8月25日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで2024年ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第4戦の4時間レースが行われ、ポールポジションからスタートしたAO・バイ・TFの14号車オレカ07・ギブソン(ジョニー・エドガー/ロバート・クビサ/ルイ・デレトラズ)が総合優勝を飾った。
LMGT3クラスでは、ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ296 GT3(木村武史/エステバン・マッソン/ダニエル・セラ)が後続に37秒の差をつけ圧勝。木村は2023年の第3戦に続き、ELMSのGTカテゴリーで2勝目を記録することとなった。
宮田莉朋の復帰で日本人は再び4名に。アルバカーキ、イェロリーが代役出場へ/ELMS第4戦スパ
■LMGT3のポールポジションは濱口弘が獲得
LMP2、LMP2プロ/アマ、LMP3、LMGT3と、4つのクラスが混走するELMS。
24日に行われたLMP2予選では、デレトラズがパニス・レーシング65号車のアタックを担当したシャルル・ミレッシに0.407秒のマージンでポールポジションを獲得。インターユーロポル・コンペティションの43号車が3番手、これに続く4番手に入ったのは、開幕戦バルセロナ以来のアタック担当を務めた宮田莉朋だった。宮田はマルテ・ヤコブセン、ロレンツォ・フルクサとシェアするクール・レーシング37号車で2分02秒064と、首位デレトラズから0.8秒落ちとなるタイムを記録した。
LMGT3クラスでは、アイアン・リンクスの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo2をドライブする濱口弘が、クラスポールを獲得した。
レースは序盤からAO・バイ・TFの14号車がリードする展開に。このライバルとなったのはインターユーロポル43号車だった。43号車はトラブル続きとなったレース前半は首位を走る時間帯もあったが、2度目のバーチャル・セーフティカー中のピット作業に遅れが生じ、ポジションを下げてしまう。
AOの14号車も、ピットタイミングがオフセットしていたユナイテッド・オートスポーツの22号車の後塵を一時拝したが、クビサがレ・コンブでフィリップ・ウグランに追いついてオーバーテイクを決めると、大きなギャップを築いていった。
このマージンがあったおかげで、レース終盤にインターユーロポル43号車のトム・ディルマンが見せた猛追をわずか1.100秒差で退けることができたAOは、今季初勝利となった(※前戦イモラでは一時繰り上がりで勝利を得たが、その後のアピールによりペナルティが取り消されたパニス65号車が正式結果では優勝に)。デレトラズは、ELMSでの4シーズンでそれぞれ4つの異なるエントリーで総合優勝を獲得するという功績を達成。彼はこれまでチームWRT、プレマ、レーシング・チーム・ターキーでも勝利を手にしている。
3位にはIDECスポール28号車が入ったが、この表彰台の最後の1席を巡っては、レース最終盤に激しい戦いが繰り広げられた。
フルクサがスタートを担当し、宮田が中盤で順位を押し上げたクール・レーシングの37号車はヤコブセンのドライブによりポディウムに向かっているように見えたが、残り10分となったケメル・ストレートで、IDECスポール28号車のオーバーテイクを許すと、続いてパニス・レーシングの65号車にもパスされ、5番手へと転落。さらに残り4分を切り、インターユーロポルの34号車にパスされ6番手に順位を下げたが、ヤコブセンはペースの鈍った65号車を抜き返して5番手に返り咲き、チェッカーを受けた。
ウグラン/佐藤万璃音/ベン・ヘンリーのユナイテッド22号車は、クラス9位でフィニッシュしている。
LMP2プロ/アマでは、AFコルセの83号車がクラス優勝を果たした。LMP3はユーロインターナショナルの11号車リジェJS P320・ニッサンが制している。
■サバイバルとなったLMGT3でフェラーリが表彰台独占
ケッセル・レーシングは、アクシデントが多発しサバイバルレースとなったLMGT3クラスを制した。レースの中間点を過ぎる前にこのカテゴリーの半数のクルマが脱落するなか、ケッセルの57号車はフェラーリのワン・ツー・スリー・フィニッシュをリードした。
今回のレースでは前半2時間で4回のセーフティカーが出動したが、それはいずれもLMGT3クラスの車両が関与した事故が原因だった。
まず、JMW モータースポーツ66号車フェラーリのジョン・ハーツソーンが、LMP2車両が外側からパスする際に接触、コントロールを失ってプーオン出口のウォールにクラッシュ。
2台目のセーフティカーが投入されたのは、サラ・ボビーのアイアン・デイムス85号車ポルシェ 911 GT3 Rが、レ・コンブでのバトル中にマット・グリフィンの運転するスピリット・オブ・レース55号車フェラーリにヒットしたため。この結果、グリフィンとフォーミュラ・レーシング50号車フェラーリのジョニー・ローセンの両方が、バリアに衝突した。
グリフィンはサスペンションの損傷で脱落したが、ボビーとローセンはそのまま走行を続けた。しかし、その後すぐに、オー・ルージュとラディヨンでの別々の事故により、両車ともリタイアを喫している。
ボビーのレースは、濱口の63号車ランボルギーニと衝突したことで終了した。この車両は、直前にカール・ワッタナ・ベネットのクール・レーシング47号車と衝突して、損傷を受けたようだった。濱口はオー・ルージュでバリアに衝突してリタイアし、最終的に3度目のセーフティカーが投入された。
その後すぐに、グレゴワール・ソーシーのリシャール・ミル・バイ・TDS29号車オレカとフォーミュラ・レーシング50号車フェラーリが再スタート時に同時にコースアウトしたため、4度目の介入が必要となった。
その後のレース後半はグリーン状態が続き、シルバードライバーのマッソンの猛攻で57号車フェラーリがトップに立った後、ケッセルが主導権を奪ると、そのままフィニッシュラインへと逃げ切った。
LMGT3クラスの2位はGRレーシングの86号車フェラーリ、3位にはAFコルセの51号車フェラーリが入り、跳ね馬の表彰台独占となった。
ELMSの次戦第5戦は9月29日、イタリアのムジェロで行われる。
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