R8やeトロン GTと並んで、7名の従業員によって完成されるという。

V8ターボは630psで不変 魔法のような乗り心地

パワートレインは、RS6 アバント・パフォーマンスと基本的に同じ。4.0L V8ガソリンツインターボが、630psを繰り出す。トランスミッションは8速オートマティックで、もちろん四輪駆動だ。スポーツ・ディファレンシャルは、専用チューニングになる。

GT最大の違いといえるのは、サスペンション。通常のモデルにはエアスプリングが組まれるが、調整式ダンパーとコイルスプリングのセットへ置換。3段階から減衰力を選べるが、それにはボディをジャッキアップして、タイヤを外す必要がある。

アンチロールバーも強化されている。前は30%、後ろは80%も硬いという。

かくして、シリアスなサーキット御用達ステーションワゴンに生まれ変わったのでは、と想像するかもしれないが、実際は違う。21インチの極薄タイヤと、アダプティブではないダンパーが支える車重2075kgのアウディは、魔法のように乗り心地がイイ。

試乗車は、恐らくダンパーがソフト側に設定されていたのだろう。それでも、エアスプリングのよそよそしさは排除され、路面の荒々しさも伝えない。高速道路ではロードノイズがやや大きいものの、穏やかなA6と同等といえる上質さが漂う。

カーボンファイバー製シェルのバケットシートは、背中が痛くなりそうな見た目だが、メルセデスAMGやBMW Mモデルの同等アイテムより座り心地はベター。感心せずにはいられない。

プッシュしたくなるニュートラルなライン取り

RS6 アバントGTは、大きくて軽くない。それでも、試乗したスペインのワインディングを、極めて自然に駆け抜けてみせた。ステアリングホイールへフィードバックが伝わり、もう少しプッシュしようという気持ちにさせる。

ただし、アクセルペダルの踏み加減でライン調整できるわけではない。アウディらしく、コーナリング・スタンスは常にニュートラル。アンダーステアは抑えられている。

ツインターボエンジンに、電気的なアシストはない。ターボラグが小さくなく、本領が発揮されるのは3500rpm前後から。ヘアピンカーブなどで回転が落ちると、期待通りのパンチ力をすぐには得にくい。

電気モーターが加勢してくれれば、一層爽快だろう。きっかけを与えて、リアアクスルを振り回すことは可能だが。

サウンドは、ターボ過給されるV8エンジンらしいもの。マフラーから、空気を切り裂くような激しいバリトンの響きが放たれる。ターボチャージャーの悲鳴も重なる。運転席より、路肩で聞いている方が一層刺激的なようだ。

孤高の地位を築いた類まれなロードカー

ちょっと振り切った存在の、RS6 アバントGT。この特別な見た目を、筆者は嫌いではない。古いレーシングカーのグラフィックを再現しても、必ずしもカッコ良くなるとは限らないが、この例では成功していると思う。

走りの印象は、RS6 アバント・パフォーマンスから大きく進化したわけではない。とはいえ、それはネガ要素ではない。このC8系で、高速ステーションワゴンとして孤高の地位が築かれている。

表現力の豊かさや野性味では、BMWやメルセデスAMGのライバルには及ばないとはいえる。しかし、類まれなロードカーに間違いない。RS6 アバントGTは、固有の特長を維持しつつ、さらに訴求力を増した仕上がりにある。

◯:古いレーシングカーの雰囲気を巧みに解釈した見た目 コイルオーバーキットが乗り心地とシャープさを両立
△:高額で既に完売状態 いざという時のターボラグ

アウディRS6 アバントGT(英国仕様)のスペック

英国価格:17万6975ポンド(約3398万円)
全長:4995mm
全幅:1960mm
全高:1485mm
最高速度:305km/h
0-97km/h加速:3.3秒
燃費:8.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:2075kg
パワートレイン:V型8気筒3996cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/6000rpm
最大トルク:86.9kg-m/2300-4500rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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