イタリアのCorriere della SerraとフランスのL'Equipeは、かつてルノーF1チームの代表を務めたフラビオ・ブリアトーレが、苦戦中のアルピーヌF1を立て直すべく、ルノーのグループCEOであるルカ・デ・メオから特別アドバイザーに抜擢されたと報じた。
伝えられるところによるとブリアトーレの役割は、レーシングチームでのより実務的なモノというよりも、イギリス・エンストンとフランス・ヴィリー=シャティヨンのファクトリーを強化するために、チームの採用活動を支援することだという。
■勝利への執念があってはならない方向に……F1史に残る不正行為を振り返る
アルピーヌはブリアトーレの加入を肯定も否定もせず、次のような声明を発した。
「チームとして、全体的なパフォーマンスを向上させるために、多くの業界の専門家と頻繁に連絡を取り合っている」
「我々は、関連する全ての情報を検討し、適切な場合には経験と実績のある人々に助言を求める。個別の案件についてはコメントできない」
ただ、仮にブリアトーレの就任が本当だとすれば、一部ではそれを不安視する声が挙がるに違いない。
ミハエル・シューマッハーとフェルナンド・アロンソと共に、それぞれ2度のF1タイトルを獲得した、元ベネトン/ルノーのチーム代表であるブリアトーレ。その輝かしい功績を持つ一方で、ルノー時代の2008年シンガポールGPでは“クラッシュゲート”事件を主導しパドックから追放されたという経緯があるからだ。
その永久追放は2013年に取り下げられ、それ以来ブリアトーレは定期的にF1を訪れてきた。先日行なわれたモナコGPにも参加し、日曜日のレース前にはF1のステファノ・ドメニカリCEOと一緒にいるところを目撃されていた。
なおアルピーヌは、激動の10ヵ月を過ごしてきた。デ・メオCEOによるアルピーヌCEOのローラン・ロッシ解任に始まり、2023年ベルギーGPを前に代表のオットマー・サフナウアーと長年スポーティングディレクターを務めてきたアラン・パルメインがチームを去った。
その後アルピーヌは、2024年マシンA524の開発で後手に回り、コンストラクターズランキング6位で終えた昨シーズンと比べると、ライバルに大きく離される格好になった。
その結果、テクニカルディレクターのマット・ハーマンと、空力主任であるディルク・デ・ビアールも、3月にチームを離れた。
サフナウアーに代わって暫定チーム代表に就任したブルーノ・ファミンは、マクラーレンのような3本柱のテクニカル部門を再編成。全体を監督するテクニカルチーフとしてマクラーレンからデビッド・サンチェスを獲得した。
その甲斐あってか、ここ数週間でアルピーヌはグリッド後方から中盤へと前進し、ハースやウイリアムズとポジション争いを繰り広げている。
モナコでは、ピエール・ガスリーとエステバン・オコンが同士討ちを喫する危ういシーンがあったものの、ガスリーがアルピーヌとして今季2度目の入賞を果たした。
しかしデ・メオCEOはチームの成績不振に不満を抱いており、さらなる改革を望んでいるとの話も多い。
こうした噂は、中国メーカーである吉利を含む複数の候補がアルピーヌF1の買収に興味を持っているという報道を受けて浮上したモノだが、チーム側は一貫して値札が付けられている訳ではないと主張してきた。
「チームが売りに出されているという噂や話は虚偽だ」と先月、アルピーヌは述べた。
「チームは決して売りに出されていない」
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