「コペンGRスポーツ」 は、 TOYOTA GAZOO Racingが展開するスポーツカーシリーズ「GR」初となる軽規格のオープンスポーツだ。これはダイハツ・コペンをベースに、主にハンドリング性能を高めるチューニングが施されているという。その仕上がりはいかに?
メーカーの垣根を超えたコラボレーションが実現
量産モデルにトヨタが自ら手を加え、スポーティな味わいを高める「GRスポーツ」シリーズにコペンが加わった。ダイハツが独自のコンセプトで世に出したコペンは現行の2代目モデルが2014年に投入されているが、2015年に登場したホンダS660など他社のライトウェイトスポーツモデルに対してスポーツイメージが相対的に低下しつつあり、その復権を賭けたテコ入れという面もある。
ダイハツとトヨタのチューニングコンセプトを融合させた「コペンGRスポーツ」は、メーカー名が冠されないという日本車でも稀な存在となる。ボディやステアリング、シートに配されるロゴやエンブレムは「GR」あるいは「GR SPORT」であり、車検証の車名欄には「トヨタ」と記されるが、ダイハツとトヨタの全ディーラーで販売される。
主なチューニングポイントはフロア剛性を高めるブレース類の装着、サスペンションスプリングとダンパーの見直し、空力性能の向上、電動パワーステアリング(EPS)の制御変更などで、パワートレインに手は入れられていない。今回、スラロームコースと一般公道でその進化度合いを確かめたが、操舵に対するキレのよさは従来通りながら、クルマの一体感が増したことで運転自体が楽になった印象を受けた。スラローム走行ではボディが遅れずについてくるので操舵量は減り、思った通りのラインをたどることができる。
パーツブランドにこだわる気持ちをくすぐる演出
サスペンションのスプリングレートは従来のSグレードより1割ほど下げたというが、足回りがヤワになった感覚はなく、シャキッとした感じは増している。FFゆえに前後重量配分はフロント520kg、リア330kg(5速MT車)ながらフロントヘビー感はなく、さまざまな速度で走ってみたがフラット感は保たれている。細かい部分ではあるが、EPSの制御を初期応答を高める方向へ見直した効果も出ているようだ。
一般公道の荒れた舗装路面ではさすがに凹凸からの入力がダイレクトに身体に伝わってくるが、揺れが収まるのが早いので不快感はない。速度を上げていくとタイトコーナーでフロントの重さを感じることもあるが、それもアクセルとブレーキでコントロールできる範囲なのでハンディにはならないだろう。強めのブレーキをかけた時もフラット感は保たれ、登り下りを問わずワインディングを駆けるのが楽しくなる仕上がりだ。
5速MT車のフットレストが小さめだったり、ステアリング調整がチルトのみなので体格によってはベストポジションが得にくかったりと、改良を望みたい部分もあるが、そのあたりは「DNGA化」が図られるであろう次期モデルに期待したいところ。
レカロシートやMOMOステアリング、BBS鍛造ホイールを標準装着するなど、パーツブランドにこだわる気持ちをくすぐる演出も忘れていないコペンGRスポーツ。今後もこうしたクルマを絶やさず設定し続けて欲しいものだ。
【Specification】COPEN GR SPORT/コペン GRスポーツ
■全長×全幅×全高=3395×1475×1280mm
■ホイールベース=2230mm
■トレッド=前1310、後1295mm
■車両重量=850kg
■エンジン型式/種類=KF/直3DOHC12V+ターボ
■内径×行程=63.0×70.4mm
■総排気量=658cc
■圧縮比=9.5
■最高出力=64ps(47kW)/ 6400rpm
■最大トルク=92Nm(9.4kg-m)/3200rpm
■燃料タンク容量=30L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=18.6km/L
■トランスミッション形式=5速MT
■サスペンション形式=前ストラット/コイル、後トーションビーム/コイル
■ブレーキ=前Vディスク、後ドラム
■タイヤ(ホイール)=前後165/50R16
■車両本体価格(税込)=2,435,000円
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みんなのコメント
トヨタは約50万円高いGRスポーツだけを月250台売ってしまう。
ツボを押さえたチューニングなんだろうな。